健康経営と福利厚生の関係とは?企業が成果を出す実践ポイント

2025年 10月 30日

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福利厚生の中には健康経営につながる施策もありますが、両者は異なる役割をもちます。そのため、両者の関係性を理解し、それぞれの施策を上手く実施することで、より大きな効果を生むことができます。

本記事では、健康経営と福利厚生の関係性や、効果的な施策、他社の事例、導入ステップまでをわかりやすく解説します。

社員の健康と企業の成長を両立させるヒントをつかみましょう。

健康経営と福利厚生の関係

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「健康経営」は、従業員の健康を経営の意思決定に組み込み、戦略的に実践する取り組みです。

「福利厚生」はその具体的な投資手段として機能し、健康課題の解決と企業価値の向上を同時にねらいます。まずは両者の定義と位置づけを共通化し、制度の重複や抜け漏れを防ぎましょう。これが後続の施策選定や効果検証の精度を高めます。

健康経営の基本概要

経済産業省のガイドブックは、健康経営を「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」と整理し、導入手順や戦略マップ、情報開示までを体系化しています。あわせて、優れた取り組みを見える化する顕彰制度として「健康経営優良法人」や「健康経営銘柄」が整備されています。認定・選定に取り組むことは、社内の推進力を高めるとともに社外への信頼醸成にもつながるでしょう。制度の概要と申請窓口は、経産省とポータルサイト「ACTION!健康経営」で確認できます。

▼参考:経済産業省 健康経営ガイドブック

福利厚生との違いと共通点

福利厚生は、企業が任意で拡充できる制度(例:検診・人間ドック補助、運動・栄養支援、レジャー・施設のあっ旋など)で、厚生労働省も中小企業向けのメニュー拡充策を案内しています。一方、労働安全衛生法に基づくストレスチェックの実施(原則50人以上は義務)など、法令で求められる必須の健康管理もあります。

さらに、パートタイム・有期雇用労働者にも給食・休憩室・更衣室などの福利厚生施設の利用機会を与える義務といった均衡・均等待遇の規定も存在します。したがって「法令順守(必須)」「福利厚生(任意投資)」「健康経営(経営戦略)」の三層を整理し、相互に矛盾のない設計にすることが肝要です。

健康経営における福利厚生の役割

福利厚生は健康経営の“打ち手”として、運動・栄養・メンタルヘルス・働き方の柔軟性・女性の健康支援などを通じて具体化します。もちろん、福利厚生の中には健康経営と関係のないものもありますし、健康経営の手段全てが福利厚生ではありません。

福利厚生を利用して行う健康経営施策で重要なのは、「組織の健康課題」とKPIに結び付け、利用率・参加率・満足度・アブセンティーズム/プレゼンティーズム関連指標などで継続的に検証することです。経産省の「健康投資管理会計ガイドライン」や最新のガイドブックは、指標設計やPDCAの進め方、情報開示の勘所まで実務的に提示しています。制度導入で満足せず、データに基づく改善を重ねていきましょう。

健康経営に効果的な福利厚生

健康経営で福利厚生を活かすには、「利用しやすさ」と「健康課題への直結度」がポイントです。ここでは、運動・栄養・メンタルヘルス・働き方の柔軟性それぞれに対応する代表的なサービスを紹介します。

運動・フィットネス支援

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健康経営を推進するうえで、福利厚生は社員の健康行動を後押しする仕組みとして重要な役割を果たします。

しかし、単に制度を整えるだけでは効果は得られません。従業員が「使いやすく」「健康改善に直結し」「効果を可視化できる」仕組みとして設計する必要があります。

ここでは、運動・食事・メンタルヘルス・働き方といった分野で、健康経営に寄与する代表的なサービスを紹介します。

chocoZAPステーション

chocoZAPはRIZAPグループが展開する24時間型フィットネスジムで、法人向けには「chocoZAP法人会員」プランが提供されています。 全国どこでも利用でき、服装自由・靴の履き替え不要という手軽さが特徴です。また、トレーニングに加えてセルフエステや脱毛、ネイルなどの美容ケアも無料で利用できる点は、従来の“運動施設”にはないユニークな魅力です。

さらに、法人契約者向けには利用データのレポート機能が提供され、社員の運動実施率を可視化することが可能です。 これは、健康経営の評価指標である「行動変容」や「アブセンティーズム(病欠率)」の改善を定量的に測定するうえで有効です。「健康づくりをもっと身近に、継続しやすくする」というコンセプトは、まさに健康経営の実践に直結します。

▼参考:chocoZAP(法人向け/サービス)

コナミスポーツクラブ 法人契約

コナミスポーツクラブは、全国各地に直営および提携施設を展開する総合型フィットネスクラブです。法人契約プランでは、全国どの店舗でも共通利用できる「法人会員証制度」をはじめ、社員証連携や会員向け健康プログラムなど、企業単位で健康づくりを推進できる仕組みが整っています。導入企業には専任の担当者が付き、導入前の説明会・利用促進キャンペーン・定期的な利用レポートの提供など、運用面の支援も充実しています。

このサービスの特長は、単なる「ジム利用」ではなく、科学的根拠に基づいたプログラム提供にあります。運動初心者でも無理なく取り組めるメニューが多く、体組成測定やトレーナーによる個別アドバイスを通じて、社員一人ひとりの健康状態を“見える化”できるのが強みです。また、フィットネスだけでなく、スイミング、ヨガ、スタジオレッスン、温浴など多様なアクティビティを選択できる点も、従業員の「楽しみながら健康づくり」に寄与します。

▼参考:コナミスポーツクラブ(法人)

ルネサンス 法人会員

株式会社ルネサンスが提供する法人向けサービスは、全国の直営および提携スポーツクラブを月額または都度払いで利用できる制度です。企業規模や利用スタイルに合わせて複数のプランを選べる柔軟性があり、従業員の利用データを可視化できるレポート機能も備えています。また、オンラインフィットネス「ルネサンス オンライン Livestream」や動画配信サービスを通じて、在宅勤務者や地方拠点の社員にも等しく運動機会を提供できる点が特長です。

このサービスの魅力は、単に運動施設を開放するだけでなく、“健康経営のパートナー”として継続的に企業を支援する姿勢にあります。例えば、健康経営優良法人の認定取得を目指す企業に対して、導入計画や健康施策の評価指標づくりをアドバイスするなど、専門的なコンサルティングも実施しています。また、ルネサンスは自社でも経済産業省「健康経営銘柄」に複数回選定されており、その経験に基づく実践的サポートを提供できる点が他社との大きな違いです。

▼参考:ルネサンス(法人)

食事・栄養サポート

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健康経営において「食事の支援」は、社員の栄養バランス改善や生活習慣病の予防に直結する重要な領域です。しかし、社員食堂を設けるのはコストやスペースの面でハードルが高く、中小企業では導入が難しいケースもあります。

近年は、設置型・チケット型など多様なスタイルの“食の福利厚生サービス”が普及し、手軽に導入できるようになっています。ここでは、代表的な3つのサービスを取り上げ、その特長と健康経営への効果を解説します。

チケットレストラン(Edenred)

チケットレストランは、フランス発祥の福利厚生サービス「Edenred(エデンレッド)」が日本で展開する、食の福利厚生カードです。従業員に配布された専用の電子カードを使って、全国25万店舗以上の飲食店・コンビニエンスストアで利用できる仕組みとなっています。

導入企業はチャージ金額を自由に設定でき、従業員は現金を使わずにランチや軽食を購入可能です。利用データも電子的に管理されるため、企業側の事務負担も少なく、経費処理の簡素化にもつながります。

このサービスの最大の特徴は、「食事補助の公平性」と「導入の容易さ」にあります。社員食堂のように勤務地ごとに差が出ず、全国どこにいても同じように利用できるため、リモート勤務者や地方拠点の社員にも均等な福利厚生を提供できます。また、利用先を社員自身が選べる自由度が高いため、“健康的なランチ選択を自律的に促す” という行動変容にもつながります。

▼参考:チケットレストラン(Edenred)

OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)

OFFICE DE YASAIは、株式会社KOMPEITOが提供するオフィス設置型の健康社食サービスです。冷蔵・冷凍ケースをオフィス内に設置し、野菜や惣菜、フルーツを1個100円から購入できる環境を整えることで、社員の「日常的な食の改善」を支援します。導入企業は10,000社を超え、補充・管理・清掃まで運営を代行してくれるため、担当者の手間がかからない点も評価されています。

このサービスの最大の特徴は、健康経営の中心課題の一つである「栄養バランスの偏り」をオフィスの中で直接改善できる点です。特に、外食中心で野菜摂取量が少ない層に対し、「健康的な選択肢を近くに置く」ことで、自然に行動変容を促す仕組みを構築できます。こうした“環境デザインによる健康支援”は、行動経済学的アプローチとしても注目されており、継続的な利用が期待できます。

▼参考:OFFICE DE YASAI(公式)

オフィスおかん

オフィスおかんは、株式会社OKANが提供する「置き型社食®」サービスです。オフィス内の冷蔵庫に健康的な惣菜やスープを常備し、従業員が1品100円から手軽に購入できる仕組みを採用しています。

商品の補充・入れ替え・賞味期限管理はすべてOKANが代行し、企業側の手間を最小限に抑えながら“社食のある職場”を実現できる点が魅力です。2024年度には「GOOD DESIGN賞(サービスデザイン部門)」を受賞しており、ユーザー体験を重視した設計が評価されています。

オフィスおかんの強みは、「管理栄養士監修のメニュー設計」と「利用データの蓄積」にあります。提供される惣菜は、塩分・糖質・脂質のバランスを考慮した“健康志向メニュー”で構成されており、社員の栄養状態改善に貢献します。また、導入企業には定期的に利用データレポートが提供されるため、社員の食生活傾向を分析し、健康経営のKPIとして活用することも可能です。

▼参考:オフィスおかん(Good Design 2024 受賞リリース)

メンタルヘルス対策

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心の健康を守ることは、健康経営の根幹です。従業員のストレスやメンタル不調は、プレゼンティーズム(出勤しても生産性が低い状態)や離職リスクの上昇につながるため、早期発見と継続的支援が欠かせません。

ここでは、企業が導入しやすく効果的な3つのメンタルヘルス支援サービスを紹介します。

アドバンテッジEAP / アドバンテッジ カウンセリング

アドバンテッジEAPは、国内EAP(従業員支援プログラム)のリーディング企業であり、心理カウンセリング・メンタル教育・復職支援をワンストップで提供しています。24時間365日、多言語対応のカウンセリング窓口を設けており、従業員が安心して相談できる環境を整備。さらに、組織単位でストレス要因を可視化し、改善提案まで行う点が特徴です。

健康経営の観点では、メンタル不調の早期対応だけでなく、職場の心理的安全性向上や組織エンゲージメントの強化にも効果があります。特に、産業医や人事部門と連携して再発防止策を組み込める点が、EAPとしての信頼性を高めています。

▼参考:アドバンテッジEAP(公式)

T-PEC(ティーペック) EAP・相談窓口

T-PECは、医療・健康・メンタルを横断的にサポートする総合ヘルスケアサービスです。

電話やオンラインでの心理カウンセリングのほか、法律・介護・育児などの生活相談にも対応しており、従業員だけでなくその家族まで幅広く支援します。また、医師によるセカンドオピニオンや認知機能チェックなど、「心と体の両面を包括的にケアできる」点が強みです。

このようなトータルサポートは、社員のストレス軽減だけでなく、家庭・健康・仕事のバランス維持に貢献し、長期的な健康経営の土台を支えます。

▼参考:T-PEC(公式)

Carely(ケアリィ) メンタルヘルス支援

Carelyは、株式会社iCAREが提供する健康管理クラウドサービスです。産業医・保健師・心理士などの専門職と、健康データを一元管理するSaaSを組み合わせ、企業の健康管理業務を効率化します。ストレスチェック結果や面談記録をデータ化し、組織のリスク傾向を可視化する仕組みを持つ点が特徴です。

メンタルケアに加え、長時間労働者のフォローや休職・復職支援も自動化できるため、人事部門の負担を減らしながら“未然予防”の体制を構築できます。ITを活用した健康経営の推進を目指す企業にとって、Carelyは最も実践的な選択肢の一つです。

▼参考:Carely(公式/メンタル支援)

働き方の柔軟性支援

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働き方の多様化が進むなかで、「どこで、どのように働くか」という柔軟性は、社員の心身の健康に直結します。通勤ストレスの軽減や、集中できる環境の確保は、健康経営の重要な一要素です。

ここでは、リモートワークやモバイルワークを支える代表的な3つの法人向けワークスペースサービスを紹介します。

STATION WORK(JR東日本ビルディング) 法人会員

STATION WORKは、JR東日本が運営する駅ナカ・駅チカのサテライトオフィスサービスです。「STATION BOOTH」や「STATION DESK」などの形態があり、1人用の個室から複数人会議室まで、用途に応じて選べます。法人契約では、全国の拠点を一括で利用・精算できる仕組みが整っており、利用データの可視化や利用時間帯の分析も可能です。

通勤や出張の移動中でも快適に働ける環境を提供することで、長時間通勤による疲労や移動ストレスを軽減できます。また、「ちょっとした隙間時間を有効活用できる」という特性から、ワークライフバランスの改善にも寄与します。社員が安心して働ける“第三の仕事場”を提供するSTATION WORKは、心身の負担軽減と集中力向上の両立を実現する柔軟な働き方支援の好例です。

▼参考:STATION WORK(法人/使い方)

TELECUBE(テレキューブ) 法人契約

TELECUBEは、株式会社ブイキューブが提供する防音型ワークブースサービスで、全国のオフィス街・駅・商業施設などに展開されています。法人契約では、社員ごとの予約・利用履歴をクラウド上で管理でき、利用データの分析や請求の一元化も可能です。1人用の完全個室構造で、遮音性・セキュリティ性が高く、Web会議や集中作業に適しています。

健康経営の観点では、騒音や環境ストレスを減らし、集中度と心理的安心を高める点が大きな効果といえます。特にオープンスペースや在宅勤務での「集中できない」「気を遣う」といったストレスを軽減し、“どこでも快適に働ける環境”を整えることが、社員のメンタル安定と生産性維持につながります。

▼参考:TELECUBE(法人契約/料金)

NewWork(東急) 法人会員

NewWorkは、東急株式会社が運営する法人向けサテライトオフィスネットワークです。全国400拠点以上(提携含む)を展開しており、カフェスペース・個室ブース・ホテル客室など、多様なワークプレイスを利用できます。法人契約により、全社員が予約アプリから自由に利用でき、入退室データや利用時間をレポートとして取得することも可能です。

特徴的なのは、「働く場所の自由化」と「集中環境の提供」を両立している点です。特に在宅勤務者や出張が多い社員にとっては、移動負担を減らしながらも仕事の質を維持できることが大きな利点です。また、社員が「気分を変えて働ける場所」を持つことは、メンタルヘルスのリフレッシュ効果にもつながります

▼参考:NewWork(東急) 法人会員

健康経営×福利厚生のメリット

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健康経営における福利厚生は、単なる“制度”ではなく、企業の競争力を高める戦略的投資です。ここでは、健康経営と福利厚生を掛け合わせることで得られる主な4つのメリットを整理します。

従業員の健康増進

福利厚生を通じた健康支援は、従業員の生活習慣改善を促し、生活習慣病の予防や体調不良による欠勤減少につながります。

運動や栄養、メンタルケアなどの多面的なアプローチを通じて、従業員の“自発的な健康行動”を生み出せる点が大きな特徴です。

経済産業省の「健康経営ガイドブック」では、健康経営を実践する企業の多くが、労働生産性の向上や医療費の抑制効果を確認していると報告しています。

つまり、健康支援を福利厚生に組み込むことは、結果的に企業のコスト削減にも寄与します。

▼参考:経済産業省|健康経営の推進について

エンゲージメント・生産性の向上

健康状態の良し悪しは、仕事の集中力や創造性、コミュニケーション力に大きく影響します。

福利厚生を通じて従業員が「会社に大切にされている」と感じることは、エンゲージメント向上の土台にもなります。

また、メンタルヘルス支援や柔軟な働き方を取り入れることで、職場の心理的安全性が高まり、離職リスクが減少します。

働く人が心身ともに健康な状態でいられる職場は、自然と生産性も高まりやすいのです。

アメリカ心理学会(APA)の調査でも、「福利厚生が充実している職場ほど、従業員の幸福度と業務パフォーマンスが高い」と報告されています。

▼参考:APA Work and Well-Being Survey 2022

採用力・定着率の向上

福利厚生の充実は、採用活動における重要な魅力要素です。

リクルートワークス研究所の調査によると、「企業選びで重視するポイント」として約7割の求職者が「福利厚生の充実」を挙げています。

特に、健康経営やウェルビーイングへの取り組みを発信している企業は、“社員を大切にする会社”という印象を強く与える傾向があります。

さらに、健康に配慮した制度や柔軟な勤務環境を整えることは、既存社員の定着率向上にもつながります。特に子育て・介護・シニア世代など、ライフステージに応じた支援を行うことで、多様な人材が長く働ける企業文化を築けます。

▼参考:リクルートワークス研究所「働き方に関する調査2024」

企業ブランディング効果

健康経営を掲げ、福利厚生を戦略的に整えることは、社内外への強力なブランドメッセージになります。

経済産業省の「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の認定を受ける企業が増えており、これらの認定は投資家・求職者・取引先に対する信頼度を高める要因にもなっています。

例えば、健康経営銘柄企業の中には、健康関連の指標を人的資本開示(統合報告書やサステナビリティレポート)に含め、ESG経営の一部として積極的に発信する企業もあります。

こうした動きは「健康を支える企業=信頼できる企業」という社会的評価の形成につながります。

▼参考:経済産業省|健康経営銘柄2025 選定企業一覧

他社の健康経営と福利厚生事例

ここからは、実際に福利厚生を健康経営に活かしている企業の事例を紹介します。

Kao健康2025(生活習慣病・禁煙・女性健康などの総合支援)|花王

花王は「花王グループ健康宣言」のもと、健康経営を経営課題として推進し、健診・保健指導・治療と就業の両立・感染症対策などを含むデータドリブンなPDCAで健康投資を展開しています。中期計画「Kao健康2025」では、生活習慣病・がん・禁煙・シニア・女性・こころの6領域を重点化。健康経営銘柄2025選定/ホワイト500認定など社外評価も獲得しています。

▼参考:花王|花王グループ 健康経営のご紹介

WAA(Work from Anywhere and Anytime:働く場所・時間の自由化)|ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバは勤務場所・時間を原則自由に選べる制度「WAA」を2016年から導入。上司承認のもとで自宅やカフェ等でも勤務可能、平日5〜22時の範囲で柔軟に働けます。導入10か月後の社内調査では生産性向上を75%、幸福度向上を33%が回答。柔軟な働き方を通じてウェルビーイングとパフォーマンスの両立を図っています。

▼参考:ユニリーバ|WAAについて

自社に合った福利厚生の導入ステップ

健康経営のための福利厚生は、「良さそうな施策を取り入れる」だけでは成果につながりません。

自社の課題に合った制度を選び、継続的に改善していくことが重要です。ここでは、導入から定着までの3つのステップを紹介します。

従業員ニーズの把握方法

まずは、従業員がどのような健康課題や生活上の困りごとを抱えているかをデータで可視化しましょう。

  • 健康診断結果の分析(肥満・血圧・糖尿病・喫煙率など)
  • ストレスチェックの集計結果
  • 社内アンケート・1on1面談での意見収集

これらを組み合わせることで、「運動不足」「メンタル負荷」「女性の健康課題」「長時間労働」など、優先すべき領域を特定できます。

経済産業省の『健康経営ガイドブック』でも、健康投資を設計する第一歩として「健康課題の可視化と優先順位づけ」を推奨しています。

優先度に応じた福利厚生の選定

課題が見えたら、費用対効果と従業員ニーズの両立を考えながら施策を選定します。

例えば、

  • 運動不足が多い場合 → フィットネス補助やオンライン運動プログラム
  • メンタル不調が多い場合 → EAP(従業員支援プログラム)やカウンセリング窓口
  • 栄養面の課題がある場合 → 食事補助やオフィス社食サービス
  • 働き方の柔軟性に課題がある場合 → 在宅勤務支援やサテライトオフィス導入

さらに、中小企業庁「健康経営優良法人2025」認定要件に照らし合わせて施策を整理すると、認定取得にもつながります。

この段階で重要なのは、“すぐ始められるもの”と“中長期で整備すべきもの”を分けることです。短期施策で効果を実感しつつ、長期的な健康投資計画を描くとスムーズに定着します。

▼参考:健康経営優良法人認定制度ポータル

利用率を高める工夫

制度を導入しても、従業員が活用しなければ意味がありません。利用率を上げるためには、「伝え方」と「仕組み化」がカギです。

  • 社内ポータルや社報で福利厚生の存在・利用手順を定期的に発信
  • 管理職・リーダー層が率先して活用(行動モデル化)
  • 利用実績を可視化し、数値でモニタリング
  • 利用者の声や成功事例を社内で共有し、ロールモデルを増やす

経済産業省が発行する『健康投資管理会計ガイドライン』でも、健康施策の評価指標として「利用率」「満足度」「再利用意向」を設定することが推奨されています。

また、定期的に健康経営推進委員会や産業医・保健師との連携会議を開き、従業員の声を反映して制度をブラッシュアップすると効果が持続します。

▼参考:経済産業省|健康投資管理会計ガイドライン

まとめ

健康経営と福利厚生は、いまや「社員のため」だけでなく、企業の成長戦略の一部として欠かせない取り組みです。

運動・食事・メンタルヘルス・働き方など、日常に根づく施策を通じて、従業員の健康維持と生産性向上を両立できます。

大切なのは、制度を導入して終わりにせず、利用率を高め、継続的に改善すること。データを活用しながらPDCAを回すことで、健康経営は確実に成果へとつながります。

Flora株式会社が提供するWellflowは、健康経営や女性活躍をトータルに支援するサービスです。従業員の健康課題を可視化し、行動変容を促すプログラム設計までを一気通貫でサポートします。

自社の健康経営を次のステージへ進めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

▼参考:Wellflowのサービス詳細はこちら