フェムテックとは?企業が導入する意味とメリットをわかりやすく解説

2026年 7月 13日

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近年、「フェムテック」という言葉をニュースやビジネス誌で目にする機会が増えました。しかし、「具体的に何を指すのか」「自社に導入する必要があるのか」を正確に説明できる担当者は、まだ多くありません。

結論から言うと、フェムテックとは女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品・サービスの総称であり、企業がこれを導入する意味は「女性従業員の健康課題による離職・生産性低下を防ぎ、組織全体の生産性と人材定着を高めること」にあります。少子高齢化により労働力人口の減少が続く中、女性人材の活躍推進は多くの企業にとって経営課題そのものです。フェムテックへの理解は、その土台となる知識といえます。

本記事では、フェムテックの定義から企業が導入する意味、具体的なメリット、導入時の注意点までを、HR・労務担当者の視点でわかりやすく解説します。

フェムテックとは何か

フェムテック(FemTech)とは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、月経、妊娠・不妊、更年期、婦人科疾患など、女性特有のライフステージや健康課題をテクノロジーの力で解決する製品・サービスの総称です。

具体的には、以下のようなものがフェムテックに含まれます。

  • 月経管理アプリ、基礎体温管理アプリ
  • 妊活・不妊治療をサポートするサービス
  • 更年期症状をケアする製品やオンライン相談サービス
  • オンラインで婦人科医に相談できる遠隔診療サービス
  • 吸水ショーツなど、生理用品の新しい選択肢

この言葉自体は2010年代に欧米で生まれたとされ、日本でも経済産業省が女性の健康課題による経済損失や、フェムテック等サポートサービス実証事業を通じて言及するなど、行政も関心を寄せている分野です(経済産業省の具体的な報告内容・数値は執筆時点の情報であり、正確な数値は経済産業省の公表資料で一次情報を確認することをおすすめします)。

重要なのは、フェムテックが「女性個人のための便利ツール」にとどまらず、「企業や社会が女性の健康課題に向き合うための手段」として位置づけられ始めている点です。ここに、企業がフェムテックを理解すべき理由があります。

なぜ今、企業がフェムテックに注目すべきなのか

企業がフェムテックに注目する背景には、大きく3つの構造的な変化があります。

1つ目は、女性活躍推進の要請です。 女性活躍推進法により、一定規模以上の企業には女性の活躍に関する状況把握・情報公表や行動計画の策定が求められています(対象企業の規模要件や公表項目は法改正により変わることがあるため、厚生労働省の最新の公表情報で必ず確認してください)。女性管理職比率の向上が経営課題として掲げられる中、女性が健康課題を理由にキャリアを諦めることのない環境づくりが不可欠になっています。

2つ目は、健康経営への関心の高まりです。 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」や、日本健康会議による「健康経営優良法人」の認定制度が広がる中、女性特有の健康課題への対応は評価項目の一つとして位置づけられています(認定基準の詳細項目は年度により改定されるため、経済産業省・日本健康会議の最新の認定基準で確認が必要です)。

3つ目は、労働力人口の減少です。 少子高齢化により、企業は限られた人材にいかに長く活躍してもらうかを問われています。月経随伴症状や更年期症状による不調を放置すれば、休職・離職につながりかねません。裏を返せば、健康課題への理解とサポートは、貴重な人材の定着に直結する経営投資といえます。

こうした背景から、フェムテックは単なる「福利厚生の一項目」ではなく、経営戦略の一部として捉える企業が増えているのです。

企業がフェムテックを導入する意味

では、企業がフェムテックを「導入する」とは、具体的に何を指すのでしょうか。多くの場合、以下のような形で導入が進みます。

  • 月経管理アプリや不調サポートサービスの福利厚生としての提供
  • オンライン婦人科相談サービスの導入補助
  • 女性特有の健康課題に関する研修・セミナーの実施
  • 生理休暇・体調不良時の柔軟な勤務制度の整備とその周知

ここで見落とされがちなのが、「ツールを導入するだけでは効果が出にくい」という点です。アプリやサービスを福利厚生として用意しても、従業員がその存在を知らなかったり、上司や周囲の理解が乏しく使いにくい雰囲気があったりすれば、利用は広がりません。

つまり、フェムテック導入の本質的な意味は「ツールの提供」そのものではなく、「女性特有の健康課題について、従業員自身が正しく理解し、周囲(特に管理職)がそれを前提に適切な配慮ができる組織をつくること」にあります。

この土台となる知識・理解を整えるアプローチとして、法人向けの女性の健康研修プログラム「Wellflow」のような研修サービスから着手する企業も増えています。ツール導入の前に、まず組織全体の理解を底上げすることで、フェムテックのようなサービスも「使われる仕組み」として定着しやすくなります。

フェムテック導入の具体的なメリット

企業がフェムテックへの理解を深め、関連する取り組みを導入することには、以下のようなメリットが期待できます。

離職防止・人材定着 月経随伴症状や更年期症状は、本人が「相談しにくい」「甘えだと思われたくない」と感じやすい領域です。適切な理解と制度があることで、不調を理由にキャリアを諦める従業員を減らせる可能性があります。

生産性・パフォーマンスの向上 体調不良を我慢しながら働く「プレゼンティーズム(出勤はしているが心身の不調により生産性が低下している状態)」は、女性特有の健康課題においても指摘される問題です。適切なサポートにより、不調時のパフォーマンス低下を軽減できる可能性があります。

採用競争力・企業イメージの向上 健康経営や女性活躍推進に積極的な企業姿勢は、求職者、特に女性求職者からの評価につながりやすい要素です。健康経営優良法人の認定なども、対外的な発信材料になります。

管理職・組織全体のリテラシー向上 女性特有の健康課題は、当事者だけの問題ではありません。男性管理職を含む組織全体が正しい知識を持つことで、ハラスメントの防止や、体調不良時の適切な配慮ができる職場風土が育まれます。

これらのメリットは、いずれも「制度を作った瞬間」に得られるものではなく、従業員の理解と定着があってはじめて実現するものです。

企業がフェムテック導入で注意すべきポイント

一方で、フェムテック導入を進める際には、以下の点に注意が必要です。

トップダウンだけで終わらせない 経営層が「導入した」という事実だけで満足し、現場への周知や運用ルールの整備が伴わないケースは少なくありません。導入後の利用率や従業員の声を定期的に確認する仕組みが重要です。

プライバシーへの配慮 月経周期や体調に関する情報はセンシティブな個人情報です。ツールの選定にあたっては、データの取り扱い方針やセキュリティ体制を必ず確認しましょう。

男性従業員も含めた理解の醸成 フェムテックというと「女性のための施策」と捉えられがちですが、管理職の多くを男性が占める企業では、男性従業員の理解なくして制度は機能しません。研修等を通じて、性別を問わず基礎知識を共有することが望まれます。

一過性の施策にしない 単発のセミナーやツール導入で終わらせず、継続的な情報提供や制度の見直しを行う体制を整えることが、定着への近道です。

まとめ

フェムテックとは、月経・妊娠・更年期など女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品・サービスの総称です。企業がこれを導入する意味は、単なる福利厚生の追加ではなく、女性活躍推進・健康経営・労働力人口減少という構造的な課題に対応し、人材の定着と組織全体の生産性向上につなげることにあります。

ただし、ツールを導入するだけでは効果は限定的です。従業員が正しい知識を持ち、管理職を含む組織全体が女性特有の健康課題を前提とした配慮ができる状態をつくることこそが、フェムテック導入の本質といえます。まずは自社の現状を把握し、必要な知識を組織に浸透させるところから、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

出典・参考リンク

  • 経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業」関連情報(要出典確認・経済産業省公式サイトで最新情報をご確認ください)
  • 厚生労働省「女性活躍推進法」に関する情報(要出典確認・厚生労働省公式サイトで最新の対象企業要件・公表項目をご確認ください)
  • 経済産業省・東京証券取引所「健康経営銘柄」制度に関する情報(要出典確認・経済産業省公式サイトで最新の選定基準をご確認ください)
  • 日本健康会議「健康経営優良法人」認定制度に関する情報(要出典確認・日本健康会議公式サイトで最新の認定基準をご確認ください)

※本記事内の制度名・数値等は執筆時点の情報に基づいています。制度の詳細や最新の基準については、必ず各省庁・機関の公式発表による一次情報でご確認ください。