ストレスチェック2028|50人未満企業の準備ガイド
2026年 5月 30日

2025年に成立した労働安全衛生法改正により、2028年からは50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。これまで努力義務だった中小企業にとって、産業医の選任義務とは別に、新たにメンタルヘルス対策が必須となります。本記事では、2028年施行までに中小企業が整備すべき体制、ストレスチェック実施者の選定、外部委託の選び方、Wellflowを活用した効率的な実施支援まで、ゼロから始める準備プランを解説します。
この記事でわかること
- 2028年から全事業場(50人未満含む)にストレスチェック実施が義務化
- 中小企業は産業医がいない場合が多く、外部委託・ICT活用が現実解
- 実施者は医師・保健師・公認心理師等の有資格者
- 6ヶ月前から準備すれば余裕を持って体制整備可能
- 実施結果の集団分析と職場改善が真の目的(単なる実施で終わらせない)
ストレスチェックの義務化|2028年施行までの背景

改正労働安全衛生法の概要(2025年6月成立)
2025年6月、労働安全衛生法の改正が国会で成立し、これまで「50人以上の事業場」のみに課されていたストレスチェック実施義務が、全事業場(50人未満含む)に拡大されることが決まりました。施行は2028年を予定しています(正式施行日は厚労省告示で確定)。
なぜ50人未満も対象になったか(メンタル不調の社会的コスト増)
厚労省統計によれば、メンタル不調による労災認定件数は年々増加しており、特に中小企業従業員での発生率上昇が課題となっています。これまで産業医選任義務が50人未満事業場には課されておらず、メンタル対策の体制整備が手薄でした。「企業規模を問わず労働者の健康確保」を強化するため、ストレスチェックの全事業場義務化が決定されました。
50人以上事業場の義務化(2015年〜)からの経緯
ストレスチェック制度は2015年12月に導入され、50人以上の事業場で年1回の実施が義務化されました。導入から10年経過し、制度の浸透・効果検証を踏まえて全事業場への拡大が決まりました。50人以上事業場のノウハウ蓄積が、中小企業向け実施支援の基盤になります。
2028年までの段階的施行スケジュール
厚生労働省は、施行までの準備期間を確保するため、以下のスケジュールを想定しています(最新情報は厚労省告示確認推奨)。
- 2025年6月: 改正法成立
- 2026〜2027年: 厚労省指針改訂・実施マニュアル整備
- 2027年末: 実施支援サービスの市場整備
- 2028年〇月: 50人未満事業場への義務適用開始
対象企業の判定|「事業場」のカウント方法
「事業場」の定義(事業所単位 / 場所単位)
労働安全衛生法における「事業場」は場所的にまとまった事業活動の単位を指します。会社単位ではなく、本社・支店・工場・店舗ごとの判定です。同じ会社でも、本社が50人以上で支店が30人なら、改正前は本社のみ対象、改正後は両方が対象になります。
本社と支店が別事業場になる場合
本社と支店が地理的に離れている場合は別事業場としてカウントします。本社100人・支店30人の場合、本社は2015年から対象、支店は2028年から対象になります。
グループ会社の扱い
法人格が異なるグループ会社は、それぞれ独立して事業場単位で判定します。親会社・子会社の合算ではなく、各社・各事業場でストレスチェック実施が必要です。
派遣労働者・契約社員の扱い
派遣労働者は派遣元の事業場でカウントします。派遣先のカウント数には含まれず、派遣先のストレスチェック対象者にもなりません。契約社員・パート・アルバイトは派遣先(雇用元)の事業場の労働者として、所定の労働時間・雇用期間条件を満たす者が対象です。
1. 事業場判定フローチャート
- 1. 事業場単位を確認 — 確認内容: 場所的にまとまった単位(会社単位ではない) / 結論: 本社・支店・工場・店舗等を列挙
- 2. 各事業場の常時雇用労働者数 — 確認内容: 派遣社員は除外、パート・契約社員は条件を満たす者 / 結論: 事業場ごとの人数を確定
- 3. 2028年以降の対象判定 — 確認内容: 1人以上いる全事業場 / 結論: 原則すべて対象
ストレスチェックの実施者|誰がやるか
実施者の要件
ストレスチェックの「実施者」は医師・保健師・公認心理師・歯科医師などの有資格者が務めます。実施者は調査票の配布・回収・結果通知・高ストレス者面接などの本質的業務を担います。
中小企業で産業医がいない場合の選択肢
50人未満の事業場では産業医選任義務がないため、ストレスチェック実施のために以下の選択肢を取ります。
- 地域産業保健センター(無料・公的)の活用
- 嘱託産業医契約(月1〜2万円程度〜)
- 外部委託サービス(民間ベンダー、企業規模に応じた料金体系)
- 遠隔産業医サービス(オンライン面談ベース)
実施事務従事者と実施者の違い
「実施者」は有資格者でなければなりませんが、調査票の取りまとめ・データ管理などの実務作業は「実施事務従事者」が担います。実施事務従事者は社内の総務・人事担当者でも務まりますが、人事評価権限を持つ管理者は就任不可です(労働者のプライバシー保護のため)。
外部委託の現実解
50人未満事業場では、ICTツールと連携した外部委託サービスの活用が現実解になります。料金は1人あたり数百円〜数千円が目安で、紙ベースの実施を一括で代行してくれるベンダーが多数存在します。
委託先選定のチェックリスト
- 実施者の資格・経験
- 個人情報保護体制(プライバシーマーク、ISMS等)
- 調査票の信頼性(厚労省標準57項目 or 簡易版23項目)
- 結果分析・職場改善コンサルティングの提供有無
- 料金体系・追加費用
- 導入実績・利用企業数
- 高ストレス者面接の体制
2. 実施者・実施事務従事者の役割マトリクス
- 調査票の選定 — 実施者: ○ / 実施事務従事者: -
- 調査票の配布・回収 — 実施者: - / 実施事務従事者: ○
- 結果の評価 — 実施者: ○ / 実施事務従事者: -
- 結果の本人通知 — 実施者: ○ / 実施事務従事者: -
- 高ストレス者面接の実施 — 実施者: ○ / 実施事務従事者: -
- 集団分析 — 実施者: ○ / 実施事務従事者: 補助可
- 労基署への実施報告 — 実施者: - / 実施事務従事者: ○
実施プロセス|ストレスチェックの流れ
ステップ1: 衛生委員会等での実施方法決定
事業場の衛生委員会(または労使協議の場)で、ストレスチェックの実施方法(実施時期・調査票・実施者・委託先など)を決定し、社内ルールとして文書化します。50人未満事業場で衛生委員会がない場合は、労使代表との協議で代替します。
ステップ2: ストレスチェックの実施(57項目 or 簡易版)
厚生労働省標準の57項目調査票、または簡易版23項目を使用して実施します。受験は労働者本人の任意(強制不可)ですが、未受験者の状況把握のため社内で受験率KPIを設けることが一般的です。
ステップ3: 結果通知(労働者本人へ)
結果は労働者本人にのみ通知します。会社側が個別結果を本人同意なしに知ることは禁止されています。結果は「あなたのストレス度」「個人結果フィードバック」を含む形式で本人へ返却します。
ステップ4: 高ストレス者への面接指導
高ストレス判定者には、本人申出に基づく医師面接指導を提供します。申出があった場合、会社は1ヶ月以内に医師面接の機会を確保し、面接結果に応じて就業上の措置(業務量調整・配置転換・休職等)を講じます。
ステップ5: 集団分析と職場環境改善
個人を特定できない集団単位(部署・職種・勤務地など)で結果を分析し、職場環境の改善に活かします。集団分析は努力義務ですが、実施することで初めてストレスチェックが「実施だけで終わらない仕組み」になります。
ステップ6: 労基署への実施報告
50人以上事業場は労基署への実施報告書提出が義務化されています。50人未満事業場での義務化が2028年から適用される予定で、報告様式は厚労省告示で公表されます。
3. 実施プロセスフロー
- 1 — 担当: 衛生委員会等 / 主要アクション: 実施方法決定・社内ルール化
- 2 — 担当: 実施事務従事者 / 主要アクション: 調査票配布・回収
- 3 — 担当: 実施者 / 主要アクション: 結果評価・本人通知
- 4 — 担当: 実施者・産業医 / 主要アクション: 高ストレス者面接指導
- 5 — 担当: 実施者・人事 / 主要アクション: 集団分析・職場改善
- 6 — 担当: 実施事務従事者 / 主要アクション: 労基署への実施報告
50人未満の中小企業向け。Wellflow編集部の「ストレスチェック準備チェックシート」を無料相談でご活用ください。
中小企業がゼロから整備する6ヶ月プラン
6ヶ月前: 経営層合意・実施体制設計
経営会議でストレスチェック実施を承認。担当部署(人事・総務)と責任者を決定し、予算・スケジュールの大枠を策定します。
5ヶ月前: 実施者選定(外部委託先含む)
地域産業保健センター・嘱託産業医・外部委託サービスを比較検討し、自社規模・予算に合う体制を選定します。
4ヶ月前: 衛生委員会等での実施方法決定
衛生委員会または労使代表協議で、実施時期・調査票・対応フローを正式決定します。社内文書化が必要です。
3ヶ月前: 労働者への周知・説明
全労働者にストレスチェック実施の目的・方法・プライバシー保護方針を周知します。労働者の不安解消が受験率向上の鍵です。
2ヶ月前: テスト実施
少人数(5〜10名)でテスト実施し、回答方法・データフロー・結果通知の流れを検証します。問題があれば修正します。
1ヶ月前: 本実施準備
本実施の最終確認。当日・期間中の問合せ対応窓口、欠勤者・休職者への対応を確認します。
実施後: 結果分析と職場改善
本実施後は速やかに結果通知・集団分析・職場改善計画策定を行います。これがストレスチェックの本来目的です。
4. 6ヶ月準備カレンダー
- 6ヶ月前 — 主要アクション: 経営層合意・実施体制設計
- 5ヶ月前 — 主要アクション: 実施者選定・外部委託契約
- 4ヶ月前 — 主要アクション: 衛生委員会等で実施方法決定
- 3ヶ月前 — 主要アクション: 労働者への周知・説明
- 2ヶ月前 — 主要アクション: テスト実施
- 1ヶ月前 — 主要アクション: 本実施準備・受験フロー最終確認
- 実施月 — 主要アクション: 本実施・結果通知
- 実施後1ヶ月 — 主要アクション: 高ストレス者面接・集団分析
- 実施後2ヶ月 — 主要アクション: 職場改善計画策定・労基署報告
ICTツールを活用した効率実施|Wellflow活用例
紙ベース vs Webベースのメリット・デメリット
紙ベース: 配布・回収・データ入力の手間が大きく、集計まで数週間。プライバシー管理も物理的に手間。 Webベース: スマホ・PCから受験可能、自動集計、結果即時通知、集団分析レポート自動生成、本人確認とプライバシー保護を技術的に担保。中小企業ほどICT活用効果が高い。
Wellflow活用で実現できること
- オンライン受験で従業員負担を最小化: スマホで5〜10分
- 自動集計で実施事務工数削減: 紙集計と比較して90%以上短縮
- 高ストレス者への自動アラート: 実施者・産業医への即時通知
- 集団分析レポートの自動生成: 部署別・職種別の傾向把握
- 女性特有の健康課題との連携: メンタル不調の背景にあるPMS・更年期等への対応も同じ画面から
中小企業のICT導入コスト目安
Webベースのストレスチェック実施支援は、月額数千円〜数万円の範囲で導入可能です。実施工数の削減効果を考えると、紙ベースよりトータルコストで有利になることが多いです。健康経営優良法人認定取得を狙う企業にとっては、認定基準の評価項目もまとめてカバーできる投資です。
ストレスチェックを含む包括的な健康管理基盤。Wellflowで実施工数を90%削減。
助成金・補助金の活用|中小企業向け支援制度
過去のストレスチェック助成金の経緯
かつて存在した「ストレスチェック助成金」は2018年度で廃止されています。現在は別制度として、産業保健関係助成金・メンタルヘルス対策費助成・ICT導入補助金などが活用可能です。最新情報は厚労省・労働局・中小企業庁の公式情報で都度確認が必要です。
現在利用できる中小企業向け支援
- 産業保健関係助成金: 50人未満事業場が産業医契約・保健師活用・治療と仕事の両立支援に取り組む場合
- メンタルヘルス対策費助成: 集団分析・職場環境改善の取組に対する費用補助
- 健康経営優良法人連動: ブライト500認定取得で公共調達加点等の間接的支援
申請手順
各助成金は厚生労働省または労働者健康安全機構が申請窓口です。申請から認定まで2〜6ヶ月程度かかるため、ストレスチェック実施計画と並行して申請準備を進めます。
ICT導入補助金との組み合わせ
中小企業庁の「IT導入補助金」を活用して、ストレスチェック実施支援のICTツール導入費用の一部を補助できる場合があります。健康関連クラウドサービスが対象に含まれるカテゴリかを事前確認します。
参考リンク・出典
本記事の法令・制度・統計に関する記述は、以下の公的機関の公表資料を主な出典としています。最新の情報は各リンク先をご確認ください。
中小企業がゼロから整備するための6ヶ月準備チェックシートをお気軽にご相談ください。
実施工数を90%削減するWellflowのストレスチェック支援機能もご確認ください。
よくある質問
50人未満の事業場で、業務委託契約者は実施対象に含まれますか?
実施者を社内の保健師にしても良いですか?
外部委託先の選定で確認すべきポイントは?
実施結果は会社が見られますか?
高ストレス者が出た場合、どう対応すべきですか?
集団分析の結果は社内公表すべきですか?
罰則はありますか?





