生理休暇の取り方3選!取得しやすくするための運用ポイントも解説
2025年 8月 8日

生理休暇の取り方3選!取得しやすくするための運用ポイントも解説
この記事では、生理休暇の取り方を3パターン解説します。
また、生理休暇は制度だけが形骸化しないように、取得しやすくする工夫が必要です。
就業規則への明記や名称変更など、運用のポイントを参考にしてみてください。
生理休暇は全ての企業で取れる
生理休暇は労働基準法第68条により、「生理が原因の症状により就業が著しく困難な状態」な場合に企業は休暇を与えなければならないとされています。また、基本的に自己申告で取得でき、雇用形態に関わらず誰でも請求・取得が可能です。つまり、会社が認めないという選択肢は本来存在しません。
しかし、「制度はあるが、使われていない」「上司が理解しておらず、申請しにくい」など、取得しにくい空気や運用上の壁がある企業も少なくありません。
本記事では取得しやすい環境作りや円滑な運用のための方法を解説していきます。
▼参考:e-Gov 法令検索 労働基準法
生理休暇の取り方3選
生理休暇の取得方法は、一律ではなく柔軟な運用が可能です。
ここでは代表的な3つの取得パターンをご紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社に最適な運用方法を検討してみましょう。
当日申請型(事後申請含む)
生理休暇の取り方の一つ、当日申請型は、当日の体調に応じて直属の上司や人事部に連絡して休暇を申請する方法です。メールやチャット、勤怠システムからの申請であれば、心理的ハードルを下げることができます。
当日申請が可能なので、突発的な体調不良に対応しやすく、実際の症状に合わせた柔軟な対応が可能です。
ただし、急に休まれることで業務に支障がでたり、周囲の人への負担が増えたりする可能性があります。
事前申請型
事前申請型は、生理周期を把握している従業員が、予定に合わせてあらかじめ申請しておく方法です。
この方法のメリットは、業務調整やチームへの配慮がしやすいことです。一方で、生理休暇を事前申請していたものの、実際に症状が出ないこともあるでしょう。その場合は、取り消して出勤可能にしたり、在宅勤務を認めたりするなど柔軟な対応をとれるようにしましょう。
半日・時間単位取得型
半日・時間単位取得型は、午前休・午後休、または1〜2時間の短時間休暇として取得できます。「通勤がつらい朝だけ休みたい」「午後から病院に行きたい」など、症状や都合に応じた柔軟な取得ができるでしょう。
この方法も、当日申請や事前申請などタイミングも柔軟に選べるとよいでしょう。
フル休暇よりも心理的なハードルが低く業務への影響も最小限に抑えられるため、職場全体の理解も得やすいでしょう。
生理休暇を取りやすくする運用ポイント
生理休暇の取得率を向上させるためには、取り方の整備だけでなく従業員が安心して申請できる環境づくりが不可欠です。
ここでは実効性のある運用を実現するための3つのポイントをご紹介します。
就業規則や社内ポータルに明記
生理休暇制度の存在や取得方法を明確にしなければ、従業員は申請をためらってしまいます。就業規則に以下の要素を明記して、いつでも確認できるようにしましょう。
- 取得条件:「生理日の就業が著しく困難な場合」
- 申請方法:当日の口頭申請も可能であること
- 取得単位:1日・半日・時間単位での取得が可能であること
- 賃金規定:有給か無給かの明示
また、Floraが提供しているサービス「Wellflow」ではオプション機能として企業別ページをアプリ内に作ることができます。そこで生理休暇を紹介することにより利用の促進も可能です。
勤怠システムやチャットで簡易に申請できる仕組み
生理休暇の申請にあたって、書類の提出が必要だったり、直接上司に連絡しなくては行けなかったりすると、心理的ハードルが高くなります。そのためシステムで簡単に申請できるシステムを利用する方法もあります。申請システムを導入することで、プライバシーに配慮した申請が可能になるでしょう。
取得方法をはじめとする生理休暇のルールは、従業員の声や取得状況に合わせて、柔軟に変更しましょう。
生理休暇の名称変更
「生理休暇」という名称に抵抗感を持つ従業員が多いことも取得率の低さに影響しています。
「体調管理休暇」「ヘルスケア休暇」「ウェルネス休暇」など、より取得しやすい名称に変更して心理的ハードルを下げられます。
実際に「Life Style Support 休暇」という名称に変更して、従業員の取得率があがった事例もあります。
▼参考:働く女性の心とからだ応援サイト 特集 働く女性と生理休暇
生理休暇にまつわるQ&A
生理休暇の制度運用について、人事担当者や管理職から寄せられる疑問を解決しましょう。
生理休暇は有給?無給?
生理休暇は、法律上は「無給」とされていますが、実際の運用は企業によって異なり、有給で付与している企業もあります。
労働基準法では賃金支給に関する定めがありませんが、厚生労働省の調査(2020年度)によると約7割の企業が無給です。
取得回数や日数、時間に制限はある?
労働基準法では取得日数や回数に上限設定はありません。条件に該当する限り企業は拒否できませんが、給与支払いの上限設定は可能です。
生理休暇を取得した社員への対応は?
労働基準法では、生理休暇の取得によって労働者が不利益となることを禁じています。具体的には、生理休暇を取得したことで欠勤扱いとしたり、昇給・賞与査定で不利に扱ったりしてはいけません。適切な対応として以下の点が重要です。
- 取得理由を詮索しない
- 他の従業員に取得理由を説明させない
- プライバシーに配慮した情報管理
- 取得したことによる人事評価への悪影響を避ける
中小企業が導入する際の工夫はある?
中小企業の場合、生理休暇は無給休暇であることが少なくありませんが、限られた人員と予算の中でも工夫は可能です。
段階的導入(月1日のみ有給など)、時間単位取得での業務影響最小化、経営者のリーダーシップが特に重要です。名称変更や包括的制度設計、0.5時間単位の柔軟性提供なども効果的です。
まずはトップが制度の重要性を認識し、全社的な取り組みで推進することが成功の鍵となります。
▼参考:厚生労働省 働く女性と生理休暇について
▼参考:厚生労働省 令和2年度雇用均等基本調査の結果は、厚生労働省
まとめ|取りやすい環境づくりが企業成長につながる
生理休暇は労働基準法で保障された権利であり、適切な制度運用が求められます。特に、生理休暇の取り方を柔軟にすることで、従業員の心理的ハードルを下げることが可能です。
取得しやすい環境整備は女性活躍推進、健康経営、従業員エンゲージメント向上といった経営課題解決につながります。長期的には離職率低下、生産性向上、企業イメージ改善などの効果が期待できるため、「組織成長のための戦略的施策」だと捉えることが重要です。