健康経営アドバイザーとは?導入のメリットや資格取得方法を解説
2025年 7月 16日

健康経営アドバイザーとは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で推進する「健康経営」を実践するためのサポートを行う専門人材です。
健康経営アドバイザーになるには、資格取得が必要です。
この記事では、健康経営アドバイザーの役割や導入メリット、資格取得のポイントをわかりやすく紹介します。
これから健康経営に力を入れたい企業様や健康経営アドバイザーを導入しよう考えている企業様は、ぜひ参考にしてみてください。
健康経営アドバイザーとは
健康経営アドバイザーは、企業が従業員の健康を経営戦略の一環として重視し、健康経営を実践するための推進役・サポーターです。
健康経営アドバイザーを設置する目的は、以下の2つです。

- 健康経営の普及と推進:健康経営アドバイザーは、健康経営の必要性やメリットを企業内外に伝え、健康経営の取り組みを広めることを目的に設置されます。
- 健康経営人材の育成:企業が自律的に健康経営を進められるよう、専門知識を持つ人材を育成し、社内での実践をサポートします。
健康経営アドバイザーの仕事内容・役割
健康経営アドバイザーは、社員の健康を支え、企業の健康経営を進める専門家です。
ここでは、具体的な仕事内容と役割を紹介します。
健康経営アドバイザーの基本的な仕事内容
健康経営アドバイザーは、従業員の健康課題や組織の状況を把握し、適切な健康施策を設計・実行する役割を担います。
健康診断やストレスチェックなどのデータをもとに課題を整理し、現場の実情に合った取り組みを立案します。
また、施策の定着を図るため、社内への啓発活動や管理職への研修なども行います。
企業内の健康経営推進の要としての役割
企業が健康経営を継続的に進めるには、現場と経営層をつなぐ調整役が不可欠です。
健康経営アドバイザーは、社内外の関係者と連携しながら、取り組みの効果を検証し、必要に応じて改善提案を行います。
また、施策の成果や数値的な根拠を経営層に報告し、組織的な支援体制の構築にも貢献します。
健康経営アドバイザーの導入メリット

健康経営アドバイザーを導入すると、企業は健康経営を効率的かつ効果的に進められます。主なメリットを簡単に紹介します。
健康課題を見える化できる
健康経営アドバイザーは、健診結果やストレスチェックの分析などを行い、従業員の健康状態や組織の課題を“見える化”してくれます。
漠然としていた健康課題を数値でリアルに把握できるようになるため、課題の優先順位を明確にし、施策に取り組みやすくなります。具体的な目標に向けたスケジュール進行や的確なリソース配分も可能です。
専門的な助言が得られ社内体制の強化につながる
健康経営アドバイザーを導入する最大のメリットは、社内に専門的な視点が加わり、健康経営の推進体制が強化されることです。
というのも、アドバイザーは従業員の健康課題に応じた施策や制度を提案し、企業ごとの実情に合わせた取り組みを設計できるからです。
たとえば、「メンタルヘルス対策が手薄」「健康診断の受診率が低い」など、現場でよく見られる課題に対して、具体的な改善策や制度整備のアドバイスを受けることができます。また、施策実施後の効果測定や改善提案も支援してもらえるため、PDCAサイクルを自然に社内に根づかせることができます。
こうした外部の専門的な視点が加わることで、組織全体としての健康経営の質が向上し、持続可能な体制の構築が期待できるのです。
生産性とエンゲージメントの向上が見込みる
健康経営アドバイザーの支援を受けることで、従業員の生産性やエンゲージメントの向上が期待できます。
なぜなら、アドバイザーによる適切な健康施策の導入により、社員一人ひとりが自分の体調を管理しやすくなり、欠勤・長期休業・離職などのリスクを未然に防ぐことができるからです。
たとえば、メンタル不調の早期発見や、生活習慣病予防に向けた具体的なアプローチが整備されることで、社員が安心して働ける環境が整い、業務への集中力やモチベーションも高まります。その結果として、チーム全体の業務効率や成果が向上し、企業の生産性アップに直結します。
「健康経営優良法人」取得をサポートしてもらえる
健康経営アドバイザーを導入することで、「健康経営優良法人」認定の取得がスムーズに進みます。
なぜなら、アドバイザーは認定取得に必要なデータ収集・書類作成・指標管理といった煩雑な準備業務を、専門的な知見をもってサポートしてくれるからです。
たとえば、認定要件に含まれる従業員の健康保持施策やストレスチェックの実施状況、労働時間管理などについて、必要な情報の整理から申請書類の作成までを一貫して支援してもらえるため、担当者の負担が大きく軽減されます。
このように、アドバイザーの力を借りることで、企業の信頼性向上につながる認定取得を確実かつ効率的に目指すことができます。
企業ブランディングや採用力の強化
健康経営アドバイザーの支援を受けて取り組みを発信することで、企業のブランディングや採用力の強化につながります。
というのも、健康経営は「社員を大切にする会社」という好印象を生み出し、企業イメージを大きく高める効果があるからです。
特に若年層の求職者は、給与面だけでなく働きやすさや福利厚生の充実度を重視する傾向があり、健康経営に積極的な姿勢を打ち出すことで、同業他社との差別化が図れます。
たとえば、採用説明会や求人ページにおいて「健康経営優良法人」の認定や具体的な取り組み内容を紹介することで、応募者からの信頼感や共感を得やすくなります。
中小企業でも健康経営に取り組める
健康経営アドバイザーの活用により、中小企業でも無理なく健康経営に取り組むことが可能です。
というのも、アドバイザーは1名からでも導入でき、専門人材を新たに雇用するよりもコストを抑えながら効果的な健康施策を展開できるからです。
実際、多くの中小企業では人事・総務担当者がアドバイザー資格を取得し、ストレスチェックの導入や簡易的な健康セミナーの実施など、小規模な取り組みから健康経営をスタートしています。こうしたアプローチであれば、自社のリソースに応じて無理なく運用ができ、徐々に施策の幅を広げていくことも可能です。
このように、限られた人員や予算でも着実に健康経営を推進できる点は、中小企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。
健康経営アドバイザーの採用方法
健康経営アドバイザーをどのように採用するかは、企業の体制や課題に応じて適切な方法があります。ここでは、代表的な4つの方法を紹介します。

自社社員に資格を取らせる(社内育成)
コストを抑えつつ、自社内に健康経営の知見を根付かせたい企業には、社員に「健康経営アドバイザー」資格を取得させる方法が有効です。
実務を担う人事・総務部門の社員に資格取得を促すことで、日常業務と連携しながら健康施策を継続的に推進できます。
- メリット: 社内に知識を蓄積でき、実務との連携がしやすく、PDCAも回しやすい。
- 留意点: 資格取得の時間や費用、モチベーション支援が必要。
業務委託で外部のアドバイザーを活用
外部の有資格者と業務委託契約を結び、健康経営の企画や施策設計を支援してもらう方法もあります。この形態では、短期間で専門的なノウハウを導入できるだけでなく、必要なときだけ依頼できるためコストコントロールがしやすいのも特徴です。
- メリット: 専門性の高いアドバイスが短期で得られ、柔軟な契約も可能。
- 留意点: 社内の理解浸透に時間がかかる場合や費用が割高になる場合もある。
正社員として採用
社内に継続的かつ安定した健康経営推進体制を築くためには、健康経営アドバイザーを正社員として採用する方法があります。
専任担当として中長期的な視点での施策展開や、従業員との信頼関係構築が可能になります。
- メリット: 長期的な視点で戦略的に健康経営を推進でき、社内浸透もしやすい。
- 留意点: 採用ハードルが高く、採用後も定着支援が必要。
顧問契約(外部専門家の伴走支援)
経営戦略に連動する健康経営を実現するためには、外部の専門家と顧問契約を結び、継続的に伴走支援を受けるのも一つの方法です。
経営層との連携や、企業ビジョンに基づく長期的な施策設計に強みを持つプロフェッショナル人材が、戦略立案から現場支援まで幅広くサポートします。
- メリット: 長期的に相談・改善ができ、社内の成長もサポートしてもらえる。
- 留意点: 契約内容の明確化や役割分担の整理が重要。
健康経営アドバイザーの資格取得方法
健康経営アドバイザーには、2種類の資格があり、それぞれ難易度が異なります。
ここでは、健康経営アドバイザーの資格取得を目指す人に向けて、資格取得の方法や難易度、更新方法など解説します。
健康経営アドバイザー資格の種類とレベル
健康経営アドバイザーには、主に以下の2つのレベルがあります。
- 健康経営アドバイザー(初級)
→ 健康経営の基本的な知識を学び、社内での啓発活動や情報発信を担う人材向け
- 健康経営エキスパートアドバイザー(上級)
→ 施策の設計・実施、認定取得支援など高度な実務に携わる人材向け(※上級は一部団体で独自に運営)
まずは初級レベルからの取得が一般的で、企業の人事・総務担当者が1名以上取得するケースが増えています。
健康経営アドバイザー資格(初級)取得の流れと難易度
健康経営アドバイザー資格(初級)は、以下の流れで取得できます。
1. マイアカウント作成
2. 申込・受講料支払い
3. 動画視聴(e-learning)
4. 効果測定(IBT)
5. 認定証ダウンロード
講座と試験はすべてオンラインで完結するため、在宅勤務中でも取得しやすい点が特徴です。
IBT形式の効果測定は、難易度も高くなく、受講内容をきちんと学習すれば合格は十分可能です。合格基準は、正答率7割以上です。
資格取得のハードルは低めで、社内教育としても導入しやすい設計です。
健康経営エキスパートアドバイザー(上級)取得の流れと難易度
健康経営エキスパートアドバイザー(上級)(例:東京商工会議所の「上級健康経営アドバイザー」)の資格取得には、初級と異なり実務的・専門的な知識や支援経験が求められます。以下は、東京商工会議所のケースをベースとした一般的な流れです。
1. 申込・受講料支払い
2.知識確認テスト受験
3. 合格後、ワークショップ受講
4. ワークショップ内効果測定合格で認定
健康経営エキスパートアドバイザー(上級)は、初級に比べて実務的な内容が多く、一定の準備が必要です。ただし、講義内容をきちんと学べば合格は十分可能でしょう。
健康経営アドバイザー資格の受講費用
- 健康経営アドバイザー資格(初級)
8,800円(税込)程度 ※テキスト、動画受講、IBT受験料を含む
- 健康経営エキスパートアドバイザー(上級)
テキストあり(予習問題集付き) 7,700円
テキストなし(予習問題集付き) 5,500円
+
ワークショップ研修受講料 22,000円
一部の商工会議所では団体割引や地域会員割引が適用される場合もあります。
健康経営アドバイザー資格の有効期限と更新制度
- 健康経営アドバイザー資格(初級)
認定日から2年間
2年ごとに再度同じ研修プログラムを受講し、効果測定に合格する必要あり
- 健康経営エキスパートアドバイザー(上級)
2年間(ワークショップ修了証に記載)
2年ごとに更新研修の受講と効果測定合格が必要(詳細はその都度案内)
▼参考:東京商工会議所 健康経営アドバイザー(初級)公式ページ
▼参考:東京商工会議所 健康経営エキスパートアドバイザー(上級)公式ページ
まとめ
健康経営アドバイザーは、企業の健康経営を専門的にサポートしてくれる頼れる存在です。従業員の健康課題を可視化し、適切な施策の提案から実行支援、効果測定まで一貫して対応できるため、自社だけでは難しい健康経営の体制づくりがスムーズに進みます。
導入方法としては、既存社員に初級資格を取得させる「社内育成」、外部の専門家を業務委託・顧問契約で活用する方法など、企業の規模や課題に応じて柔軟に選べます。特に中小企業では、コストを抑えながらも健康経営優良法人の認定取得など、具体的な成果につなげている事例も多く見られます。
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