企業が知るべき「テレワーク」の基本!メリットやデメリットを解説

2025年 7月 16日

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テレワークは、単なる在宅勤務にとどまらず、企業の働き方改革や人材戦略に欠かせない存在となっています。

しかし、「そもそもテレワークとは?」「導入するメリットや注意点は?」といった基本情報を正確に把握できている企業は意外と少ないかもしれません。

この記事では、テレワークの定義やリモートワークとの違い、主な形態から、導入メリット・デメリット、2025年最新の支援制度まで網羅的に解説します。

貴社に合った働き方のヒントがきっと見つかるはずです。

テレワークとは?今さら聞けない基本知識

テレワークとは「場所に縛られず働くこと」といったイメージはあっても、実際にどのような働き方が含まれるのか、制度としてどう定義されているのか知らない方も多いでしょう。

ここでは、テレワークの定義や言葉の由来、そして混同されがちなリモートワークとの違いについて整理します。

テレワークの定義と語源

テレワーク(telework)は、「tele=離れた場所」と「work=働く」を組み合わせた造語です。情報通信技術(ICT)を活用して、時間や場所にとらわれない働き方を指します。これは総務省や厚生労働省も共通して用いる定義です。

かつては主に営業職や一部の専門職に限られていましたが、現在では一般事務やマネジメント職、カスタマーサポートなどにも広がりを見せています。

▼参考:厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト

リモートワークとの違いは?

一般的にはテレワークとリモートワークはほぼ同義として使われています。ただし、テレワークは国の制度的文脈で使われることが多く、企業が社内制度として採用する場合は「テレワーク」が好まれます。

一方、リモートワークはIT業界を中心に日常的な表現として浸透しています。

また、テレワークは「制度・働き方」としての総称であり、リモートワークは「場所が自由」という面に重点があるなど、ニュアンスの違いもあります。

テレワークの3つの主な形態

厚生労働省の分類では、テレワークには以下の3形態があります。

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これらは柔軟性を持ちながらも、業務内容やセキュリティリスクに応じて選択する必要があります。

なぜ今テレワークなのか?社会とビジネスの背景

テレワークは単なる働き方の一形態ではなく、社会構造や企業運営の大きな転換点でもあります。なぜ今、再び注目されているのか。その背景には複数の要因が存在します。

事業継続計画(BCP)・感染症対策としての役割

新型コロナウイルスの流行を契機に、テレワークは企業の事業継続計画(BCP)の一環として導入されるようになりました。災害時や感染症流行時においても、業務を止めずに対応できる体制は今後も重要となるでしょう。

国土交通省も「オフィスBCP対策の一つとして、サテライトオフィスの確保やテレワーク環境整備が有効である」と示しています。

▼参考:国土交通省  サテライトオフィス活用事例集

中小企業でも取り組める理由と時代の流れ

かつては大企業向けとされていたテレワークですが、クラウドサービスやコミュニケーションツールの普及により、導入ハードルが大きく下がりました。ZoomやSlack、Google Workspaceといったツールは、初期費用ゼロで導入可能なものも多く、中小企業でも手軽に始められます

さらに、地方自治体や国の支援制度も充実しており、中小企業でも現実的な選択肢となっています。特に採用難に悩む企業にとっては、テレワークは大きな武器となるでしょう。

テレワーク導入のメリット

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テレワークは社員にとっても企業にとっても多くのメリットをもたらします。それぞれの視点で、具体的な効果を見ていきましょう。

社員の生産性の向上

テレワークの導入によって、通勤時間がなくなり、自宅など自分に合った環境で働けるようになることで、心身の余裕が生まれ、業務への集中力が高まりやすくなります

特に、思考の深さやクリエイティブな発想が求められる企画職や開発職では、オフィスよりもテレワークの方が成果を出しやすいという声が多く聞かれます。

実際に、厚生労働省が公開するテレワーク導入事例集では、テレワークによって残業時間削減や業務効率化を達成した企業も報告されています。

これは、集中できる環境づくりや業務の効率化が進んだ結果といえるでしょう。

▼参考:厚生労働省 取組事例集

コスト削減

テレワークは、企業の固定費・変動費を大きく削減できる施策です。

通勤交通費やオフィス賃料、光熱費などが不要または大幅に圧縮されるため、財務面に即効性があります。

限られたリソースを本質的な投資に回すためにも、テレワークの導入は現実的かつ戦略的な選択肢です。

社員のストレス軽減

テレワークは、通勤・人間関係・時間拘束といった“職場特有のストレス源”を軽減することで、社員のメンタルヘルスを守ります。

特に都市部の通勤は、片道1時間を超えるケースが多く、通勤によるストレスは離職理由の上位にも挙げられています。

実際、あるIT企業のテレワークに関するアンケート回答者の約60%がワークライフバランスが取りやすくなったと回答。また約70%が満員電車や感染リスク等へのストレスが減少したと回答しています。

働く環境の質が社員の生産性と定着率を左右する今、テレワークは有効なストレス対策になり得ます。

▼参考:TIS株式会社の事例

柔軟な働き方の実現

テレワークの導入は、多様なバックグラウンドを持つ人材にとっての働きやすさを提供します。

特に育児・介護を抱える社員や、地方・遠隔地からの採用において、時間や場所にとらわれない働き方は大きな武器になります。

総務省の「労働力調査」によると、失業している人(失業者のうち仕事をやめたため求職している人)が前職をやめることになった理由は、「その他」を除くと全体では「より良い条件の仕事を探すため」が最も多く20.0%でした、また、柔軟な働き方を認めた企業では、時短勤務者の昇進率が向上したという報告もあります。

柔軟な働き方の選択肢がある企業は、結果として“選ばれる企業”となり、採用力・人材定着力の両面で優位性を発揮できます。

▼参考:公益財団法人 生命保険文化センター 失業している人が離職した理由は何?

テレワーク導入のデメリット

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一方で、テレワークには注意すべきデメリットも存在します。企業としては、それらを正しく理解し対策を講じることが必要です。

エンゲージメント低下

テレワークは物理的な距離が心理的な隔たりを生みやすく、社員のエンゲージメント低下を招くことがあります。オフィスでは自然に発生していた雑談や他部署との交流が減ることで、帰属意識やチームの一体感が損なわれるリスクがあります。

<具体的な対策>

  • 定期的な1on1ミーティングを通じて上司と部下の関係性を維持する
  • 全社会議・オンライン朝礼の定期開催により企業文化を醸成する
  • バーチャルオフィス(例:oViceやGather)の導入で、偶発的なコミュニケーションの創出を支援
  • 雑談専用チャットルームやランチ会など、非業務的な交流の機会を積極的に設計する

これらの取り組みは、特にオンボーディング時や新入社員の孤立防止にも効果を発揮します。

業務進捗の把握が困難

オフィスでは“ちょっと様子を見る”だけで把握できていた進捗も、テレワークでは可視化が難しく、マイクロマネジメントか放置かの両極端に陥りやすいという課題があります。

<具体的な対策>

  • タスク管理ツールの導入(例:Asana、Trello、Notion)で各人の業務状況を透明化
  • 日報・週報・朝会のルーチン化により、進捗を習慣的に報告
  • KPIや成果ベースの評価制度への移行も、管理工数を減らしつつ納得度の高い評価を可能にします

マネジメント層は「報告させる」のではなく「成果を引き出す仕組みづくり」が求められます。

情報漏洩のリスク

社外ネットワークから業務システムにアクセスするテレワーク環境では、情報漏洩・不正アクセス・端末盗難などのセキュリティリスクが高まります。特に私用PCやフリーWi-Fiの利用は、企業機密の漏洩につながる危険性があります。

<具体的な対策>

  • VPN(仮想プライベートネットワーク)による通信の暗号化
  • 社内システムへのアクセス制限やIP制限
  • PCのリモートワイプ・MDM(モバイルデバイス管理)の導入
  • セキュリティ研修の定期実施とルール整備

また、IPA(情報処理推進機構)では「テレワークセキュリティガイドライン」も公開しており、企業が最低限導入すべき対策が明示されています。

▼参考:IPA テレワークセキュリティガイドライン

テレワーク支援制度・助成金まとめ(2025年最新情報)

国や地方自治体では、テレワークの導入を促進するための様々な支援制度を提供しています。2025年時点で利用可能な主な制度を紹介します。

厚生労働省の助成制度と申請方法

代表的な制度として「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」があります。

これはテレワークの導入に伴う機器・システム購入費用などを支援するもので、最大100万円の助成が受けられるケースもあります。

▼参考:厚生労働省 人材確保等支援助成金

地方自治体・独自支援の活用方法

東京都の「テレワーク促進助成金」や茨城県の中小企業支援など、各自治体ごとに異なる支援があります。都道府県の公式サイトをチェックし、最新情報を確認しましょう。

無料で使える診断ツール・セミナー紹介

厚生労働省は「テレワーク導入診断ツール」や「オンラインセミナー」を無償で提供しています。制度導入の第一歩として活用できます。

▼参考:テレワーク総合ポータルサイト

テレワーク支援の制度や助成金については、以下の記事も参考にしてください。

▼関連記事:(記事No.0066 テレワーク 促進助成金)

最新トレンド:進化するテレワークのかたち

テレワークは日々進化しており、新たなスタイルや価値観が登場しています。ここでは、最近注目されている働き方のトレンドと、今後の展望について見ていきましょう。

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ワーケーション/デジタルノマド/越境型勤務

「ワーケーション」は観光地や地方に滞在しながら働くスタイル。「デジタルノマド」は国をまたいで働くスタイルを指します。これらはライフスタイルと仕事の境界を柔軟にした、新しい働き方です。

2023年には長野県や和歌山県がワーケーション補助金制度を導入するなど、地方創生とも連動する動きが見られます。

海外企業と比較した日本のテレワーク事情

JILPTの調査によると、日本のテレワーク実施率は労働者ベースでは10%台~20%台と、米国や北欧諸国と比べて低水準にとどまっています。その背景には、出社を前提とした組織文化やマネジメント手法、紙・対面に依存した業務慣行が根強く残っていることが挙げられます。

一方で、欧米ではハイブリッドワークが定着し、在宅勤務の権利を保障する動きも進行中です。こうした動きを受けて、日本でも総務省や厚労省がテレワーク推進施策を打ち出しており、柔軟な働き方が人材確保の要件として重視されつつあるのが現状です。

今後は、制度や評価の整備を含めた「活用力」が企業の競争力を左右することになるでしょう。

▼参考:JILPT テレワークの現状

2025年以降の展望と今から準備すべきこと

テレワークを一時的な措置と捉えるのではなく、戦略的に活用できる体制づくりが2025年以降の企業競争力を左右します。

コロナ禍が落ち着きを見せ、出社回帰の動きも進む一方で、従業員側からのテレワーク継続の要望は依然として高水準です。特に若年層や子育て世代にとっては、働きやすさ=企業選びの基準にもなっており、柔軟な働き方を提供できる企業ほど人材確保や定着に有利になる傾向があります。

その一方で、エンゲージメントの低下や情報共有の停滞など、課題を抱えたままのテレワークでは逆効果になる可能性もあります。だからこそ、制度や評価体制、コミュニケーション手段の見直しが不可欠です。

今から備えるべきは、テレワークの“有無”ではなく“質”を問う視点です。リモート下でも成果が出せるチームづくり、適切なツールの導入、健康管理やメンタルケアまで含めた総合的な支援体制が、選ばれる企業をつくります。

まとめ

テレワークは単なる働き方の変化ではなく、企業の持続可能性や競争力を左右する戦略要素です。まずは制度の理解から始め、支援制度の活用や段階的な導入を検討してみましょう。最新のトレンドや制度を取り入れながら、自社に合った柔軟な働き方を実現していきましょう。

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