女性活躍とダイバーシティの関係性|推進施策と成功事例を解説

2025年 9月 11日

https://reliable-friends-900b141288.media.strapiapp.com/1_8f4afdf2a7.webp

ダイバーシティ推進に取り組むと、女性活躍という重要なテーマに直面します。逆に、女性活躍推進は、ダイバーシティにつながる重要な施策です。

本記事では、なぜ女性活躍がダイバーシティ推進の出発点になっているのかを解説します。さらに、企業にとってのメリットや具体的な施策、そして成功企業の事例を紹介しながら、持続的な成長と働きやすい職場づくりのヒントをお伝えします。

女性活躍とダイバーシティとは

現代の企業経営で「女性活躍」と「ダイバーシティ」は切り離すことのできない重要な概念となっています。

女性活躍推進とダイバーシティの基本概念を整理し、その密接な関係性について詳しく解説します。

女性活躍推進の基本概念

女性活躍推進とは、職場において女性が個性と能力を十分に発揮できる環境を整備し、キャリア形成や昇進の機会を平等に提供することを目指す取り組みです。具体的には、管理職への登用促進、出産・育児期のキャリア継続支援、働き方の多様化などが含まれます。

ダイバーシティの基本概念

ダイバーシティとは「多様性」を意味し、さまざまな属性や価値観を持つ人材を受け入れ、その違いを活かして組織力を向上させる経営戦略です。性別、年齢、国籍、障がいの有無、性的指向、価値観、働き方などを包含する概念となります。

女性活躍とダイバーシティの関係性

女性活躍推進は、ダイバーシティ経営の“はじめの一歩”です。

ダイバーシティ経営の実現には、国籍・年齢・性別・障がい・性的指向など、多様な人材を受け入れる体制づくりが求められます。その中でも「女性活躍推進」は、最も注目され、実践しやすい取り組みとして多くの企業が導入の入口としています。

日本では「女性活躍推進法」の制定などを背景に、女性活躍が政策的にも優先度の高いテーマとなっており、法令対応や社会的要請からも取り組みが加速しています。

さらに、女性の登用が進むことで、社内には「多様性を受け入れる」文化的土壌が育まれます。この変化が、外国人雇用やLGBTQ+支援、障がい者雇用といった、次のダイバーシティ推進への橋渡しとなるのです。

ダイバーシティのなかでも女性活躍が重要視される背景

外国人や障がい者、LGBTQ+など多様な要素がある中で、女性活躍が特に注目される背景には、日本社会が直面する構造的な課題と、企業にとっての実践的なメリットがあります。

日本企業が直面する労働力不足と社会変化

日本では少子高齢化が進み、働き手の不足が深刻な課題となっている一方で、女性の就業率は年々高まりつつあります。

しかし、管理職に占める女性の割合は2021年で13.2%と低く、力を発揮しきれていない現状もあります。企業にとって、すでに働いている女性がより自分らしく活躍できる環境を整えることも労働力不足を解決するための現実的で大切な一歩といえるでしょう。

▼出典:男女共同参画局 資本市場における女性活躍評価の状況

国や自治体による推進制度と助成金

政府は女性活躍推進を国家戦略に掲げ、法制度と認定制度の両面から企業の取り組みを後押ししています。

例えば「えるぼし認定」は、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良である事業主に対して厚生労働大臣が認定する制度です。女性活躍推進はさまざまな認定制度と連動した取り組みとなっています。

ダイバーシティ推進の“入口”としての位置づけ

多様性の受け入れには外国人や障がい者、LGBTQ+など幅広いテーマがありますが、一気に進めるのは企業にとってハードルが高いのが実情です。その中で女性活躍はどの業界・職場にも共通して存在するテーマであり、取り組みやすく成果が見えやすい分野です。

女性活躍で成功体験を積むことで、次のステップとして他のダイバーシティ施策へ拡張しやすくなるという実効性があります。 ▼参考:厚生労働省 えるぼし認定、プラチナえるぼし認定

女性活躍・ダイバーシティ推進がもたらすメリット

ダイバーシティ推進のはじめの一歩として、女性活躍を推進することのメリットを解説します。

イノベーションの創出

多様な背景・視点を持つ人材が集まることで、従来の延長線上にはない新しい発想やアイデアが生まれやすくなります。女性活躍が進み女性ならではの視点が入ることで、これまで気づかなかった顧客ニーズや市場機会を発見し市場での競争優位性を獲得できる可能性が広がります。

人材確保・離職防止

少子高齢化で人材獲得が難しくなる中、多様な人材を受け入れる企業は採用競争力が高まります。

例えば産休・育休制度の充実や復職支援、フレックスタイム制度の導入などが出産・育児期の女性の離職を防ぎます。女性をはじめ、さまざまな人材のライフステージに応じた柔軟な働き方やキャリア支援を行うことで、優秀人材の定着率が上がり、離職防止につながるでしょう。

生産性・組織力の向上

ダイバーシティ推進は「心理的安全性」を高め、社員が安心して意見を出せる環境をつくります。その結果、チームの協力関係が深まり、業務効率やエンゲージメント(仕事への意欲)が向上します。

働き方改革と連動したダイバーシティ推進により、長時間労働の見直しや業務効率化も促進され、組織全体の生産性向上につながるでしょう。

ブランド価値・企業評価の向上

女性活躍やダイバーシティに積極的な企業は、社会的評価が高まり、顧客・投資家・パートナー企業からの信頼を得やすくなります。

資本市場では、非財務情報であるESG(環境・社会・ガバナンス)情報を投資判断に組み込み長期的な投資リターンの向上を目指す、いわゆるESG投資が拡大しています。その中で、女性活躍推進を進める企業は注目を浴びており、ESG投資の観点からもダイバーシティ推進は企業価値向上に直結するでしょう。

経済成長・社会課題の解決

女性が安心して働き続けられる環境を整えることは、経済成長の原動力となるだけでなく、社会課題の解決にもつながります。女性が自分のキャリアを築き、経済的に自立することで、少子化対策や社会保障制度の持続可能性を高める効果が期待できます。

▼参考:男女共同参画局 資本市場における女性活躍評価の状況

ダイバーシティにつながる女性活躍推進施策

女性活躍推進を成功させるためには、キャリア支援や職場風土の改革まで包括的に取り組むことが重要です。ここでは、最終的にダイバーシティ経営の基盤となる女性活躍推進施策を4つのカテゴリーに分けて解説します。

制度面の施策

  • 柔軟な働き方の導入

フレックスタイム制度、在宅勤務・ハイブリッド勤務、短時間勤務などを導入し、育児や介護と両立しやすい環境を整えます。

  • 育児・介護支援制度

出産・育児休業の取得促進、男性育休の推進、育児休業後の復職支援プログラムなどを整備します。特に男性育休の推進は、性別に関係なく家庭責任を分担する職場文化の醸成につながるでしょう。

  • 健康課題への配慮

生理休暇、更年期サポート、女性特有の健康課題に対応した福利厚生を用意します。これらの制度は女性の健康維持とパフォーマンス向上に直結し、長期的なキャリア継続を支援します。

キャリア支援の施策

  • 女性管理職の登用・育成プログラム

メンター制度やリーダーシップ研修を整備し、意思決定層への女性登用を増やします。厚生労働省も女性社員の活躍推進施策として、メンター制度の導入とロールモデルの紹介を推奨しています。

  • キャリア形成支援

社内公募制度、社外研修参加支援などにより、ライフイベントに左右されにくいキャリア開発をサポートします。計画的なジョブローテーションと体系的なスキル研修により、管理職として必要な経験とノウハウの習得を促進しましょう。

  • ロールモデルの可視化

先輩女性社員のキャリアストーリーを発信し、若手社員のモチベーションにつなげます。成功事例を共有することで、女性社員のキャリア意識向上と将来への不安解消に効果を発揮します。

職場風土づくりの施策

  • アンコンシャス・バイアス研修

無意識の偏見をなくすための管理職研修や全社員研修を実施します。偏った見方が採用や評価、人間関係に悪影響を与えることを防ぐ重要な取り組みです。

  • 多様性を尊重する評価制度

「長時間働く人が評価される」仕組みから、成果やプロセスを重視する評価制度へ転換します。時間ではなく成果で評価することで、柔軟な働き方を選択する社員も公平に評価される環境を整備します。

  • 社内コミュニティの活性化

女性ネットワークやD&I推進プロジェクトを立ち上げ、誰もが議論できる場をつくります。多様な意見交換の機会を設けることで、組織全体の多様性受容度が向上します。

ダイバーシティへの波及効果

女性活躍推進は、働き方改革・意識改革・制度整備を伴うため、結果的に他のダイバーシティ領域(外国人材、障がい者、LGBTQ+など)にも応用できます。

  • 柔軟な働き方

子育て世代だけでなく、シニア人材や外国籍社員にもメリットをもたらします。例えば在宅勤務制度は通勤が難しい社員にも活用されるでしょう。

  • バイアス研修

性別に限らず、あらゆる「違い」を受け入れる土壌を形成します。女性に対する無意識の偏見を理解する過程で、国籍や年齢、障がいの有無に関するバイアスにも気づきやすくなります。

  • 公平な評価制度

年齢や背景に関わらず活躍できる組織文化へと発展します。成果重視の評価制度は、性別だけでなく、働き方や価値観の多様性も受け入れる基盤となるのです。

他社事例に学ぶ女性活躍推進の成功のポイント

ここからは、他社の事例を通して女性活躍をどのように推進すれば良いかを解説していきます。成功のポイントを知り、自社の女性活躍推進に役立ててください。

性別特有課題への理解とサポートに関する研修|ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバ・ジャパンは、従業員向けに生理や更年期障害に関する正しい理解を深める研修を実施しました。性別に関わらず学び合うことで、心理的安全性の高い職場となり、声かけや配慮が自然に生まれるようになりました。 ▼参考:Flora株式会社 ユニリーバ・ジャパンの取り組み

ライフステージの健康課題と仕事に関するQ&A集|LINEヤフー

LINEヤフーは、妊娠・育児・更年期などの多様な健康課題により、仕事を続けにくい状況が見られました。そのため、社内向けにQ&A集を展開しました。従業員が必要な情報にすぐアクセスできるため不安が軽減され、離職の防止や生産性の向上にもつながっています。 ▼参考:Flora株式会社 LINEヤフーの取り組み

女性向けヘルスケアアプリ「Wellflow」の提供| MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインターリスク総研株式会社では、女性従業員の健康管理やセルフケアが不十分で、体調不良による業務パフォーマンスの低下が課題となっていました。そこで、女性の体調管理や健康リテラシー向上を支援するヘルスケアアプリ「Wellflow」を福利厚生として導入しました。働きやすさとエンゲージメントの向上につながっています。 ▼参考:Flora株式会社 MS&ADインターリスク総研株式会社の取り組み

成功企業に共通する取り組み

これらの事例から、女性活躍推進で成果を上げている企業には以下のような共通点があることが分かります。

1. 女性特有の課題への具体的な対応

生理や更年期、妊娠・育児といった女性特有のライフステージや健康課題に対して、具体的で実用的なサポートを提供しています。

2. 全社的な意識改革への取り組み

女性だけでなく、男性も含めた全従業員の理解促進に力を入れています。組織全体の意識が変わることで、制度の効果的な活用と職場風土の改善を実現しています。

3. 情報アクセス性の重視

必要な情報や支援に、従業員がいつでも簡単にアクセスできる環境を整備しています。Q&A集やアプリの活用など、デジタル技術も積極的に導入している点が特徴的です。

4. 予防的・継続的なアプローチ

問題が顕在化してから対処するのではなく、予防的な観点から継続的に支援を行っています。これにより、離職防止だけでなく、生産性向上や エンゲージメント向上にもつながっています。

5. 明確な目的意識と効果測定

心理的安全性の向上、離職防止、生産性向上など、明確な目的を設定し、その効果を測定・検証しています。これにより施策の継続的な改善と経営層への説明責任を果たしています。

まとめ

女性活躍推進は、単なる社会的責任ではなく、企業の成長と競争力強化を支える戦略的な経営施策です。また、女性活躍推進で培われた多様性への対応力は、外国人材やLGBTQ+など他領域にも応用可能です。

Wellflowでは、女性活躍とダイバーシティの推進に取り組む企業に向けたさまざまなサービスを提供しています。従業員向けのヘルスケアアプリをはじめ、サーベイや女性活躍に関する認定の支援など、貴社の課題に合ったソリューションを提供します。 まずは、お気軽にお問い合わせください。 ▼Wellflowのサービスページはこちら