くるみんとえるぼしの違いとは?認定基準・取得メリット・併用効果を徹底解説

2026年 1月 7日

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くるみんは、子育てと仕事の両立をサポートする企業に対して認定を行う制度です。また、えるぼしは女性活躍を進める企業のうち一定の基準を満たすことで認定を得られます。しかし、2つの認定の違いやメリットを知った上で認定取得を進めることに難しさを感じる人事担当者も多くいます。

本記事では、くるみん、えるぼしの概要から認定基準、取得メリット、効果や課題と解決策までを解説しています。

自社にあった制度の認定取得にご活用ください。

くるみん認定とえるぼし認定とは

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企業の働きやすさや女性活躍の推進を社会に示す認定制度として、「くるみん認定」と「えるぼし認定」があります。どちらも厚生労働省が主導する公的な制度ですが、それぞれが評価する領域や目的は異なります。

ここでは、くるみん認定とえるぼし認定それぞれの概要と目的を詳しく解説していきます。

くるみん認定の概要と目的

くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てサポート企業として厚生労働大臣が認定する制度です。2005年に制度が開始されて以来、多くの企業が認定取得に取り組んでいます。

この認定制度の最大の目的は、仕事と子育ての両立支援を推進する企業を社会的に評価し、子育てしやすい職場環境づくりを促進することにあります。 なお、くるみん認定の他に、くるみんの認定を得る前のステップにトライくるみんがあります。また、くるみんよりも高い水準の取り組みを行っている企業にはプラチナくるみんという認定も設けられています。

えるぼし認定の概要と目的

えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度です。2016年に制度が施行され、女性が長期的に活躍できる職場環境の整備を後押ししています。

この制度の目的は、女性の採用から管理職登用まで、キャリアの各段階における機会の提供と活躍の実態を可視化し、評価することにあります。5つの評価項目が設定されており、基準をどれだけ満たしているかで1段階から3段階までの認定が付与されます。

さらに、えるぼしの上位認定にプラチナえるぼしがあり、より高い水準で女性活躍推進に取り組む企業が認定されています。

▼参考:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

▼参考:厚生労働省 子ども・子育てくるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

「くるみん」と「えるぼし」の違いを比較

くるみん認定とえるぼし認定は評価する領域や求められる取り組みには明確な違いがあります。ここでは3つの視点からくるみんとえるぼしの違いを比較していきます。

認定基準・難易度の違い

くるみん認定とえるぼし認定では、評価される項目と求められる基準が大きく異なります。

くるみん認定の基準は、子育て支援に特化した内容となっています。主な評価項目には、以下のようなものがあります。

  • 男性の育児休業取得率(直近の事業年度で30%以上、または育児休業と育児目的休暇を合わせて50%以上)
  • 女性の育児休業取得率(75%以上)
  • フルタイム労働者の法定時間外・法定休日労時間の平均(各月30時間未満など)
  • 男性の育児休業等取得期間の延伸や年次有給休暇の取得促進、多様な働き方を整備する取り組みの中で目標を定めて実施すること

これらの基準を満たし、一般事業主行動計画を策定・実施していることが求められます。

えるぼし認定の基準は、女性活躍推進の5つの評価項目で構成されています。5項目のうち満たした項目数によって1段階から3段階までの認定レベルが決まります。

1. 採用

直近3事業年度平均について、全ての雇用管理区分で期間の定めのない者の「女性の競争倍率×0.8」が「男性の競争倍率」より低いこと。

または、直近の事業年度で「正社員全体に占める女性の割合」と「正社員のうち基幹的な雇用管理区分における女性の割合」のいずれもが、産業ごとの平均値または4割以上であること。

2. 継続就業

①全ての雇用管理区分で「女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数」が0.7以上(期間の定めのない者に限る)。

②全ての雇用管理区分で「9・10・11年度前に採用された女性の継続雇用割合÷同時期に採用された男性の継続雇用割合」が0.8以上(期間の定めのない者かつ新規学卒採用者に限る)。

①、②のいずれかを満たすこと。両方算出できない場合は、直近事業年度の正社員における女性の平均継続勤務年数が産業平均以上でも可。

3. 労働時間等の働き方

全ての雇用管理区分で労働者1人当たりの「法定時間外労働+法定休日労働」の合計時間数の月平均が、前年度の各月ごとに全て45時間未満であること。

4. 管理職比率

管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること。

または直近3事業年度平均で「課長級より一つ下の職階にある女性のうち課長級に昇進した者の割合÷同男性の割合」が0.8以上であること。

5. 多様なキャリアコース

直近3事業年度で、A〜Dのうち、従業員301人以上は2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含む)、300人以下は1項目以上の実績があること。

A 女性の非正社員から正社員への転換(派遣労働者の雇入れでも可)

B 女性のキャリアアップとなる雇用管理区分の転換

C 過去在籍女性の正社員再雇用

D おおむね30歳以上女性の正社員採用。

令和7年適用の産業別平均値(「女性比率」「管理職比率」「平均勤続年数」等)は、令和7年6月9日付の平均値通知および厚労省特集ページの最新版をご確認ください。

認定を受けることで得られる効果の違い

くるみん認定の最大のメリットはくるみん助成金です。くるみんの認定を受けた常時雇用する労働者が300人以下の企業は、上限50万円の助成金を支給するくるみん助成金を活用できます。

プラチナえるぼし認定取得企業は一般事業主行動計画の策定・届出義務が免除され、行政手続きの負担が軽減されるという実務上のメリットがあります。

企業ブランディングへの影響

認定取得が企業ブランディングに与える影響は、ターゲットとするステークホルダーによって異なります。

くるみん認定は「家族に優しい企業」「ワークライフバランス重視」のイメージ構築に効果的です。子育て世代や若手人材に安心感を提供できるほか、消費者接点が多い業種では、くるみんマークの掲示がCSRへの取り組みを可視化します。また、サプライチェーン全体でダイバーシティ推進を重視する取引先に対して、持続可能な経営の証明材料となります。

一方でえるぼし認定は「女性が活躍できる企業」「多様性を尊重する企業」というイメージを構築し、優秀な女性人材の獲得で競争優位性を発揮します。

ESG投資の拡大により、投資家やステークホルダーはダイバーシティへの取り組みを重視しており、えるぼし認定は投資家への説得力あるアピールポイントになります。

▼参考:厚生労働省 子ども・子育てくるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

▼参考:厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

▼参考:厚生労働省 えるぼし認定 プラチナえるぼし認定

くるみん・えるぼしの認定取得のメリット

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くるみん認定やえるぼし認定は経営戦略上の具体的なメリットをもたらします。ここでは、認定取得によって得られる3つの主要なメリットを解説していきます。

採用・広報での信頼性向上

くるみん認定・えるぼし認定は、採用活動で強力な武器となります。優秀な人材の獲得競争が激化する中、企業の信頼性を可視化する効果的なツールとなるでしょう。

中途採用市場でも効果は大きく、育児中の優秀な人材やキャリアアップを目指す女性人材に「この企業なら安心して働ける」という信頼感を提供できます。応募者の質が向上し、採用活動の効率化にもつながるのです。

さらに、くるみんとえるぼしの認定取得に向けて社内が整備されると、満足度の高い従業員が自社を友人や知人に紹介する「リファラル採用」にも積極的になるかもしれません。採用活動全体の効率化と質の向上が実現できるのです。

助成金・入札・補助制度での優遇

くるみん認定、えるぼし認定では公共調達における加点評価が得られます。総合評価落札方式や企画競争による調達案件で加点されるため、公的機関との取引が多い企業にはビジネス機会の拡大に直結するでしょう。

他にも、条件を満たすと日本政策金融公庫による融資制度が低金利で活用できます。

社員定着・モチベーション向上

くるみん認定の取得により、育児休業制度の整備や労働時間の適正化が進みます。その結果、結婚や出産などライフステージが変化しても働き続けられる環境が整い、従業員の定着率が向上します。社会的に認められた取り組みを行っている企業で働くことは、従業員の誇りややりがいを高める効果もあります。

えるぼし認定に向けた女性活躍推進の取り組みは、女性従業員にキャリアアップの機会が開かれていることを明確に示します。これにより、女性従業員のモチベーション向上に直結し、長期的なキャリア形成を見据えた働き方が可能になります。

くるみん・えるぼしどちらを目指すべきか

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自社の課題別の選び方

認定取得の優先順位は、自社が直面している人事課題によって異なります。現状を正確に分析し、最も効果的な認定から取り組むことが投資対効果を高める鍵となるでしょう。

育児離職が多い企業はくるみん認定を優先すると良いでしょう。くるみん認定の基準を満たす取り組みは、育児と仕事の両立支援を強化し、組織全体の働き方改革を推進できます。

一方で、女性のキャリア形成支援が課題の企業はえるぼし認定を優先すべきでしょう。えるぼし認定に向けた取り組みでは、女性のキャリア形成を阻む要因を分析し、構造的な改善を進めることが求められます。

えるぼし認定は5つの評価項目のうち2項目を満たせば1段階の認定を受けられるため、段階的な取り組みが可能です。一方、くるみん認定はすべての基準を満たす必要があるため、自社の現状データを確認し、どちらの認定基準により近い状態にあるかを判断することが効率的な認定取得の第一歩となります。

同時取得・段階取得の戦略

くるみん認定とえるぼし認定は、両方を戦略的に取得することで企業のダイバーシティ経営を包括的にアピールできます。

くるみん認定の基準である「労働時間の適正化」は、えるぼし認定の評価項目の一つでもあるため、一つの取り組みで両方の基準を満たせる部分があります。また、次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画は統合して策定できるため、計画策定の手間を削減しながら効率的に進められるでしょう。

同時取得を目指すことで、従業員に「この会社は本気で育児支援と女性活躍に取り組んでいる」という強いメッセージを発信でき、組織全体の意識改革を促す効果も期待できるのです。

他の認定(健康経営優良法人など)との統合的推進

くるみん認定・えるぼし認定は、他の企業認定制度と連動させることで、より大きな効果を発揮します。

健康経営優良法人認定は、従業員の健康管理を経営的視点で実践している企業を認定する制度です。健康経営優良法人の認定項目には労働時間の適正化や女性の健康支援なども含まれており、くるみん・えるぼしの取り組みと重複する部分が多いため、一つの施策で複数の認定基準を満たせます。

他にも、若者の採用・育成に積極的な企業を認定するユースエール認定など複数の認定を取得することで、多面的な企業イメージを構築できるでしょう。

また、くるみん認定やえるぼし認定は、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標8「働きがいも経済成長も」に直接貢献する取り組みです。

▼参考:経済産業省 健康経営優良法人認定制度

▼参考:厚生労働省 ユースエール認定制度

よくある課題と解決策

くるみん認定・えるぼし認定の取得を目指す過程では、多くの企業が共通する課題に直面します。ここでは、認定取得を目指す企業が直面しやすい4つの課題と、それぞれに対する具体的な解決策を紹介していきます。

男性育休取得率が上がらない

解決策:経営層からのメッセージ発信と段階的な取得促進を行いましょう。

くるみん認定の取得で最も高いハードルとなるのが男性の育児休業取得率です。解決には、経営層が明確に「男性の育児休業取得を推奨する」というメッセージを発信することが重要です。また、男性の育児休業は1〜2週間程度の短期取得から始める制度設計が効果的です。社内で男性育休を取得した従業員の体験談をイントラネットやニュースレターに掲載することで、取得が「当たり前のこと」だと認識されるようになります。

業務の属人化を防ぐため、業務マニュアルの整備など、誰かが休んでも業務が継続できる体制を構築しておきましょう。

行動計画が形式的で終わっている

解決策:現状分析に基づく具体的な目標設定とPDCAサイクルが必要です。

一般事業主行動計画の策定が必須ですが、計画を策定・届出することが目的化し、実際の施策実行や効果測定が不十分なケースが見られます。

効果的な行動計画は、正確な現状分析から始まります。自社の男女別の人事データを詳細に分析し、どの段階で課題があるのかを特定することが重要です。目標はSMART原則(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)に基づいて設定します。例えば、「3年後までに女性管理職比率を現在の5%から15%に引き上げるために、毎年女性管理職候補者向け研修を実施し、年間3名以上の管理職登用を行う」といった具体的な目標が効果的です。

行動計画の策定段階から経営層や各部門の管理職を巻き込み、四半期ごとや半期ごとに進捗を確認し、経営層に報告する仕組みを構築しましょう。PDCAサイクルを回すことで、計画の実効性が継続的に高まります。

社員への浸透・運用負担の課題

解決策:多チャネルでの継続的な周知とシステム活用を行いましょう。

認定取得のための制度を整備しても、従業員に十分に浸透せず利用が進まない、人事担当者の運用管理が大きな負担となるケースが少なくありません。

制度の周知は、複数のチャネルを通じて継続的に発信することが重要です。イントラネット、社内報、管理職会議、新入社員研修、ライフイベント時の個別案内など、様々なタイミングと方法で情報を届けることで認知度が高まります。

また、オンラインで申請・承認ができる仕組みを構築することで大幅な効率化が実現します。

データ管理・証跡作成の難しさ

解決策:人事システムの一元管理と定期的なデータ集計が鍵です。

認定申請には様々な人事データや証跡書類の提出が求められますが、必要なデータが適切に管理されていない、証跡が残っていないという理由で申請に苦労する企業は少なくありません。

人事システムを活用したデータの一元管理が不可欠です。勤怠管理、給与計算、人事情報管理などのシステムを統合し、必要なデータをいつでも抽出できる環境を整備しましょう。特に、男女別のデータや雇用形態別のデータは、入力段階から適切に分類して記録しておくことが重要です。そして、四半期ごとや月次でデータを集計し現状を把握する習慣をつけることで、目標とのギャップを早期に発見し対策を講じることができます。

まとめ

くるみん認定とえるぼし認定は、従業員が働きやすい環境を整備し、多様な人材が活躍できる組織をつくるという、本質的な取り組みの成果として得られるものです。

認定取得のプロセスで整備される制度や風土は、企業の持続的成長を支える基盤となります。優秀な人材の獲得と定着、従業員のエンゲージメント向上、そして企業ブランドの強化という形で、長期的なリターンをもたらすでしょう。

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