生理痛体験研修とは?内容・効果・費用・健康経営度調査での扱い

2026年 9月 10日

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生理痛体験研修は、専用のデバイスで生理痛に近い不快感を疑似体験したうえで、専門家の講義と対話型のワークを行い、体調不良を抱えたまま働くとはどういうことかを職場全体で理解する研修です。管理職向けの啓発として、あるいは健康経営やダイバーシティ推進の一施策として導入する企業が、ここ数年で増えました。この記事では、研修の具体的な内容、参加者アンケートから見える効果、費用の目安、健康経営度調査での位置づけを、導入を検討している人事・健康経営推進の担当者向けに整理します。痛みを知って終わりにせず、翌日からの声かけや働き方の調整まで変えることを狙って設計されている点が、この研修の特徴です。

生理痛体験研修とは何か

生理痛体験研修では、EMS(Electrical Muscle Stimulation:筋電気刺激)機器を腹部や腰部に装着し、筋肉に電気刺激を与えて生理痛に近い痛みや不快感を段階的に体感します。ただし、痛みを味わうだけで終わるプログラムはほとんどなく、一般的には次の要素を組み合わせて実施されます。

  • 女性の健康課題に関する基礎講義(産業看護師などの専門家が担当)
  • デバイスを装着したまま簡単な業務や歩行を行う疑似体験ワーク
  • 体験を踏まえて感じたことを共有し、職場でできる支援を話し合うグループワーク

対象は管理職に限りません。性別を問わず参加できる設計で、当事者である女性社員が加わると、自分の痛みは我慢して当然のものではなかったと気づく機会にもなります。

座学ではなく体験という形をとるのは、月経随伴症状が外から見えにくく、本人も職場で言い出しにくい課題だからです。女性従業員の多くが生理痛やPMS(月経前症候群)による体調不良を抱えながら働いていますが、特に男性上司には相談しづらいと感じる人が少なくありません。頭では知っていても実感がない、という状態を変えるのがこの研修の役割です。PMSを職場でどう伝えるかについては「PMSを上司・同僚にどう伝える?」も参考になります。

なぜ今、企業が生理痛体験研修を導入するのか

背景にあるのは、経営課題としての大きさです。経済産業省が2024年に公表した試算では、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3.4兆円で、その多くを占めるのが、出勤はしているが本来のパフォーマンスを発揮できないプレゼンティーズムです。内訳や企業への影響は「女性の健康課題によるプレゼンティーズム損失3.4兆円の中身」で詳しく解説しています。

この損失を大きくしているのが、周囲の理解不足です。体調不良を言い出せない職場では生理休暇の取得率が上がらず、無理な出勤が続き、やがて離職や昇進辞退という形で表に出てきます。生理休暇そのものは労働基準法第68条で定められていますが、制度はあっても使われていない企業は少なくありません。制度と運用のギャップについては「生理休暇とは?」をご覧ください。

導入企業の多くが生理痛体験研修を福利厚生ではなく、プレゼンティーズムの削減や定着率の向上に直接働きかける施策として位置づけているのは、このためです。

もう一つの背景が、2026年4月の女性活躍推進法改正です。情報公表義務の対象が広がり、女性管理職比率や男女間賃金差異とあわせて、働きやすさの実態が社外から見られるようになりました。こうした数値は、制度を整えただけでは動きません。日々の職場で理解と配慮が実際に働いていて、初めて変わります。生理痛体験研修は、その現場側の土台をつくる施策として選ばれています。

研修の内容と進め方(標準的な1回の流れ)

Floraの生理痛体験研修・ワークショップを例に、標準的な構成を示します。所要時間は1回あたり60〜90分程度で、参加人数は30〜40名程度を推奨しています。人数はご希望に応じて調整できます。

ステップ内容ねらい
1. 講義(約20分)産業看護師などの専門家が月経・PMS・更年期など女性の健康課題を解説。男性の健康課題にも触れる自分ごととして捉えるための前提知識をそろえる
2. 疑似体験(約20分)EMSデバイスを装着し、段階的に強度を上げながら簡単な作業や歩行を行う「この状態で仕事をする」感覚を身体で理解する
3. 共感ワーク(約20分)感じたことをグループで共有し、職場での声かけや配慮、制度の使い方を話し合う理解を具体的な行動に落とし込む
4. 行動宣言・アンケート参加者が明日からの行動を宣言し、事後アンケートに回答する効果検証と、健康経営度調査等で使えるデータ化

体験に使うデバイスは医療機器の基準に準じた設計で、強度は本人が調整できます。体調に不安のある方は、体験を見学に切り替えることもできます。安全面で気になる点は、導入前の説明会で確認しておいてください。

参加者アンケートから見える効果

Floraが2025年8月から2026年1月にかけて実施した生理痛体験研修のうち、製造業・電機メーカー・商社系の4社で回収した参加者アンケート(計201名、管理職が中心)を集計しました。結果は次のとおりです(Flora社調べ)。

設問結果
研修全体の満足度(「とても良かった」+「良かった」)98.5%(うち「とても良かった」65.7%)
生理痛の疑似体験を「体験してよかった」98.5%
研修を通じて「今後の行動を変えようと思った」98.0%
普段の状態を10としたとき、生理痛がある状態でのパフォーマンス(体感)平均 約4

注目したいのは4つ目の数値です。参加者は疑似体験を経て、生理痛のある状態では本来の4割程度しか力が出せないと感じています。プレゼンティーズムを、数字ではなく身体感覚として理解した結果です。事後アンケートでは、体調が悪い日は業務量や働き方を調整する必要がある、という趣旨の回答が多数を占めました。

自由記述には、次のような声が寄せられています。

  • 「体験後は『こんな状態で働いていたのか』と驚いた。会話や配慮の質が明らかに変わった」(製造業・人事担当)
  • 「ワークショップの内容を終礼で紹介し、後日職場の女性社員と話したところ、とても共感できた」(電機メーカー・管理職)
  • 「性別を問わず参加することで、チーム全体の共感力が上がった」(商社系・経営企画)

一方で、「体験ワークが慌ただしく終わった」「痛みの種類が実際とは少し違う」という指摘もありました。体験はあくまで入口です。講義と共感ワークまで含めてどれだけ丁寧に運営できるかで、研修の効果は大きく変わります。

公開されている事例では、東急電鉄株式会社様が、現場社員の多い環境で対面研修と生理痛体験を導入し、男性管理職の支援意識の向上と風土改善につなげています。詳細は「東急電鉄が取り組むDEI施策とは?」をご覧ください。

健康経営度調査・健康経営優良法人での扱い

健康経営優良法人認定のもとになる健康経営度調査では、生理痛体験研修は「女性特有の健康関連課題に関する知識を得るための取り組み」に当たります。令和7年度(健康経営優良法人2026向け)の大規模法人向け調査票ではQ48がこの設問で、この年度から、参加率に加えてPMS・更年期・子宮内膜症などテーマごとの取り組み内容が問われるようになりました。Q48は総合評価指標にも直結します。設問番号や内容は年度ごとに改訂されるので、申請年度の調査票で確認してください。

記載の際に問われるのは、実施したという事実だけでなく、どのテーマを、誰に、どんな効果があったかまで書けるかどうかです。生理痛体験研修は月経随伴症状・PMSというテーマがはっきりしていて、管理職を含む対象範囲も説明しやすい施策です。事後アンケートで参加者の意識変容を数値化し、効果レポートとして残せるので、調査票の記載根拠にもそのまま使えます。認定基準の全体像は「健康経営優良法人2027|認定基準と申請の全工程」で解説しています。

女性活躍推進やえるぼし認定を目指す企業からは、管理職向けの意識改革施策として説明しやすく、D&Iと健康経営の両方を一つの研修でカバーできる点も評価されています。

費用の目安と導入までの流れ

費用は参加人数と実施回数、動画研修やeラーニングを組み合わせるかどうかで変わるため、個別のお見積もりになります。管理職向けの単発実施から、複数拠点での展開、年間プログラムまで、規模に応じて設計できます。

導入までの流れは次のとおりです。

  1. お問い合わせ後、担当者がヒアリングし、貴社の課題に合わせた提案と見積もりを提示
  2. 発注書・契約書を締結
  3. 実施日程と参加者を確定(同意書や物品はFloraが準備)
  4. 当日はFloraの専属スタッフが現地でデバイスの装着から進行までサポート
  5. 事後アンケートを集計し、効果レポートを納品

更年期など他のテーマと組み合わせ、年間プログラムとして運用する企業も増えています。全社員向けの更年期研修の設計については「更年期研修を全社員向けに実施する意義と進め方」をご覧ください。

よくある失敗と成功のポイント

生理痛体験研修が一度きりのイベントで終わってしまう企業には、共通するつまずき方があります。

  • 対象を管理職だけに限定してしまう。当事者が参加しないと職場での会話につながりません。管理職と一般社員を混ぜたグループ構成のほうが効果は出ます。
  • 体験だけで終える。痛みを体験しただけでは「大変そうだ」で止まります。講義と共感ワークで、明日から何をするかまで落とし込んでください。
  • 効果を測らない。事前・事後のアンケートを先に設計しておかないと、健康経営度調査にも社内報告にも使えません。
  • 制度の周知とセットにしない。研修の直後に生理休暇の取り方や相談窓口をまとめた資料を配ると、行動変容が定着しやすくなります。

まとめ

生理痛体験研修は、女性の健康課題を知識ではなく体感として理解し、職場での声かけや働き方の調整につなげる研修です。4社201名のアンケートでは満足度・行動変容意向ともに98%を超え、参加者は生理痛のある状態でのパフォーマンスを平常時の約4割と体感しました。健康経営度調査の「女性特有の健康関連課題」への取り組みとして効果検証まで示せること、D&I施策としても説明しやすいこと。この二つがそろっているので、健康経営と女性活躍推進を同時に進めたい企業の最初の一手に向いています。

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