健康経営度調査の「女性の健康」設問に何を書くか|評価される取り組みと記入のコツ

2026年 9月 10日

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健康経営度調査の回答で、毎年迷いやすいのが「女性の健康」に関する設問です。研修は一度やった、生理休暇の制度もある。そこまでは書けても、何をどこまで書けば点になるのかが見えにくいためです。この記事では、健康経営度調査における女性の健康関連設問の位置づけと配点、各設問で問われている内容、記入のコツとよくある失敗、効果検証テーマとして「女性の健康」を選ぶという選択肢までを、回答を担当する人事・健康経営推進担当者向けに整理します。先に要点だけ言うと、評価されるのは制度が「ある」ことではなく、対象・参加率・効果を数字で書けているかどうかです。

健康経営度調査で女性の健康はどこで問われ、どれくらい重いのか

大規模法人部門の令和7年度(健康経営優良法人2026向け)調査票では、女性の健康に関する設問は主に2つです。

  • Q48:女性特有の健康関連課題に関する「知識を得るための取り組み」。PMS・妊娠出産・更年期・婦人科疾患といったテーマごとに、女性従業員・管理職・全従業員のどの層に何を実施したかを問う
  • Q49:女性の健康を支援する具体的な「取り組み」。婦人科検診の費用補助、受診のための休暇、相談窓口、セルフケアアプリ、更年期対応、職場環境の調整など14項目から該当するものを選ぶ

中小規模法人部門では、同じ内容がQ21(17項目)にまとめられています。

配点では、これらの設問を含む詳細項目「実践への土台づくり」が令和7年度に9点から11点へ増点されました。Q48は総合評価指標に直結する設問として扱われています。令和8年度(2027認定向け)の調査票でも、女性の健康は認定評価項目の一つとして維持される見込みです。ただし設問番号は年度ごとに改訂されるので、申請年度の調査票で必ず確認してください。認定制度全体の流れは「健康経営優良法人2027|認定基準と申請の全工程」で解説しています。

なぜ「やっている」だけでは点にならないのか

認定事務局が公表した2024年度の調査結果では、女性の健康に関する研修等を実施している法人は85%に上りました。一方で、研修等への参加率の中央値は15.1%です。実施している企業はすでに多数派で、そこでは差がつきません。差がつくのは、対象者をはっきりさせ、参加率を上げ、実施後の変化を測っている企業です。

令和7年度からQ48が、参加の有無だけでなくテーマごとの取り組み内容を問う形に変わったのも、この流れの中にあります。見られているのは制度があるかどうかより、実際に使われ、機能しているかどうかです。生理休暇なら「制度がある」で終わらず、取得しやすい環境をどう整えたかまで問われる、と考えておくとよいでしょう。

背景には、女性特有の健康課題による経済損失が年間約3.4兆円に上るという経済産業省の試算(2024年)があります。その多くは、出勤はしていても本来の力を発揮できないプレゼンティーズムによるものです。損失額の測り方は「プレゼンティーズムの測定方法」を参照してください。

Q48「知識を得るための取り組み」に何を書くか

Q48で見られているのは、次の3点です。

  1. テーマの広がり:月経・PMSだけでなく、更年期、妊娠・出産、婦人科疾患(がん検診を含む)まで扱っているか
  2. 対象の広がり:女性従業員だけでなく、管理職と全従業員にも届けているか
  3. 参加率:対象者数を分母にした参加率を把握しているか

書き方のコツは、施策を「テーマ×対象」のマトリクスで棚卸しすることです。「更年期:管理職向け研修(対象120名・参加率82%)」「PMS・月経:全従業員向けeラーニング(対象2,100名・受講率76%)」のように、1行ごとに対象と参加率が言える形にしておきます。参加率の分母は、該当条件を満たす全員です。女性向けセミナーなら女性従業員全員が分母になるので、任意参加で30名集めただけでは高い参加率にはなりません。

管理職向けは、座学に体験型を組み合わせると、参加者の意識の変化を数字で示しやすくなります。管理職を対象にした生理痛の疑似体験研修では、参加者の98%が「今後の行動を変えようと思った」と回答しました(Flora社調べ、2025〜2026年・4社201名)。詳細は「生理痛体験研修・ワークショップ」をご覧ください。更年期をテーマにするなら「更年期研修を全社員向けに実施する意義と進め方」が参考になります。

Q49「取り組み」14項目をどう優先するか

Q49は該当項目にチェックを入れる形式です。着手する順番は、根拠資料と実績数値を添えられる項目からが定石です。項目は大きく5つに分けて考えると整理しやすくなります。

分類主な項目記載で効く数字
検診婦人科検診・乳がん/子宮頸がん検診の費用補助、受診のための有給休暇、骨密度測定受診率(健保データで把握)
相談・医療アクセス産業保健スタッフや外部の相談窓口、婦人科オンライン相談、低用量ピル費用補助(2026年度から項目化)相談件数、利用者数
セルフケア月経・更年期症状の記録やセルフチェックができるアプリ・ツールの提供利用率、継続率
制度・環境生理休暇・更年期休暇の取得促進、勤務時間や業務の調整、職場環境の整備取得率、対象者数
周囲の理解管理職向け研修、相談対応ガイドライン参加率、研修後アンケート

新しく項目化された低用量ピルの費用補助については「低用量ピルの企業補助とは?」と「健康経営優良法人2027|女性の健康(低用量ピル費用助成)が評価対象になる可能性」で、検診受診率の上げ方は「女性のがん検診受診率はなぜ低いのか?」で詳しく扱っています。

公開されている評価結果データ約2,900法人をFloraが分析したところ、女性の健康に関する取り組みを1件だけ実施している企業群と3件以上実施している企業群では、「女性の健康」課題の偏差値に約21ポイントの差がありました(相関に基づく参考値)。1つの施策を磨き込むより、検診・相談・セルフケア・周囲の理解を組み合わせて面で取り組むほうが、評価にも実効性にもつながります。

効果検証テーマに「女性の健康」を選ぶという戦略

健康経営度調査には、実施した施策の効果検証を記述する設問があり、テーマを選んで書きます。同じ公開データの分析では、効果検証テーマに「女性の健康」を選んだ企業は全体の約11%にとどまっていました。メンタルヘルスや生活習慣に比べると、選ぶ企業がまだ少ない領域です。一方で、このテーマを選んだ企業の総合偏差値は、平均で約2.7ポイント高い傾向がありました(Flora社調べ・相関に基づく参考値)。

女性の健康には、検診受診率、欠勤時間、症状による業務影響日数など、前後で比べやすい指標がそろっています。導入前に匿名アンケートでベースラインを取り、翌年に同じ設問で再測定すれば、それがそのまま効果検証の記述になります。健診受診率の追い方は「健診受診率とは」も参考にしてください。

記載でよくある失敗

提出前に見直したいのは次の5点です。どれも直せば翌年度の評価に返ってきます。

  • 制度の存在だけを書いている。「生理休暇制度あり」で止まり、取得率や取得しやすくする工夫に触れていない
  • 参加率の分母が曖昧。任意参加の人数だけを書き、対象者全体に対する割合が示せない
  • 対象が女性だけ。管理職・全従業員向けの取り組みがなく、Q48の対象の広がりで失点する
  • 根拠資料が残っていない。研修資料、案内文、アンケート結果など、記載を裏づけるものが手元にない
  • 前年の設問番号で準備している。設問の統合・改訂は毎年あるので、公開後の調査票で読み直す

事例とFloraでできること

女性の健康スコアが業種平均を19ポイント上回った企業

Wellflowを導入した陸運業の大手企業(総合順位151〜200位)では、女性のプレゼンティーズム損失が約6割を占め、がん検診受診率と更年期対応に課題がありました。そこで、婦人科外来と健診バスによる無料のがん検診、女性社員と上司の双方に向けた研修、健康課題に関するアプリとQ&A集の整備を組み合わせました。2026年度のフィードバックシートでは「女性の健康」スコアが業種平均を19ポイント上回り、総合偏差値は前年から6.2ポイント上昇しています。健診バスで若年層の受診が増えたこと、女性主導の相互支援ワーキンググループが各エリアで動き始めたことも、効果検証として書ける成果です。

Wellflowによる支援

Wellflowは、女性の健康に関するサーベイでベースラインを把握したうえで、アプリによるセルフケアと相談窓口、管理職・全従業員向けの研修をまとめて導入し、健康経営度調査の回答に必要な参加率と前後比較のデータまで整えるサービスです。Q49ではセルフケアアプリ・相談窓口・研修の各項目に該当し、Q48のテーマ別・対象別の記載を数字で裏づけられます。提出済みの調査票やフィードバックシートをもとに失点箇所を洗い出し、翌年度の施策と記載方針を提案する支援も、Flora株式会社で行っています。

まとめ

健康経営度調査の女性の健康関連設問(大規模法人はQ48・Q49、中小規模法人はQ21)で評価されるのは、制度の有無ではありません。「テーマ×対象」の広がりと参加率、そして効果の数字です。研修実施率85%に対して参加率中央値15.1%という現状を裏返せば、参加率を上げて効果を測るだけで差がつきます。検診・相談・セルフケア・周囲の理解を組み合わせ、効果検証テーマに「女性の健康」を選ぶところまで設計できれば、調査の評価と職場の実態改善を同時に進められます。

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