エンゲージメントツールとは?おすすめ7選から成功ポイントまで徹底解説
2025年 10月 9日

エンゲージメントツールは、従業員の離職率を低下させ、健康経営を実現するために有効な手段です。しかし、エンゲージメントツールをどのように選び、導入・運用すれば効果を最大化できるのかは、多くの人事担当者にとって解決すべき課題です。
本記事では、エンゲージメントツールの基本的な概念から、その効果、主な種類、成功に導くための実践ポイントまで体系的に解説します。また、企業の現状に最適なエンゲージメントツールを選定し、導入するためのステップを紹介します。
自社にとって価値あるエンゲージメントツールの選び方と導入方法を、ぜひご参考ください。
エンゲージメントツールとは

まずは、エンゲージメントツールの基本的な役割から、近年導入が進む背景までを解説します。特に健康経営や女性活躍推進に取り組む企業にとって、これらのツールがどのような価値を提供するのかを具体的にご紹介します。
エンゲージメントツールの役割
エンゲージメントツールとは、従業員が企業に対してどれだけ共感・信頼を持ち、積極的に貢献しようとしているかを測定・向上させるためのデジタルツールです。
従業員のスマホやパソコンなどのデバイスに導入するタイプのものや、企業向けの管理画面から分析するタイプなどさまざまな仕様のものがあります。従業員は、企業からのメッセージを受け取ったり、自ら情報発信をしたり、アンケートに回答したりとさまざまな機能を利用することができます。
従来は感覚的だった「社員のやる気」や「会社への愛着度」を具体的な数値やデータで把握できます。エンゲージメントの低下要因を部署別、職種別、年代別などで分析し、問題の根本原因を特定することで、離職につながる前の段階で適切な対策を講じられるでしょう。
エンゲージメントツールの導入が進む背景
- 離職率や人材定着の課題
人材の流動性が高まる中、優秀な人材の確保と定着が喫緊の課題です。採用コストの増大を考えると、既存社員のエンゲージメント向上による定着率改善は、経営戦略上重要な投資といえるでしょう。
- 健康経営優良法人・えるぼし認定の広がり
健康経営優良法人認定を目指す企業では、従業員の健康状態とエンゲージメントの関係性を定量的に把握する必要があり、専用ツールの活用が不可欠です。えるぼし認定でも、女性社員の定着率や活躍度合いを示す客観的データが求められます。
- ダイバーシティ推進の必要性
グローバル化の進展や価値観の多様化により、年齢、性別、国籍、働き方などの違いを受け入れ、それぞれが力を発揮できる環境が企業価値向上の鍵となっています。
エンゲージメントツールは、多様な背景を持つ従業員一人ひとりの声を平等に拾い上げ、組織改善につなげる仕組みになります。
エンゲージメントツールの主な種類
エンゲージメントツールには、それぞれ異なる特徴と得意分野を持つ多様な種類があります。組織の現状把握から改善施策の実行まで、段階的にアプローチできる3つの主要なカテゴリをご紹介します。
サーベイ型(社員意識調査)
サーベイ型は、社員の意識や職場環境に対する満足度を定量的に把握できるツールです。定期的に実施される大規模アンケートや、短い設問を日常的に行うパルスサーベイによって、従業員のモチベーションの変化や組織の課題を早期に把握できます。データをもとに組織全体の状態を可視化できるため、経営層への報告や人事制度の改善に直結しやすいのが特徴です。
<主な機能>
- 社員アンケート配信・集計
- 部署別・属性別のスコア可視化
- 組織課題の特定レポート
<向いている企業>
- 社員数が多く、客観的データをもとに改善策を検討したい中堅〜大企業
- 人事制度の改善や人的資本開示を進めたい企業
<メリット>
- 客観的なデータで組織状態を把握できる
- 経営層への報告資料に活用可能
<デメリット>
- 調査だけで終わり、改善施策に結びつかないリスク
- 回答が形骸化しやすい
コミュニケーション活性化型
コミュニケーション活性化型は、社内の交流を促進し、社員同士のつながりや承認文化を育むことを目的としたツールです。チャットや社内SNSを活用して日常的なやり取りを活性化したり、ピアボーナス機能によって社員同士が感謝や評価を送り合える仕組みを整えます。特にリモートワークや拠点分散が進む中で、孤立感の軽減や組織文化の醸成に役立ちます。
<主な機能>
- 社内チャット/SNS機能
- ピアボーナス(称賛・ポイント機能)
- 社員プロフィールやナレッジ共有
<向いている企業>
- リモートワークや拠点分散でコミュニケーションが不足しがちな企業
- 若手や専門職の離職防止を図りたい企業
<メリット>
- 承認・称賛文化を醸成できる
- 部署横断のつながりを強化できる
<デメリット>
- 定着に時間がかかる
- 「やらされ感」が出ると逆効果
健康・ウェルビーイング連携型
健康・ウェルビーイング連携型は、社員の心身の健康状態を可視化・改善することに焦点を当てたツールです。健康診断結果やストレスチェックのデータを一元管理できるほか、ウェアラブルデバイスと連携して睡眠・運動・活動量などを日常的に記録できます。これにより、従業員の不調を早期に察知し、企業の健康経営施策やメンタルヘルス対策と直結させられるのが大きな特徴です。
<主な機能>
- 健康診断・ストレスチェックデータの一元管理
- ウェアラブルデバイス連携(歩数・睡眠・運動記録)
- メンタル不調の早期発見アラート
<向いている企業>
- 健康経営優良法人認定を目指す企業
- メンタルヘルス不調や離職リスクの高い職場
<メリット>
- 健康データを活用して働き方改善につなげられる
- 健康経営の取り組みを「見える化」できる
<デメリット>
- 導入・運用コストが高め
- 健康データの取り扱いに個人情報保護の配慮が必須
エンゲージメントツールの導入メリット

エンゲージメントツールの導入は、企業経営に直結する多様な効果をもたらします。ここでは、導入によって得られる主要な4つのメリットを具体的なデータや事例とともにご紹介します。
離職率低下と人材定着
エンゲージメントツールを活用すると、離職の予兆を早期に察知し適切なフォローアップを行うことが可能になります。定期的なパルスサーベイにより、従業員の心理状態の変化をリアルタイムで把握し、問題が深刻化する前に対処できるでしょう。
エンゲージメント向上と離職率低下には、明確な相関関係があることが数多くの調査で実証されています。既存社員の定着は企業の持続的成長に不可欠な要素です。
生産性向上
ワークエンゲージメントスコアが高い企業ほど、労働生産性が向上している傾向があります。従業員が組織に共感し仕事に意義を感じると、主体的な業務遂行、チーム連携強化、イノベーション促進といった効果が生まれます。
社員の健康増進
健康とエンゲージメントは相互に影響し合います。健康データとエンゲージメントを連携すると、過重労働や休暇取得状況を可視化し、健康施策の効果がわかるだけでなく従業員のメンタル不調を早期発見できる利点もあります。
また、健康経営優良法人認定ではエンゲージメント指標が重要なデータとなるため、エンゲージメントツールを使ってデータを集めることが必要不可欠です。
組織課題の可視化と改善
エンゲージメントツールにより、感覚的だった課題がデータで可視化され、部署別や属性別に分析することで問題を特定できます。定期測定により施策の効果を時系列で追跡し、データに基づく戦略的意思決定が可能になるでしょう。
サーベイ型のおすすめのエンゲージメントツール
サーベイ型ツールは、従業員の意識や満足度を定量的に測定し、課題の特定から改善施策の立案まで一貫してサポートします。
HRBrain 組織診断サーベイ
運営会社:株式会社HRBrain
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 離職予兆分析で優先的にフォローが必要な従業員を可視化
- 業界・規模を問わず幅広い企業で利用
- 従業員体験を基にした設問設計により、期待と実感のギャップから課題を特定できる
<どんな企業に向いているか>
- データ重視の企業
- 健康経営優良法人やえるぼし認定を目指す企業
Wevox
運営会社:株式会社アトラエ
<料金(1人あたり)>
- 初期費用無料
- スタンダード 税抜600円/月
- ベーシック 税抜300円/月
<おすすめポイント・機能>
- AIがサーベイ後のサポート対象者を発見
- 組織エンゲージメントの分析が強み
<どんな企業に向いているか>
- 中小企業
- 限られた予算で導入を検討している企業
モチベーションクラウド
運営会社:株式会社HRBrain
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 国内最大級のデータを基に精度の高い組織状況の分析
- 組織改善ナレッジ無料提供やコンサルタントの伴走など、サポート体制が充実
- 17か国語に対応し、海外拠点でも活用可能
<どんな企業に向いているか>
- 大規模組織
- 経営層への説明に学術的裏付けが必要な企業
らくらくエンゲージメント
運営会社:バヅクリ株式会社
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 組織サーベイの回答時間が4分など、現場負担をかけずに組織の課題と対策がわかる
- エンゲージメント向上率が95%
- 追加料金なしで高度な分析ができる
<どんな企業に向いているか>
- 従業員の負担を減らしたいと考えている企業
- 従業員に研修を含めて受けてほしい企業
コミュニケーション活性化型のおすすめのエンゲージメントツール
業務効率化とコミュニケーション活性化を同時に実現するツールをご紹介します。
THANKS GIFT
運営会社:株式会社Take Action
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- スマートフォンで手軽に感謝のコミュニケーションが生まれる
- ウェブ社内報で企業理念を浸透
- パルスサーベイで従業員の様子を可視化
<どんな企業に向いているか>
- テレワークなどでコミュニケーションが希薄になっている企業
- 企業理念を定着させたい企業
TUNAG
運営会社:株式会社スタメン
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 社内チャットやサンクスカードなど豊富な機能がワンパッケージで利用可能
- ノーコードで組織改善アクションを設計できる
<どんな企業に向いているか>
- システム導入に不安のある企業
- 社用携帯のない従業員がいる企業
健康・ウェルビーイング連携型のおすすめのエンゲージメントツール
Wellflow
運営会社:Flora株式会社
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 健康経営や女性活躍などまでトータルでサポート
- 健康課題による労働損失額や改善効果を可視化、他社比較も可能
- 相談窓口・オンライン診療・啓発コンテンツなどを一括提供
- 産前産後やメンタル支援に活用して離職リスクを低減できる
<どんな企業に向いているか>
- 女性特有の健康課題やライフステージ支援を強化したい企業
- 健康経営優良法人の認定取得や人的資本開示を目指す企業
ミキワメ ウェルビーイングサーベイ
運営会社:株式会社リーディングマーク
料金:要問い合わせ
<おすすめポイント・機能>
- 月1回3分のサーベイで負担を最小化
- 一人ひとりをケアすることに特化
- 社員の性格と心理状態を元にサポートが必要な社員を可視化
<どんな企業に向いているか>
- 人材定着に課題を抱える企業
- ISO30414対応を目指す企業
ラフールサーベイ
運営会社:株式会社ラフール
<料金>
税抜16,000円〜
<おすすめポイント・機能>
- 専任担当がオプションなしで利用可能
- 課題の要因まで可視化
<どんな企業に向いているか>
- 包括的な組織診断を行いたい企業
- エンゲージメントツールを初めて導入する企業
エンゲージメントツール導入までのステップ

エンゲージメントツールは4つの段階で進めることで、効果的に組織全体のエンゲージメントを高められます。エンゲージメントツールの効果を最大化し、エンゲージメント向上につなげることができるでしょう。
1. 現状分析と目標設定
まずは、離職率の高さ、満足度低下、コミュニケーション不足など、自社の具体的な課題を把握しましょう。その課題を解決すべく、計測可能で明確な目標の設定も行います。
また、経営層・管理職の理解を得ることも重要です。導入目的を丁寧に説明し、組織改善が長期的に負担軽減につながることを伝えましょう。
2. ツールを選定しトライアル
目的に合った機能やコンセプトのエンゲージメントツールを選定します。無料トライアルは用意されているものも多いので、まずは問い合わせてトライアルをするのもおすすめです。小規模グループでトライアルを実施し、管理職や一般社員からフィードバックを収集しましょう。
<選定ポイント>
- 機能面:必要な分析・レポート機能
- コスト面:初期費用と運用費用
- サポート:導入支援や分析サポートの有無
- 連携性:既存システムとの連携
- セキュリティ:個人情報保護
3. 社内展開
導入するエンゲージメントツールが決定したら、全社への展開を計画的に進めます。
目的の全社共有 従業員に導入理由やメリットを周知し、「監視ではなく職場環境改善のため」という目的を明確に伝えます。
プライバシーの説明 個人が特定されない形でデータが集計されること、人事評価に直接影響しないことを明確に伝え、心理的安全性を確保しましょう。
4. 効果測定と改善サイクル
継続的なPDCAサイクルを回し、定期的に改善策を実施します。結果は必ず従業員に共有し、会社の本気度を示すことが重要です。
<PDCAの流れ>
- Plan:何を改善するかを定める段階
- エンゲージメントサーベイや健康チェックなどの結果をもとに、課題を抽出
- 抽出した課題に対して「どの状態を目指すか」「どんな取り組みをするか」を計画に落とす
- Do:計画した施策を実行する段階
- 例:コミュニケーション活性化ツールでピアボーナスを導入、サーベイで得られた課題をもとに研修を企画、健康アプリで歩数チャレンジを開催 など
- Check:施策の効果を検証する段階
- 再度サーベイやツールのログを使って数値を確認
- データと定性的なフィードバックを比較し、計画に対して効果が出ているか評価する
- Act:評価結果をもとに次のアクションを修正・強化する段階
- 効果があった取り組みは継続・拡大し、成果が出なかった部分は改善策を再計画する
- 例:参加率が低ければ施策内容や告知方法を見直す、特定部署で効果が出ない場合は追加ヒアリングを実施する
エンゲージメントツール導入を成功させるポイント

エンゲージメントツールを導入しても、効果的に活用できなければ投資が無駄になってしまいます。ここでは、導入を成功させるための5つの重要なポイントをご紹介します。
自社に合ったツールを選定する
エンゲージメントツール導入を成功させるには、自社に合ったツールを選ぶことが不可欠です。高機能でも課題や規模に合わなければ効果は出ません。
まず自社の課題を整理し、優先度の高いテーマに対応できるツールを選ぶことが成功への近道です。企業規模や業種も重要で、中小企業にはシンプルで使いやすいツール、大企業には詳細分析が可能な高機能ツールが適します。
さらに、既存システムとの連携性も欠かせません。データの二重入力を避け、効率的に活用できる環境を整えることで、定着度と効果が高まります。
経営層の理解を得て巻き込む
エンゲージメントツールの導入を成功させるには、現場だけでなく組織全体の協力が欠かせません。
特に経営層が前向きでなければ、導入しても社内に浸透せず形骸化する恐れがあります。そのため、経営層への説明では感情論ではなく、データに基づく論理的なアプローチが有効です。エンゲージメント向上による離職率低下や生産性向上を具体的な数値で示すことで、投資の必要性を納得してもらいやすくなります。
例えば、中途採用に1人あたり約100万円かかるとすれば、離職率を5%改善するだけで年間数百万円のコスト削減が可能です。このように定量的な効果を提示し、経営層を巻き込むことが導入成功の鍵となります。
社員へ活用を促進する
従業員がツールを積極的に活用しなければ、正確なデータは得られず、改善施策も効果を発揮しません。高い回答率と継続的な利用を実現するための工夫が必要です。
匿名性の保証やデータの取り扱い方針を明確に伝え、心理的安全性を確保することが最優先です。サーベイ結果が人事評価に直接影響しないこと、個人が特定できない形で集計・分析されることを、繰り返し丁寧に説明しましょう。
費用対効果とROIを確認する
エンゲージメントツール導入には一定のコストがかかります。限られた予算を効果的に使うためには、費用対効果(ROI:Return on Investment)を適切に測定し、継続的に評価することが重要です。
エンゲージメントツールのROI計算では、ツール導入によって得られた効果(離職率低下による採用コスト削減、生産性向上による売上増加など)を金額換算し、導入・運用コストと比較しましょう。
データ分析と改善サイクルを継続する
エンゲージメントツール導入後、最も重要なのは継続的なPDCAサイクルを回し続けることです。組織の変化に応じて常に最適化していく姿勢が成功の鍵となります。サーベイの結果が出たら、課題解決のための施策は単発で終わらせずにPDCAをまわしながら定期的に続けていきましょう。
継続的な改善サイクルを回すことで、エンゲージメントツールは組織変革を推進する戦略的な経営基盤へと進化していきます。
まとめ
エンゲージメントツールは、従業員と組織の関係性を強化し、持続的な企業成長を実現するための重要な経営基盤です。離職率の低下、生産性向上、健康経営の推進、女性活躍の促進など、多面的な効果が期待できます。
特に重要なのは、従業員が働きがいを感じ、組織に貢献したいと思える環境を創ることです。データはあくまで手段であり、その先にある従業員一人ひとりの幸福と組織の成長を常に意識しましょう。
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