経産省フェムテック導入ガイダンスの5ステップ|人事の実務への落とし方

2026年 9月 11日

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女性の健康支援を始めたいが、何から手を付ければよいか分からない。この状態に対して、2026年5月27日に経済産業省が「企業・自治体等向け 女性の健康課題の解決に向けたフェムテック導入ガイダンス」を公表しました。2021年度から2025年度までの5年間、計79件の実証事業から得られた知見をまとめた手引きです。この記事では、ガイダンスが示す5つのステップを、人事が実際に何をするかに置き換えて整理し、健康経営度調査への接続まで扱います。

!フェムテック導入ガイダンスの5ステップと、各段階で人事が行う作業

経産省フェムテック導入ガイダンスの位置づけ

経済産業省は2021年度から5年間、フェムテック等の製品・サービスを活用した実証事業を計79件実施してきました。ガイダンスは、その成果を踏まえて導入検討の進め方を体系化したものです。想定読者は、人材戦略や職場環境整備を担う経営者・管理職とされています。

補助金の要領でも認定の基準でもありません。導入を検討する組織が自らの実情に応じて使う参考資料という位置づけです。したがって、この手順を踏まないと不利になるという性質のものではありませんが、社内で企画を通す際の根拠としては使えます。

実務上の価値は、進め方が公的な文書として整理されている点にあります。女性の健康支援は、社内で「なぜ今それをやるのか」「なぜその順序なのか」を問われやすい領域です。国が5年間の実証を経てまとめた手順に沿っている、と説明できるだけで、企画の通りやすさは変わります。

ガイダンスには、健康課題に応じた製品・サービスの例、導入の必要性を組織内で説明するためのデータ、そして実際の導入事例も収録されています。事例は参照ページが各ステップの解説に紐づいており、自社の状況に近いものを拾いやすい構成です。

ガイダンスは、女性特有の健康課題による労働損失等の経済損失を社会全体で約3.4兆円と推計しています。この数字は導入の必要性を社内で説明する材料として掲げられているもので、自社の損失額ではありません。稟議に使う場合は、社会全体の推計であることを明示したうえで、自社の規模で試算した数字を並べてください。

フェムテックという言葉自体の整理は「フェムテックとは?企業が導入するメリット」に、導入の全体像は「フェムテック導入ガイド」にまとめています。

フェムテック導入ガイダンスの5ステップ

ガイダンスは導入までを5段階に分けています。各ステップは一度で終えるものではなく、検討の過程で前に戻りながら進めることが重要とされています。

STEP名称人事が実際にやること
1課題の認識既存の調査データを見直し、足りなければアンケートを設計して実施する
2方針・施策検討人事制度・福利厚生・健康管理施策を一覧化し、対応済みと未対応を仕分ける
3製品・サービス選定候補を複数挙げ、提供内容・導入モデル・価格帯を提供企業に確認して比較する
4組織内調整対象外の人を含めた説明を設計し、経営層からの発信を取り付ける
5試験導入・評価対象と期間を絞って試し、利用状況・満足度・行動の変化を測る

以下、各ステップで実務として何が起きるかを見ていきます。

STEP1〜2:調べる前に、手元のデータを見る

STEP1は課題の認識です。到達点として挙げられているのは2つあります。担当者や検討チームのメンバーが、女性特有の健康課題が組織に与える影響を理解していること。そして客観的な調査・分析によって、女性従業員の声や困りごとが収集・整理されていること。前者が抜けたまま調査だけを実施すると、設問が的を外します。

ここで見落とされやすいのが、既存データの活用です。ガイダンスも、状況把握やアンケート設計の仮説立てに既に実施した調査データが使える場合があるとして、既存データの見直しを勧めています。ストレスチェックの集団分析、エンゲージメントサーベイの自由記述、健診の有所見率。新しい調査を設計する前に、手元にあるものを一度読み直してください。

STEP2は方針・施策検討です。既存の制度・施策を点検し、STEP1で明らかになった課題への対応状況を整理します。到達点は、優先的に取り組む課題が特定されていること、そして既存の人事制度・福利厚生との重複が整理されていることです。

ガイダンスは「課題を広げすぎず、優先順位を付ける」と明記しています。月経、不妊、妊娠・出産、更年期のすべてに同時に手を付けようとすると、どれも中途半端になります。影響の大きさ、対象人数、既存施策との重複を踏まえて、段階的に取り組む順序を決めてください。

STEP3〜4:選ぶより、説明の設計が難しい

STEP3は製品・サービス選定です。ガイダンスは、機能の多さや話題性だけで選ばないこと、一つに決め打ちせず複数を比較することを求めています。提供内容、導入モデル、価格帯について提供企業に確認し、具体像を整理した状態が到達点です。

価格帯の確認を到達点に含めている点は実務的です。女性の健康支援のサービスは価格が公開されていないことが多く、比較の段階で見積もりを取らないと候補の絞り込みができません。複数社に同じ条件で問い合わせ、提供内容と条件を並べた表を作るところまでがこのステップです。

実務で難所になるのはSTEP4の組織内調整です。ガイダンスは「“女性だけの施策”と思われないために、何が必要?」という問いを立て、対象外となる人を含めた情報提供を行って、取組の背景や目的への理解を組織全体で醸成することを求めています。

挙げられている具体策は3つです。利用率を上げるために経営層の巻き込みとコミットメントを得ること。案内をメールだけに頼らず、スケジュールシステムや掲示板、朝礼なども使って多様な働き方の社員に届けること。そして健康情報がセンシティブであることを踏まえ、心理的安全性を前提とした環境設定と丁寧な周知を行うことです。

対象を女性だけに限定せず周囲にも広げる機会とする、という考え方もガイダンスに示されています。正しい知識が広がり相互理解が進むことで、女性だけの施策という受け取られ方を避けられる、という整理です。

STEP5:小さく試して、何を測るか

STEP5は試験導入・評価です。対象や期間を絞って小規模に試すことで、運用負荷を抑えつつ実態を把握できるとされています。

測る内容としてガイダンスが挙げているのは、利用状況、満足度、感じられた効果、行動・意識の変化、今後の利用意向です。業務・パフォーマンスへの影響としては、体調や健康課題による業務への影響の変化と、プレゼンティーイズムの変化が例示されており、測定指標としてWHO-HPQ等が挙げられています。

到達点は2つです。利用者本人や周囲の人の満足度や反応、見えてきた課題を把握できていること。そして人事・総務等の導入担当者が、施策としての評価を整理し、今後の取組方針を判断できていること。

ガイダンスは、試験導入で得られた結果を導入の可否を決めるためだけでなく、よりよい施策設計につなげる材料として活用するよう求めています。ここで測った内容が、そのまま次の項目につながります。

健康経営度調査への接続

STEP5で測った内容は、健康経営度調査の設問にほぼそのまま使えます。調査では女性の健康に関する取組についてQ48・Q49で問われ、実施した施策の内容だけでなく参加率や効果検証の記載が求められます。

順序としては、調査票の記入時期から逆算してください。ガイダンスの5ステップを踏んで試験導入まで進めていれば、対象者数、参加者数、測定した指標、前後の変化がすでに手元にあります。逆に施策を実施しただけで測定を設計していなければ、記入の段階で書けることが「実施した」だけになります。

設問の中身は「健康経営度調査の「女性の健康」設問」に、令和8年度の変更点は「令和8年度健康経営度調査の変更点」にまとめています。今年度の調査は10月9日が期限です。今から試験導入まで進めるのは難しくても、STEP1の既存データの見直しとSTEP2の施策の棚卸しであれば間に合います。

Floraの支援:測るところまでを一つの流れにする

Flora株式会社の「Wellflow」は、従業員が日常的に使うヘルスケアアプリと管理職・全社員向けの研修に、導入前後を同じ指標で測る効果検証サーベイを組み合わせた健康経営支援サービスです。ガイダンスのSTEP1にあたる実態把握から、STEP5の試験導入と評価までを一続きで設計し、健康経営度調査に記載できる形で結果を残します。生理痛体験研修とあわせて、これまでに150社以上に導入されています。

まとめ

経産省のフェムテック導入ガイダンスは、5年間79件の実証事業から導入の進め方を5ステップに整理した手引きです。課題の認識、方針・施策検討、製品・サービス選定、組織内調整、試験導入・評価の順で進み、必要に応じて前に戻ります。

実務で効くのは、STEP1で既存データを見直すこと、STEP2で課題を広げすぎないこと、STEP4で対象外の人への説明を設計すること、そしてSTEP5で何を測るかを先に決めることです。測った内容は健康経営度調査にそのまま使えます。自社での進め方は無料相談でご案内しています。

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