【最新】ストレスチェックの助成金は廃止!新たに利用できる助成金を紹介

2025年 8月 28日

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ストレスチェック助成金は、2022年度末で廃止されました。

現在、ストレスチェックを支援する唯一の制度は、団体経由産業保健活動推進助成金です。

本記事では、従来のストレスチェック助成金の現状から現在利用可能な支援制度まで、費用最適化の両立に必要な知識を解説します。

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法第66条の10で規定されています。現在は、常時使用する労働者が50人以上の事業場で年1回の実施が義務化されていますが、法改正により原則全ての事業場で実施が義務化されることになりました。

コスト削減につながる制度を活用しながら、健康経営に取り組みましょう。

ストレスチェック助成金は廃止

これまで、ストレスチェックを行う企業が利用できる「ストレスチェック」がありました。しかし、以下の助成制度を含めて令和4年度(2022年度)末までに廃止されています。

  • ストレスチェック助成金
  • 小規模事業場産業医活動助成金
  • 職場環境改善計画助成金(心の健康づくり計画助成金)

2025年8月現在は、これらの産業保健関係助成金の新規申請はできません。

ストレスチェックの助成金廃止の背景

ストレスチェック助成金を含めた助成金制度は、令和4年(2022年)11月に独立行政法人労働者健康安全機構によって廃止が発表されました。廃止の主な理由は以下の通りです。

財源効率化の必要性

申請件数の増加や不正受給の発生により、審査や監督に大きな行政コストがかかっていました。限られた財源を効率的に使うため、個別助成ではなく、より効果的な制度への転換が求められました。

効果の限定性

助成金は事業場ごとの申請方式で、小規模事業場が単独で産業保健活動を導入・継続するには限界がありました。結果的に、制度としての普及効果に限界があったと指摘されています。

利用率の低さ

申請手続きが複雑で、特に中小企業にとっては「手間の割に合わない」制度となり、十分に活用されませんでした。利用件数の伸び悩みも、財源効率化の観点から制度見直しを後押ししました。

こうした課題を踏まえ、2022年度以降は「団体経由産業保健活動推進助成金」など、団体を通じて包括的に産業保健サービスを支援する仕組みへ移行しました。これにより、個々の小規模事業場でも団体を通じてサービスを受けやすくなり、効率的かつ継続的な普及を狙っています。

ストレスチェック助成金(旧制度)の概要

廃止されたストレスチェック助成金の内容をご紹介します。これらの制度は現在申請できませんが、当時の支援内容を理解すると現在の代替制度との違いも明確になるでしょう。

1. ストレスチェック助成金

  • 対象:常時50人未満の小規模事業場(義務化対象外の事業場)
  • 内容:ストレスチェックを実施した場合、1人あたり500円を上限に助成
  • 目的:義務がない小規模事業場でもストレスチェックを普及させること

2. 小規模事業場産業医活動助成金

  • 対象:常時50人未満の小規模事業場
  • 内容:外部の産業医や保健師による健康相談・訪問指導などの費用を助成
  • 目的:小規模事業場でも産業保健サービスを受けられるよう支援

3. 職場環境改善計画助成金対象(心の健康づくり計画助成金)

  • 内容:心の健康づくり計画を策定・実施した際の費用(研修、コンサル、環境改善施策など)を助成
  • 目的:職場改善の促進

ストレスチェック助成金(旧制度)の特徴

現在廃止された助成金はいずれも中小企業や小規模事業場を支援する目的があります。助成率は経費の2分の1程度、または定額補助となっていました。ただし、申請書類が多く実際の利用件数は限られているという課題がありました。

これらの旧制度は、産業保健活動の裾野を広げる重要な役割を担っていましたが、現在はより効率的で実効性の高い新たな枠組みへと移行しています。

▼参考:厚生労働省 4産業保健関係助成金

団体経由産業保健活動推進助成金を利用しよう

ストレスチェック関連の従来助成金が廃止された現在、ストレスチェックに関する唯一の助成金が「団体経由産業保健活動推進助成金」です。この助成金は事業主団体(商工会、商工会議所、同業組合など)を通じて申請する新しいタイプの支援制度となっています。

ただし、令和7年度(2025年度)は、予算上限に達したためすでに受付が終了しています。令和8年度(2026年度)の申請を検討される場合は、早めの情報収集と準備が重要でしょう。

団体経由産業保健活動推進助成金とは?

団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体等が傘下の中小企業等に対してストレスチェック後の職場環境改善支援などの産業保健サービスを提供する場合、その活動費用を助成する制度です。

個々の企業が直接申請するのではなく、事業主団体が申請主体となります。

<ストレスチェック関連で助成対象となるサービス>

  1. ストレスチェックの実施支援
    1. ストレスチェック実施に関する指導・助言
    2. 実施方法の企画・立案
    3. 結果の集計・分析に関する支援
  2. ストレスチェック後の職場環境改善支援
    1. 集団分析結果に基づく職場環境改善の提案
    2. 改善計画策定の支援
    3. 改善取組みの効果測定・評価
  3. 面接指導の実施
    1. 高ストレス者に対する医師による面接指導
    2. 面接指導結果に基づく事後措置の助言

この制度により、これまで個別に産業保健サービスを導入することが困難だった中小企業も、団体を通じてスケールメリットを活かしたサービス利用が可能になりました。

ストレスチェックの助成額と条件

<助成金額>

  • 助成率:助成対象経費の90%
  • 助成上限額:1事業主団体あたり年間500万円
    • 構成事業主が50以上など都道府県事業主団体などは1000万円
    • 助成対象となる産業保健サービス費用は上限額がそれぞれ決まっている

<助成を受けるための事業主団体側の条件>

  • 団体とは、商工会、業界団体、医師会、法人組合等の事業主団体であり、法人格を有する
  • 傘下の事業主のうち労働者を雇用する事業主が3つ以上あること
  • 1年以上の活動実績があること
  • 産業保健サービスの提供対象は、労働者を雇用する事業主であること

この助成金制度を活用することで、中小企業は個別契約では負担が大きい産業保健サービスを、団体のスケールメリットを活かして効率的に利用できるようになります。

▼参考:独立行政法人労働者健康安全機構 助成金

▼参考:独立行政法人労働者健康安全機構 団体経由産業保健活動推進助成金のご案内

▼参考:独立行政法人労働者健康安全機構 「団体経由産業保健活動推進助成金」の手引 (令和7年度版)

団体経由産業保健活動推進助成金申請の流れ

団体経由産業保健活動推進助成金は、従来の助成金とは申請方法が大きく異なります。企業が個別に申請することはできず、必ず事業主団体を経由して申請するのが最大の特徴です。申請から助成金受給まで、7つのステップで解説します。

① 事業主団体の確認

まず重要な点は、すべての団体がこの助成金を活用しているわけではない点です。そのため、自社が加入している商工会議所・業界団体・同業組合に問い合わせて当該助成金を取り扱っているかを確認しましょう。

② 事業主団体による計画策定

事業主団体が、傘下の中小企業に対してストレスチェックなどの産業保健サービスを提供する計画を策定します。

<計画に含まれる項目>

  • 提供する産業保健サービスの内容(ストレスチェック実施、集団分析、面接指導など)
  • 実施スケジュール(年間を通じた計画的な実施)
  • 対象事業場・従業員数の詳細
  • 必要経費の見積(産業医・保健師への委託費用など)

この段階で、参加を希望する企業は事業主団体に対して参加意向を表明し、サービス内容や実施時期の調整を行います。

③ 団体から独立行政法人労働者健康安全機構(J-OHAS)へ申請

事業主団体が代表して、計画書・申請書を労働者健康安全機構(J-OHAS)に提出します。

<主な申請書類>

  1. 交付申請書
  2. 支給要件確認書
  3. 構成事業主一覧
  4. 事業実施計画
  5. 産業保健サービス番号毎の単価・人数(件数、契約月数等)が分かるもの
  6. 団体の定款、会則、協定書等の写し
  7. 直近2年間の収支決算書の写し
  8. 産業保健サービス提供に係る見積書写し
  9. 産業保健サービス提供に係る事務費用の見積書※該当する場合のみ写し1部
  10. 助成金振込口座の通帳の写し

申請時期は年度初めに設定されることが多く、令和6年度は5月2日から受付が開始されました。予算には上限があるため、早期の申請が重要です。

④ 審査・交付決定

J-OHASへ提出後、原則30日以内に審査・承認されます。この間に、実施期間や支援内容、中止時の対応も明確にされます。

審査では以下の点が重点的に確認されます。

  • 計画の妥当性(実施内容、スケジュール、予算の適切性)
  • 事業主団体の実施体制
  • 産業医・保健師の資格要件
  • 参加企業の条件適合性

採択後、事業主団体を通じて対象企業にサービス提供が開始されます。交付決定通知を受けてから実際のサービス提供に向けた具体的な準備が本格化します。

⑤ サービス実施

団体または団体が委託する専門機関が、承認された計画に基づき、対象事業場で産業保健サービスを実施します。

<実施されるサービス例>

  • ストレスチェック:50人未満の小規模事業場でも対象となり、実施から集団分析まで一貫してサポート
  • 集団分析:ストレスチェック結果に基づく職場環境の分析と改善提案
  • 医師による面接指導:高ストレス者に対する専門医による個別面談
  • 健康教育や研修:メンタルヘルス啓発、ストレス対処法の指導など

⑥ 支給申請手続

実施後、事業主団体が「支給申請書・事業実施結果報告書」とともに、契約書類や費用の証拠書類を添えてJ‑OHASに提出します。

<実績報告に必要な書類>

  1. 団体経由産業保健活動推進助成金支給申請書
  2. 団体経由産業保健活動推進助成金事業実施結果報告書
  3. 産業保健サービスを実施した証拠資料等
  4. 下記の事項が記載されている、産業保健活動を行う者に関する契約書の写し
    1. 産業保健活動の内容と契約期間
    2. 産業保健活動にかかった費用
    3. 産業保健活動を実施した者の氏名(産業保健サービスを提供する会社と契約した場合)
  5. 産業保健活動を実施する者の資格要件を証明する資格の写し
  6. 事業の実施に要した費用の支出に関する証拠書類
  7. 労働保険概算・確定保険料申告書等の写し
    1. ※労働者災害補償保険の適用事業主に該当しない場合、提出は不要

計画通りに実施されたかどうかが詳細に審査されます。

⑦ 助成金の支払い

実績報告が承認されると、助成金が事業主団体へ支払われます。

助成金の支払いは、実際に支出された経費に基づいて行われるため、計画時の見積額と異なる場合があります。団体が適切に経費管理を行い、透明性の高い運用をすることが求められます。

▼参考:独立行政法人労働者健康安全機構 「団体経由産業保健活動推進助成金」の手引 (令和7年度版)

助成金活用のメリット

団体経由産業保健活動推進助成金を活用することで、企業は単なるコスト削減以上の価値を得ることができます。ここでは、助成金活用による3つの主要なメリットを詳しく解説します。

費用負担の軽減効果

最も直接的なメリットは、産業保健サービス導入に伴う費用負担の大幅な軽減です。助成率90%という高い補助率により企業の実質負担を大きく抑えることが可能になります。

特に50人未満の小規模事業場では、2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、これまで努力義務だったストレスチェックが義務化されることになりました。

しかし、産業医の確保やストレスチェックの実施など、新たに発生する経費は決して小さくありません。そこで威力を発揮するのが助成金です。高い補助率により企業の実質負担を大幅に抑えながら、義務化に対応した産業保健サービスを導入できます。

健康経営優良法人認定への寄与

助成金を活用した産業保健サービスの導入は、健康経営優良法人認定の取得に大きく貢献します。健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度として、企業価値向上の重要な指標となっています。

健康経営優良法人認定の主要な評価項目には以下があり、助成金を活用したサービスで多くの項目をカバーできます:

  1. メンタルヘルス対策の実施
    1. ストレスチェックの実施(50人未満事業場での自主実施も高評価)
    2. 高ストレス者への面接指導の実施
  2. 従業員への健康投資の見える化
    1. 定期的な産業医による職場巡視
    2. 健康課題の分析と改善計画の策定

産業医との契約が有利に

団体経由での助成金活用は、産業医との契約条件を大幅に改善する効果があります。個別企業では難しい条件交渉も、団体のスケールメリットを活かすことで有利に進めることができるでしょう。

個別契約では産業医の都合により契約が終了するリスクがありますが、団体経由の契約では契約が安定しやすく、追加サービスの利用機会も増える可能性があります。

▼参考:厚生労働省 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要

産業保健活動を支援する制度・仕組み

団体経由産業保健活動推進助成金以外にも、産業保健活動をサポートする様々な制度や仕組みが存在します。制度の組み合わせで産業保健活動を効果的に推進することが可能です。

産業保健センター等による支援

地域の産業保健センターや労働衛生機構などでは、それぞれ多様な産業保健サービスの提供や相談支援が行われており、間接的に小規模事業者を支援しています。

独立行政法人労働者健康安全機構が運営する地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場を対象とし、長時間労働者への医師による面接指導、メンタルヘルス対策に関する相談などを無料で提供しています。

雇用関連の補助制度

直接「産業保健活動」のための支援ではありませんが、労働者の研修や健康教育などの目的で実施されるプログラムには補助が活用できるケースがあります。

<主要な制度例>

  • 人材開発支援助成金:労働者の職務に関連した知識・技能習得支援
  • キャリアアップ助成金:非正規雇用労働者の処遇改善を通じた人材育成支援
  • 両立支援等助成金:仕事と家庭の両立支援制度の導入・運用支援
  • 働き方改革推進支援助成金:労働時間短縮や有給休暇取得促進などの取り組み支援

▼参考:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳 地域産業保健センター(地さんぽ)

▼参考:東京産業保健総合支援センター 地域産業保健センター

▼参考:厚生労働省 人材開発支援助成金

▼参考:厚生労働省 キャリアアップ助成金

▼参考:厚生労働省 2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内

▼参考:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

▼参考:公益社団法人日本産業衛生学会 産業保健サービスを小規模事業場(従業員数 50 人未満)へ提供するために

まとめ

ストレスチェック関連の従来助成金は令和4年度(2022年度)末で廃止されましたが、団体経由産業保健活動推進助成金により、中小企業の産業保健活動支援は継続されています。この制度は個別申請から団体申請へと大きく変化し、より効率的で実効性の高い支援体制を構築しています。

助成金制度を戦略的に活用することで、従業員の健康管理レベル向上と経営基盤の強化を同時に実現し、持続可能な健康経営を推進していきましょう。

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