女性活躍推進法改正2026|公表義務拡大(101人以上)と企業の実務対応
2026年 7月 13日

女性活躍推進法の改正により、2026年4月1日から常時雇用労働者101人以上の企業に対して、男女の賃金差異と女性管理職比率の情報公表が新たに義務化されました。これまで詳細な公表義務は301人以上の企業に限られていましたが、対象が101人以上へと拡大されています。本記事では、改正の内容、101人以上の企業が具体的に何を公表する必要があるのか、企業規模別の公表項目の違い、公表までに必要な準備を整理します。
女性活躍推進法改正の全体像
女性活躍推進法(正式名称: 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、2016年の施行以来、企業に対して女性の活躍状況の把握、行動計画の策定・届出、情報公表を求めてきました。従来、詳細な情報公表義務は常時雇用労働者301人以上の大企業に重点が置かれており、101人以上300人以下の企業は行動計画の策定・届出義務はあるものの、公表項目の範囲では大企業より緩やかな運用がなされてきました。
2026年4月1日施行の改正により、これまで301人以上の企業に義務付けられていた情報公表が、101人以上300人以下の企業にも拡大されました。あわせて、101人以上の企業では「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」が新たに必須の公表項目となっています。
企業規模別の公表項目(101-300人 / 301人以上で異なる)
改正後の公表項目は、企業規模によって必要な項目数が異なります。
常時雇用労働者101人以上300人以下の企業
- 必須: 男女間賃金差異
- 必須: 女性管理職比率
- 上記に加え、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績」または「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」の2区分から1項目以上を選択
- 合計3項目以上の公表が必要
常時雇用労働者301人以上の企業
- 必須: 男女間賃金差異
- 必須: 女性管理職比率
- 上記2区分それぞれから1項目以上(合計2項目以上)を選択
- 合計4項目以上の公表が必要
公表は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」または自社のウェブサイト等、求職者や一般の人が容易に閲覧できる方法で行う必要があります。公表期限は、施行後最初に終了する事業年度の実績について、翌事業年度開始後おおむね3か月以内とされています。
101人以上企業に求められる実務対応
101人以上の企業が新たに求められる実務対応は、大きく3点に整理できます。
第一に、男女の賃金差異の算出と公表です。全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の区分ごとに、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を算出します。301人以上企業が既に対応している算定ロジック(平均年間賃金の比較、賞与・手当の扱い等)に準じる形になるため、自社の給与システムから該当データを抽出できる体制があるかをまず確認する必要があります。
第二に、女性管理職比率の把握と公表です。管理職の定義(役職名ではなく職務内容・権限で判定)は自己流の解釈にすると後の指摘リスクになるため、既存の301人以上企業向けの指針に基づく定義を踏襲するのが安全です。
第三に、選択項目の決定です。101-300人企業は1項目以上、301人以上企業は2項目以上を、「女性労働者に対する機会提供」「両立支援」の2区分から選ぶ必要があります。自社の強み(女性の採用実績が良い、両立支援制度が充実している等)を踏まえて選択するのが実務上のポイントです。
公表までの準備チェックリスト
- 自社の常時雇用労働者数の確認: 101人以上300人以下なのか301人以上なのかで、必要な公表項目数が変わるため、まず正確な人数区分を確認する
- 賃金データの棚卸し: 給与システムから性別・雇用区分別の賃金データを抽出できるか、賞与・各種手当が含まれているかを確認する
- 管理職の定義整理: 自社の役職体系を、国の管理職定義と突き合わせて整理する
- 選択項目の決定: 「機会提供」「両立支援」の各区分から、自社が公表しやすい実績を選ぶ
- 公表方法の準備: 「女性の活躍推進企業データベース」への登録、または自社サイトでの公開方法を決める
特に賃金差異の算出は、給与データの粒度によっては想定以上に時間がかかるケースがあります。公表期限から逆算して、早めに自社データの抽出可否を確認しておくことをお勧めします。
数値公表と職場環境整備はセットで考える
賃金差や管理職比率という「結果」の数値だけを公表しても、その背景にある要因に手を打たなければ数値は改善しにくいという構造があります。女性特有の健康課題(月経随伴症状、妊娠・出産によるキャリア中断、更年期症状によるパフォーマンス低下等)による離職・休職が、賃金差・管理職登用の差に影響しているケースも指摘されています。
行動計画の実効性を高めるには、数値目標とあわせて、女性特有の健康課題に対する職場の理解を底上げする施策が有効です。具体的には、管理職・従業員向けに生理・更年期等の基礎知識を伝える研修の実施、相談しやすい職場風土の醸成、健康関連の休暇制度の周知といった取り組みが考えられます。こうした施策を継続的な学習機会として組み込む手段として、Wellflowのような法人向け女性の健康研修プログラムを活用する企業も増えています。
公表しないとどうなるか
女性活躍推進法における公表義務違反について、現行法では是正指導等の行政上の対応が想定されていますが、直接的な罰金等の刑事罰は設けられていません(運用の詳細は厚生労働省の一次情報で要確認です)。
もっとも、実務上のインパクトは行政処分の有無だけでは測れません。公表データは就職活動中の学生や転職検討者が参照する「女性の活躍推進企業データベース」等に掲載され、採用競争力に直結します。ESG投資の評価軸としてジェンダーギャップの開示状況を見る投資家・取引先も増えており、公表を怠る、あるいは数値が芳しくないまま放置することは、対外的な評価リスクとして無視できません。
まとめ
2026年4月1日施行の女性活躍推進法改正により、101人以上の企業は男女賃金差異と女性管理職比率の公表義務を新たに負っています。101-300人企業は計3項目以上、301人以上企業は計4項目以上の公表が必要です。まずは自社の従業員数区分と賃金データの整備状況を確認し、公表項目の選択と、その背景にある職場環境整備をどう進めるか、早めに検討することをお勧めします。
出典・参考リンク
- 厚生労働省「雇用・労働 女性活躍推進法特集ページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
- 厚生労働省「2026年4月1日から従業員101人以上の事業主は男女間賃金差異や女性管理職比率等の公表が義務となります〔改正女性活躍推進法〕」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32440.html
- 厚生労働省「男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務が拡大」リーフレット(PDF) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001149491.pdf
- 厚生労働省「女性活躍の更なる推進に向けて ―女性活躍推進法改正で何が変わる?」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/aramashi/kaisei_joseikatsuyaku.html





