生理休暇は毎月でもOK?社員が安心して取得できる制度づくり

2025年 8月 10日

https://reliable-friends-900b141288.media.strapiapp.com/024_1_f7ee778f90.webp

生理休暇は法定の制度として認められているものの、「毎月取得されると業務に支障が出る」「どこまで制度設計できるのか分からない」といった戸惑いを抱える企業も少なくありません。

本記事では、生理休暇の法的な位置づけや日数制限の可否、申請しやすい環境づくりなどをわかりやすく解説します。

女性活躍推進や健康経営を見据え、制度を守るだけでなく“活かす”視点での対応を考えてみましょう。

生理休暇は毎月取得できる?

024_2.webp

生理休暇は毎月でも取得可能です。ただし、企業として適切な制度運用のために、法的な位置づけを正確に理解しておくことが重要です。

生理休暇の法的な位置づけ

生理休暇は、労働基準法第68条で定められた「法定休暇」です。法律では「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定されており、企業には取得を認める義務があります。

「生理日の就業が著しく困難」とは、下腹痛や頭痛、腰痛などにより働くことが難しい状態を指します。単に生理日であることだけを理由に取得できるわけではありませんが、申請時に診断書の提出は不要で、口頭での申請でも速やかに対応する必要があります。

拒否した場合には、30万円以下の罰金が科される可能性もあるため、制度の正確な理解と対応が求められます。

取得回数・日数の制限はできるのか

労働基準法は生理休暇の取得日数に制限を設けておらず、企業が「月1回まで」「年間6日まで」などと上限を設けることは認められていません。これは生理の症状に大きな個人差があるためです。

実際、月経困難症やPMSなど、毎月強い症状に悩まされる女性も少なくありません。生理によって就業が著しく困難な状態であれば、その都度休暇を認める必要があります。ただし、制度の適切な運用のためには、社内ルールの明文化や心理的安全性の向上が大切です。

▼ 参考:厚生労働省 労働基準法のあらまし(生理休暇)

生理休暇とともに整えるべき制度

024_3.webp

生理休暇の運用を円滑にするためには、企業として整えるべき制度があります。法的な義務を果たしながら、職場全体の公平性と働きやすさを両立するための具体的な対応策をご紹介します。

生理によって就業が著しく困難か確認する

毎月生理休暇を取得する従業員に対しては、まずは本人の体調や訴えを尊重し、様子を見守る姿勢が重要です。

しかし、業務への影響が大きくなり、周囲から不満の声がでるような場合には、「体調不良の申告」や「医師の受診の勧奨」など、制度運用の見直しも検討が必要です。

診断書の提出を一律で義務付けることは原則できませんが、本人の同意があれば、健康面でのフォローの一環として提出を促すことは可能です。本人との面談などを通じて丁寧に状況を確認し、一人ひとりの体調と業務のバランスを踏まえ、無理のない就労環境を整えることが大切です。

▼ 参考:生理休暇が多すぎる従業員への対応:労働基準法と生理休暇の適用

急な欠員にも困らない体制にしておく

制度の柔軟化だけでなく、「休みが出ても回る体制」を築くことも、現場の不満や混乱を防ぐためには欠かせません。実際、生理休暇は突発的な取得になることが多く、代替要員が確保されていないと業務に大きな支障が出てしまいます。

そのためには、チーム内の業務分担の平準化や、複数名でカバーできる体制づくりが有効です。また、パート・アルバイト・業務委託などの外部人材を活用して、繁忙期だけでも人員補強ができるようにしておくとよいでしょう。

「特定の人が休むと業務が回らなくなる」という状況こそが、制度の活用を難しくする大きな要因になり得ます。生理休暇に限らず、急な休みにも柔軟に対応できる体制づくりは、社員全体の心理的安全性を高め、働きやすい職場の実現にもつながります。

生理の症状を改善するためのサポートをする

毎月休まなくてはいけないほど生理の症状が重い場合、根本的な改善サポートも検討しましょう。Wellflowのような従業員向けのセルフケアアプリを活用すれば、産婦人科との連携やオンライン診療を通じて、症状の軽減につなげることができます。

症状の改善が進めば、結果として生理休暇の取得頻度が減る可能性もあります。従業員の健康管理をサポートすることで、生理休暇の頻度を適正化し、結果的に職場全体の生産性向上にもつながるでしょう。そのため企業としての健康経営の取り組みとしても価値があります。

▼ 参考:Wellflowのサービス詳細はこちら

取得しやすい生理休暇の制度設計とは

024_4.webp

制度があるだけでなく、社員が安心して使える環境づくりが重要です。毎月の取得も想定した柔軟な制度設計を行うために、企業として実践できる5つの工夫を紹介します。

時間単位・半日単位での柔軟な取得

生理の症状は個人差があり、丸一日休む必要があるケースもあれば、数時間だけ無理せず休めれば十分という声もあります。そんなときに有効なのが、「時間単位」や「半日単位」での生理休暇です。

実際に「1日」「半日」「1時間単位」から選べる制度を導入している企業は増えてきています。時間単位や半日単位での選択が可能だと、取得しやすさが向上し、全日休むのは気が引ける…という従業員の心理的ハードルを下げることができます。

生理休暇の名称変更

「生理休暇」という名称自体が、申請のハードルになることもあります。上司に伝えにくい、周囲に知られたくないという声がある場合、名称の見直しは効果的です。

「体調管理休暇」「ウェルネス休暇」などに変更することで、他の休暇と同様に扱いやすくなります。制度の内容はそのままでも、呼び方を工夫するだけで心理的な負担が軽減される場合があります。

就業規則に明記

運用ルールが曖昧なままだと、制度が形骸化してしまいます。生理休暇のルールを「就業規則」に明記することで、トラブル防止と利用促進の両方に効果的です。

たとえば「診断書は原則不要だが、月4回以上など頻度が高い場合は提出を求めることがある」など、具体的に定めることで従業員・上司ともに迷わず対応できます。法令を踏まえつつ、実態に合わせたルール設計が求められます。

申請のしやすさとハードルを下げる工夫

取得の最大のハードルは、「言いづらさ」かもしれません。特に男性上司への直接申請や、申請理由の開示がネックになっているケースが目立ちます。

申請理由の非開示や選択制、勤怠システムからのワンクリック申請、相談窓口の設置なども効果的です。このように「使える制度」にする工夫が、制度の活性化につながるのです。

有給枠と無給扱いの切り分け方

生理休暇は本来、「無給」での運用が想定されています。しかし、企業によっては有給休暇枠を利用したり、特別有給休暇として独自に有給化しているケースも見られます。

「毎月の取得」を前提とする場合、すべて無給では社員の不満が出やすくなります。一方で、常に有給とすると他の社員との不公平感が生じる可能性もあるでしょう。

そこで、「年間◯回まで有給扱い」など、ルールを設けてバランスを取るのも一つの選択肢です。

透明性と納得感を両立させるために、自社の方針や実態に合った運用ルールを検討することが重要です。

まとめ

生理休暇は、個人差の大きい健康課題に寄り添う重要な制度です。

毎月取得されることに不安を感じる企業もあるかもしれませんが、法的な位置づけを正しく理解したうえで、制度を整えることが重要です。

就業規則の整備や体制の見直し、体調管理アプリの活用や検診補助などを行えば、制度を前向きに活用しながら、職場全体の働きやすさを高めることができるようになります。

女性活躍推進をご検討中の企業様は、ぜひWellflowにご相談ください。貴社の課題や組織体制に合わせた最適なプランをご提案いたします。

▼参考:Wellflowのサービス詳細はこちら