令和8年度 健康経営度調査の変更点|女性の健康がテーマ別ベストプラクティスの選定対象に
2026年 9月 10日

令和8年度の健康経営度調査は2026年8月17日に回答受付が始まり、締め切りは10月9日17時です。今年度の調査票は、回答負担を減らす方針のもとで設問が整理される一方、睡眠の設問が独立し、長時間労働とホワイト500の要件が組み替えられ、テーマ別のベストプラクティス選定という新しい仕組みが加わりました。女性の健康はその選定テーマの一つです。この記事では、経済産業省が7月の健康経営推進検討会で示した改訂ポイントと8月の申請要領をもとに、何が変わり、回答する側は何を確認すべきかを整理します。認定制度そのものの全体像は「健康経営優良法人2027|認定基準と申請の全工程」にあります。
令和8年度 健康経営度調査の日程と規模
まず日程です。大規模法人部門の健康経営度調査は8月17日から10月9日17時まで、中小規模法人部門の認定申請は8月17日から10月16日17時までで、認定の発表は2027年3月ごろの予定です。
回答法人数は増え続けており、昨年度は4,175法人でした。日経平均を構成する225銘柄の8割を超える企業が回答しています。上位500位までがホワイト500、中小規模法人部門では上位500社がブライト500、501位から1,500位までがネクストブライト1000です。
今年度から、ブライト500に申請する法人にはフィードバックシートをホームページ上で開示することが求められ、これがブライト500とネクストブライト1000の認定要件になりました。もう一つ、通算10回以上健康経営銘柄に選定され、所定の要件を満たした法人を「健康経営銘柄Premier」として選定する枠組みが新設されています。
令和8年度 健康経営度調査の変更点は6つ
経済産業省は今年度の改訂ポイントを6つに整理しています。睡眠の質向上に向けた取組促進、PHRデータの利用促進、仕事と介護の両立支援、テーマ別ベストプラクティス、企業の健康投資額、ライフデザイン経営です。後ろの3つはアンケート項目で、配点はありません。
設問レベルでの主な変更は次のとおりです。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 必須要件の設問 | 健康経営の推進を一元的に記載している媒体とURLを回答する設問が、Q18SQ5に移動 |
| 長時間労働対策 | 「長時間労働の予防と事後対応」に統合。大規模法人は予防と事後対応の双方を満たすことが適合条件 |
| ホワイト500の要件 | 派遣社員等や家族への健康支援(Q20)と、企業間での健康経営の普及・支援(Q21)の両方を満たすことが要件に |
| 従業員への理解促進 | 情報発信の方法・内容と、理解を深めるための工夫の2問に統合 |
| 睡眠 | 「睡眠の質向上に向けた取り組み」が独立した評価設問として新設。健康経営度のスコアには反映されるが、大規模法人部門の認定要件には含まれない |
| 健康投資額 | 設備投資減価償却費・人件費・外注費の費目別内訳を記入するアンケート項目を新設 |
| テーマ別ベストプラクティス | 選定へのエントリーをアンケート項目として新設 |
ホワイト500の要件のうち、派遣社員等への支援と家族への支援はどちらか一方で足りますが、令和9年度からは双方が必須になる予定と示されています。来年度を見据えるなら、今年のうちに両方の実績をつくっておくほうが楽です。
なお、設問番号は7月の素案時点のものです。回答の際は、認定事務局ポータルの確定版で番号と文言を確認してください。
テーマ別ベストプラクティス選定とは何か
今年度の新しい仕組みで、女性の健康に取り組んでいる企業にいちばん関係が深いのがこれです。
経済産業省は、政策的に企業の取組を促したい5つのテーマについて、先進的で実効性のある取組を集め、大企業10社・中小企業40社を選定して公表する予定です。テーマは、①女性の健康保持・増進に向けた取組、②仕事と介護・治療・子育ての両立支援の取組、③睡眠の質向上に向けた取組、④高年齢従業員に配慮した健康づくりや職場環境整備の取組、⑤その他、の5つです。
流れは次のように示されています。
- エントリー(10月中まで)。 調査票・申請書にテーマ別の実施内容を記載する。
- 審査対象の抽出(11月末)。 前提要件を満たす法人を抽出。大規模法人は、健康経営の4側面のうち経営理念・方針、または評価・改善のスコアが偏差値60以上であること。中小規模法人はブライト500申請法人であること。
- 事務局採点(12月末)。 自由記述を採点し、大規模法人30社、中小規模法人100社ほどに絞る。
- 審査委員による審査(1月下旬から2月上旬)。 大規模10社、中小40社を選定。
- 公表(3月)。 企業名、取組概要、審査員のコメントを資料化して公表。
審査の基準は3つです。先進性(取組内容が先進的か、課題解決の新たな着眼点があるか)、横展開の可能性(他社でも真似できる取組か)、実効性(施策のKPI達成に対する創意工夫がどのような効果をもたらしたか)。加えて、くるみん・えるぼし、スポーツエールカンパニー、なでしこ銘柄などの他省庁の認定取得が加点要素になります。
女性の健康で選ばれる取組の条件
選定基準を女性の健康に当てはめると、何を書くべきかが見えてきます。
先進性は、制度を導入したことではなく、着眼点で評価されます。生理休暇の名称変更や婦人科検診の補助といった施策は、いまや多くの企業が実施しています。同じ施策でも、なぜその設計にしたのか、自社のどのデータからその課題を特定したのかが書けると、着眼点として残ります。
横展開の可能性は、特殊な予算や体制がなくても真似できるかどうかです。大規模な投資より、既存のサーベイに1問足した、管理職研修に90分の枠を組み込んだ、といった取組のほうがこの基準では有利に働きます。
実効性は、KPIに対する効果です。ここで問われるのは、施策の前後で何がどう動いたかを数字で示せるかどうかで、参加者数や満足度だけでは足りません。女性従業員の相談件数、生理休暇や関連する休暇の取得率、プレゼンティーズムの発揮度、離職率のいずれかが、施策の前後で比較できる形で残っている必要があります。プレゼンティーズムの測り方は「プレゼンティーズムの測定方法」を参照してください。
加点要素にえるぼしが含まれている点も、女性の健康に取り組む企業には追い風です。健康経営と女性活躍推進の認定を別々に進めている企業は、ここで一度つなげて考える価値があります。
政策の流れの中で見ると、女性の健康は今後も評価対象が広がる
今年度の改訂は単発ではありません。検討会資料には、2026年5月の「性差に由来する健康課題等への対応を推進するための論点整理」、6月の女性版骨太の方針2026、経済財政運営と改革の基本方針2026の原案がそろって引用されています。いずれも健康経営における女性の健康課題への対応を明記し、中小企業向けの女性の健康サポートデスクの設置や、健康経営優良法人の認定を受けた中小企業への補助金加点にまで言及しています。
女性の健康は、今年度のベストプラクティス選定のテーマにとどまらず、今後の調査票の評価手法そのものに組み込まれていく方向にあると読めます。低用量ピルの費用助成が評価対象になる可能性については「健康経営優良法人2027|女性の健康(低用量ピル費用助成)が評価対象になる可能性」で扱いました。
回答前に確認したい5つのこと
- 必須要件の設問番号を確定版で確認する。 URLを回答する必須設問の番号が動いています。素案の番号のまま社内資料を作っていると、提出直前に混乱します。
- 長時間労働は予防と事後対応の両方を書く。 大規模法人は片方だけでは適合になりません。
- ホワイト500を狙うなら、Q20とQ21の両方をそろえる。 派遣社員等・家族への支援と、グループ会社・取引先への普及の双方です。ホワイト500の考え方は「健康経営優良法人「ホワイト500」とは?」にまとめています。
- 睡眠の設問は認定要件ではないがスコアには入る。 順位を上げたい企業は、ウェアラブルの配布などの選択肢を確認しておく価値があります。
- 女性の健康でベストプラクティスにエントリーするなら、施策の前後の数字を用意する。 実効性の基準はKPIの変化で判断されます。健診受診率のような基本指標の扱いは「健診受診率とは」を参照してください。
Floraの支援:Wellflow
Flora株式会社の「Wellflow」は、従業員向けのヘルスケアアプリと管理職・全社員向けの研修に、導入前後を同じ指標で測る効果検証サーベイを組み合わせた健康経営支援サービスです。ベストプラクティス選定で問われる「施策の前後で何が動いたか」を、女性の健康の領域で数字として残すことを前提に設計しています。生理痛体験研修とあわせて、これまでに150社以上に導入されています。
まとめ
令和8年度の健康経営度調査は、回答負担を減らしつつ、睡眠、長時間労働、ホワイト500要件の組み替えと、テーマ別ベストプラクティス選定という新しい評価の入口を加えました。女性の健康はその5テーマの一つで、先進性・横展開の可能性・実効性の3基準で審査され、えるぼしなどの認定が加点になります。
回答期限は10月9日です。設問番号を確定版で確認し、長時間労働とホワイト500の要件を両方そろえ、女性の健康の取組は施策前後の数字を添えて記載する。この3点を押さえれば、今年度の変更に対応できます。
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よくある質問
テーマ別ベストプラクティスにエントリーすると、認定の審査に影響しますか。
睡眠の設問に回答しないと、認定に不利になりますか。
中小規模法人でも女性の健康のベストプラクティスに応募できますか。





