ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンが企業に求められる理由と実践のコツ
2025年 7月 15日

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)は、多様性を受け入れ、公平な機会を提供し、全ての従業員が能力を発揮できる包摂的な環境を創り出す経営戦略です。
この記事では、DE&Iの基本概念から具体的な実践方法、他社の成功事例まで、企業規模に関わらず取り組めるポイントを詳しく解説します。
特に中小企業でも無理なく始められる段階的な導入ステップや、月1回の面談といった身近な施策から始める方法もご紹介するので、自社の状況に合わせた最適なアプローチを見つけることができます。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの基礎知識
企業経営において「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」への注目が高まっています。人的資本開示やESG(環境・社会・ガバナンス)経営の文脈でも重要視される概念ですが、その意味を正しく理解し、実践に繋げることが重要でしょう。
それぞれの要素を詳しく見ていきます。
ダイバーシティとは何か
ダイバーシティ(Diversity)とは、「多様性」を意味する概念です。企業における多様性とは、性別、年齢、国籍、宗教、価値観、キャリア、雇用形態、障がいの有無など、さまざまな属性や背景を持つ人材が組織に存在している状態を指します。
ダイバーシティが注目される背景には、少子高齢化による労働力不足、グローバル化の進展、消費者ニーズの多様化といった社会情勢の変化があります。多様な人材を活用することで、企業は変化する社会情勢に柔軟に対応し、イノベーションを創出することが期待されています。
ただし、単に多様な人材を採用するだけでは不十分で、その多様性を活かすための環境整備が必要となります。
エクイティとは何か
エクイティ(Equity)とは、「公平性」や「公正性」を意味し、一人ひとりが能力を発揮できるよう、個別に支援を調整して公平な土台を作ることです。
エクイティは単なる平等(Equal)とは異なります。平等は一人ひとりの置かれた状況に関わらず、すべての人に同じ機会や支援を提供することを指します。一方、エクイティは個人の状況や特性に応じて異なる支援を行い、結果として公平な環境を実現することを目指します。
例えば、昇進制度で全員に同じ基準を適用しても、育児や介護などの事情がある人には不利になることがあります。エクイティはこうした不平等を是正し、誰もが実力を発揮できる土台を作る考え方です。
インクルージョンとは何か
インクルージョン(Inclusion)とは、「包摂性」や「受容性」を意味する概念です。多様な人材が組織に参加しているだけでなく、それぞれが価値ある存在として認められ、能力を発揮できる環境があることを指します。
例えば、女性管理職の割合を高めることはダイバーシティの観点では重要ですが、その女性たちが意思決定に参加できず、意見が軽視されるような環境では、真のインクルージョンが実現されているとは言えません。
インクルージョンが機能している組織では、多様な視点や意見が尊重され、誰もが発言しやすい心理的安全性があります。個人の特性や能力が適切に評価され、帰属意識を持って働ける環境が整っているのです。このように、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンは相互に関連しながら、組織全体の成長と個人の幸福を実現する重要な概念なのです。
企業にDE&Iが求められる背景

現代の企業経営において、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進は選択肢ではなく必須の取り組みとなっています。その背景には、投資家や社会からの期待、競争環境の変化、そして国際的な潮流という複合的な要因があります。
人的資本経営とESG投資の拡大
経済産業省が提唱する「人的資本経営」とは、人材を資本と捉え、その価値を引き出すことで中長期的な企業価値向上を目指す経営手法です。
近年ではESG投資の拡大に伴い、機関投資家の人的資本への関心が高まっています。そのため業績だけでなく「DE&Iの取り組み」や「法令順守」といった人的資本に関わるESG要素が重視されており、これらに積極的に取り組む企業は投資先として選ばれやすくなっています。こうした背景から、DE&I推進は企業価値の向上や資金調達にも直結する重要な経営課題となっています。
▼参考:経済産業省 人的資本経営
多様な人材が企業価値に与える影響
経済産業省は、多様な人材の能力を最大限発揮させ、イノベーションと価値創造を促す経営を「ダイバーシティ経営」と定義しています。異なる視点や経験を持つ人材が集まることで、新しいアイデアや創造的な解決策が生まれやすくなります。
ダイバーシティの本質は、単に多様な人材を集めることではなく、多様性を活かして組織の競争力を高めることにあります。また、ダイバーシティが推進されている企業では、従業員のエンゲージメントが向上し、優秀な人材の獲得・定着にも寄与することが報告されています。
▼参考:経済産業省 ダイバーシティ経営の推進
国際社会におけるジェンダー平等の動き
国際社会ではジェンダー平等が重要な課題として注目され、多くの国や企業が積極的な取り組みを進めています。国連のSDGsでは「5.ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられ、企業にも具体的な対応が求められています。
これに伴い、女性の活躍推進や賃金格差の是正など、世界の多くの企業で改革が進められています。しかし、日本はこれらの分野でやや遅れをとっており、一層の取り組み強化が求められています。
また、こうした動きは、国際的な労働環境の改善や多様な人材の活用促進にもつながっています。企業は単なる社会貢献活動にとどまらず、多様性を通じて新たな価値創造を目指す必要があるのです。
▼参考:ワールド・ビジョン SDGs目標5「ジェンダー平等」とは | 日本の現状や取り組みを解説
DE&I推進の効果
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進は、社会的責任を果たすだけでなく、企業の競争力を高める重要な経営戦略です。ここでは、具体的な効果を解説します。
従業員満足と定着率の向上
DE&I推進の最も直接的な効果は、従業員の満足度と定着率の向上です。公平性(エクイティ)を重視した取り組みは、だれもが受け入れられていると感じることができ、能力を発揮できる環境を整備します。
例えば、子育て世代には柔軟な勤務形態を提供し、障がいのある従業員には必要な設備やサポートを提供するなど、画一的な平等ではなく、それぞれのニーズに応じた支援を行うことで、従業員の働きやすさは大幅に改善されます。
このような環境では、従業員は自分が大切にされていると感じ、組織に対するエンゲージメントが高まります。結果として、離職率の低下や生産性の向上に直結し、企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。
企業価値とブランドイメージの強化
DE&I推進は、企業の社会的価値とブランドイメージの向上に効果的です。近年、投資の拡大やSDGsの推進、コーポレートガバナンス・コードの改訂を背景に、企業に多様性への担保を求める動きが活発化しています。
投資家や取引先企業は、サステナビリティや社会的責任を重視する企業を選ぶ傾向が強まっており、DE&I推進はステークホルダーからの信頼獲得につながるでしょう。
また、消費者の価値観も変化しており、多様性を尊重する企業への支持が高まっています。特に若い世代は、自分の価値観に合致する企業のサービスや製品を選ぶ傾向が強いため、DE&I推進は長期的なブランド価値の向上につながります。
採用競争力とイノベーションの促進
DE&I推進は、優秀な人材の確保と組織のイノベーション創出力を高める効果があります。労働人口の減少や、終身雇用制を前提とした従来の人事制度の限界が明らかになる中で、企業は多様な人材の活用が必要です。
特に、優秀な人材の多くは、働きやすい環境や自分の価値観に合致する企業を選ぶ傾向があります。DE&I推進により、性別、年齢、国籍、性的指向、障がいの有無など、さまざまな背景を持つ人材が活躍できる環境を整備することで、より広い人材プールから優秀な人材を採用できるようになります。
また、多様な視点や経験が交わることで新たなアイデアや革新的な解決策が生まれ、変化の激しい現代のビジネス環境において、企業競争力を維持・向上させるための重要なポイントとなります。
▼参考:日本生産性本部 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
DE&I実現に向けた社内施策

ここでは、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に向けた社内施策を紹介します。単に多様性を受け入れるだけでなく、個々の従業員が公平な機会を得て、その能力を最大限に発揮できる環境を整えていきましょう。
採用・人材登用の多様性を確保する施策
- 性別・年齢・国籍・障がいの有無などを問わない公正な採用フローの整備
- 採用広報における多様な社員の登場(ロールモデル可視化)
- ダイバーシティを意識した面接官トレーニングの実施
- 女性や外国人の管理職候補登用を意識した人事制度設計
- 非正規社員・中途入社からの登用ルート明示
採用と人材登用における多様性の確保は、DE&I推進の基盤となる重要な施策です。性別・年齢・国籍・障がいの有無に関わらず、公正な採用プロセスを整備し、能力や適性を公平に評価する仕組みが求められます。
採用広報では多様な社員を登場させ、面接官に対するダイバーシティ研修を実施し、無意識バイアスを排除することが重要です。また、女性や外国人の管理職候補登用を意識した人事制度設計や、非正規社員・中途入社からの登用ルートを明示することで、全ての従業員にキャリアアップの機会を提供する体制づくりが必要です。
社内制度の見直し・柔軟な働き方の導入
- フレックスタイム制度・時差出勤制度
- テレワークや在宅勤務制度の整備
- 時短勤務制度の対象者拡大(育児・介護・持病など)
- 子どもの看護・家族の介護に使える特別休暇の導入
- キャリアと家庭を両立しやすい育休取得促進(男女ともに)
働き方の多様化に対応した制度整備は、エクイティ(公平性)実現に欠かせません。個々の事情に応じた柔軟な働き方を可能にすることで、多様な人材が力を発揮しやすくなります。
たとえば、フレックスタイム制度や時差出勤の導入、テレワークや在宅勤務の整備は、通勤や家庭の制約を抱える従業員にも有効です。時短勤務制度の対象を介護や持病治療にも広げることで、より多くの人が恩恵を受けられます。
さらに、看護や介護の特別休暇や、男女ともに育休を取りやすくする環境づくりも重要です。制度を整えるだけでなく、使いやすく不利益のない運用が求められます。
エクイティを意識した評価・処遇制度の整備
- 業務以外にプロセスや挑戦を評価する評価指標の多様化
- 育休・時短など働き方にかかわらず公正な評価制度の導入
- キャリア中断者への再チャレンジ支援(復職研修・職務設計)
- 男女の賃金格差を見える化し、是正するアクション
従来の画一的な評価基準を見直し、多様な働き方や価値観を公平に評価する仕組みを構築することで、真のエクイティを実現できます。業績以外にプロセスや挑戦を評価する指標の多様化が重要です。育児休業や時短勤務などの制度を利用する従業員についても、時間ではなく成果の質を評価し、柔軟な働き方が不利益とならないよう配慮しましょう。
キャリア中断者への復職研修や職務設計による再チャレンジ支援、男女の賃金格差の見える化と是正アクション、透明性のある評価基準の設定により、従業員に対して評価の根拠を明確に説明できる体制を整えることが求められます。
意識・風土改革のための取り組み
- 無意識バイアス研修(管理職・全社員向け)
- ジェンダー平等・インクルージョン研修の実施
- DE&I推進チームやアンバサダー制度の設置
- 上司と部下の対話を促す1on1ミーティングの推奨
- 多様な社員の声を集める社内サーベイやピュアボイス制度ピア
DE&I推進の成功には、制度整備だけでなく、従業員一人ひとりの意識改革と組織文化の変革が欠かせません。多様性を受け入れる土壌づくりが、持続的な変化を実現できます。
管理職と全社員を対象とした無意識バイアス研修やジェンダー平等・インクルージョン研修が重要であり、自身の中にある偏見を認識し、公平な判断ができるよう意識を見直すことが求められます。現場の声を経営に届けるDE&I推進チームやアンバサダー制度の設置、1on1ミーティングの推奨、社内サーベイの導入により、多様な視点を組織運営に活かすことが可能になります。
健康とウェルビーイングの支援
- 女性特有の健康課題(生理・不妊治療・更年期)に配慮した休暇・補助制度
- メンタルヘルス相談窓口の設置
- 社内健康セミナー(ライフイベント・育児・介護など)
- ハラスメント相談体制・再発防止研修の徹底
- 多様な働き方に対応した福利厚生の再設計(副業・職種変更など)
従業員の健康とウェルビーイングを支援することも、DE&I推進において重要な施策です。特に、女性特有の健康課題への配慮やメンタルヘルス対策は、公平な職場環境の実現に直結します。
たとえば、生理や不妊治療、更年期などに配慮した休暇や補助制度の導入、メンタルヘルス相談窓口の設置、育児や介護などライフイベントに対応した社内健康セミナーの開催が有効です。さらに、ハラスメントの相談体制や再発防止研修の徹底、多様な働き方に対応するための福利厚生の見直し(副業・職種変更など)も、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにつながります。
キャリア支援・学び直しの促進
- 管理職候補向けキャリア支援(女性・若手・外国人など対象)
- 社内メンター制度の導入
- リスキリング支援(eラーニング・業務外研修費補助)
- ダイバーシティ表彰制度の導入(行動・成果を可視化)
DE&I推進では、全ての従業員が継続的に成長できる機会を提供することが、エクイティの実現に直結します。女性・若手・外国人などを対象とした管理職候補向けキャリア支援プログラムの実施が効果的であり、個々の状況に応じたカスタマイズされた支援を提供します。
社内メンター制度を活用し、多様な背景を持つメンターとメンティーのマッチングを行い、ロールモデルを見つけられる環境を整えることができます。リスキリング支援やダイバーシティ表彰制度の導入により、組織全体のモチベーション向上を図ることができるでしょう。
他社の取り組み事例に学ぶ
ここからは、実際にDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に取り組んだ企業の事例を紹介します。
エクイティ推進の成功事例
<大手企業事例:カルビー株式会社の包括的DEI戦略 >
カルビーでは、社員全員が活躍できる環境を整えるため、ダイバーシティ&インクルージョンの専任部門を設立し、組織的にエクイティ推進に取り組んでいます。管理職向けの無意識バイアスに関するeラーニングの実施、女性社員向けの研修やリーダー育成プログラムの準備などを通じて、個々の従業員が必要とする支援を提供する仕組みを構築しています。結果として、女性の事業本部長が開発した商品の売上が300億円を超えるなど、具体的な成果を上げています。
▼参考:カルビー ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進
<中小企業事例:地域密着型企業での個別対応型エクイティ実践 >
企業規模が大きいほどダイバーシティ推進が進んでいる傾向がある一方で、中小企業では「取り組めている」と回答する割合が3割未満にとどまっているのが現状です。しかしそのような中でも、中小企業ならではの機動力や柔軟性を活かした成功事例が生まれています。
ある従業員100名規模の地域密着型企業では、経営陣が現場との距離の近さを活かして、従業員一人ひとりの状況を丁寧に把握したうえで、育児や介護といったライフイベントに応じた勤務時間の調整や、本人の希望に応じたスキルアップ研修の個別提供を実施しています。こうした細やかな対応により、大企業には難しい「個人に寄り添うエクイティ」が実現され、従業員の定着率やモチベーションの向上に繋がりました。
▼参考:東京商工会議所 中小企業のためのダイバーシティ推進ガイドブック
(H3)制度・評価への反映事例
<大手企業事例:NTTデータグループの体系的制度設計>
株式会社NTTデータでは、グループビジョンとして「Trusted Global Innovator」を掲げており、その3本柱の一つとしてダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進 しています。2008年から人事統括役員をトップに据えたダイバーシティ推進室を設け、組織的な取り組みを展開しています。管理職の評価項目にダイバーシティ推進に関する指標を組み込み、昇進・昇格の判断材料として活用することで、制度面からエクイティの実践を促進しています。
▼参考:NTTデータグループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)公式ページ
<中小企業事例:従業員50名規模のIT企業での実践的制度運用 >
従業員50名規模のIT企業では、公平な評価を行うため、明確な評価基準を設けたり、制度化をすることがおすすめ という考えのもと、個々の従業員の働き方に応じた評価制度を導入しています。リモートワークと出社勤務の従業員が混在する中で、成果重視の評価基準を明確化し、勤務形態に関わらず公平な評価を実現しています。また、月1回の個人面談を全従業員に実施し、キャリア目標や必要な支援について定期的に確認することで、一人ひとりに適した成長機会を提供する仕組みを整えています。中小企業の特性を活かした、きめ細やかなエクイティ実践を行っています。
▼参考:HRC 中小IT企業向け|採用・定着に強い人事評価制度導入ガイド
これらの事例から分かるように、エクイティの推進には企業規模に応じた適切なアプローチが必要です。大手企業は体系的な制度設計と組織的な推進体制を、中小企業は個別対応力と経営陣の直接関与を活かすことで、それぞれ効果的なエクイティ推進を実現しています。
自社の規模や特性を踏まえて、これらの事例を参考に実効性のある取り組みを検討していきましょう。
中小企業でも始められる導入ステップ

エクイティ推進に取り組みたいと考えても、「何から始めれば良いかわからない」「予算や人員が限られている」といった悩みを抱える中小企業は多いでしょう。
ここでは、中小企業ならではの機動力と経営陣の直接関与を活かし、実現可能な小さな施策から始めるステップを紹介します。
実現可能な小さな施策から
エクイティ推進は、大掛かりな制度変更から始める必要はありません。特に人材確保が難しい中小企業では、ダイバーシティ・マネジメントが重要なアプローチとなります。
たとえば月1回の面談で「働きやすさ」に関する要望を聞く、会議の進行を工夫して全員が発言しやすい環境をつくるなど、小さな取り組みから始められます。
育児や介護による時短勤務希望者には、業務分担の見直しや在宅勤務の部分導入など柔軟な対応が効果的です。
中小企業は、経営者や管理職が従業員と直接対話できる特性を活かし、個別の状況に応じた支援を行うことで、エクイティの実践を進めることができるでしょう。さらに、採用時には性別や年齢に対する無意識のバイアスを見直し、多様な人材を受け入れる土壌づくりが大切です。
段階的な計画とPDCA運用
エクイティ推進を継続的に進めるには、段階的な計画と着実な実行が不可欠です。多様な人材を活用し価値創造につなげるには、単に制度を導入するだけでなく、PDCAサイクルでの運用が重要です。
まず第1段階で現状を把握し、アンケートや面談を通じて課題を明確化します。第2段階で施策を決定し、第3段階で実行、そして第4段階で効果検証を行います。
たとえば、3ヶ月ごとに進捗を確認し、半年ごとに見直すといったサイクルが有効です。初めに柔軟な働き方制度を試行し、次に評価制度の見直しへと段階的に進めることで、無理なく実践できます。
効果測定には、従業員満足度や離職率などの数値指標が有効です。中小企業ならではの機動力を活かし、小さな改善を積み重ねて最適な形を見つけていきましょう。
外部支援や認定制度の活用
中小企業がエクイティ推進を進めるには、外部の支援制度や認定制度の活用が効果的です。たとえば「えるぼし認定」は女性活躍、「くるみん認定」は子育て支援に焦点を当てた制度で、取得により企業イメージの向上や人材確保につながります。
労働局や商工会議所では、相談窓口やセミナーを通じて専門的な支援が受けられます。また、中小企業庁の「ダイバーシティ経営企業100選」などの表彰制度も、自社の取り組みを評価してもらう機会になります。これらの制度への挑戦は、従業員の意識向上や一体感の醸成にも寄与し、限られたリソースでも効果的なエクイティ推進を可能にします。
▼参考:東京商工会議所 中小企業における人材と働き方の多様化による組織力の強化
▼参考:ProSharing Consulting えるぼし認定とは?認定基準や取得メリット、くるみんとの比較まで徹底解説
▼参考:経済産業省 新・ダイバーシティ経営企業100選
まとめ
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)は、現代企業にとって競争力を高める重要な経営戦略です。多様性、公平性、包摂性を実現することで、従業員満足度の向上、優秀な人材の確保、イノベーションの創出といった具体的な成果を期待できます。
DE&I推進には、採用の多様化、柔軟な働き方制度、公正な評価制度、組織文化の変革など多角的なアプローチが必要です。中小企業でも月1回の面談や会議の進行改善など、小さな施策から段階的に取り組むことで無理なく実践できます。
Wellflowでは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進する企業をサポートするサービスを提供しています。貴社の現状と課題を詳しくお聞きし、最適な施策とサポートをご提案いたします。