男性管理職向け「女性の健康」研修の選び方|座学・eラーニング・体験型の比較
2026年 9月 10日

女性の健康に関する研修を男性管理職にも受けてもらう。そう決めたあとで、座学にするか、eラーニングにするか、体験型にするかで手が止まっている担当者は少なくないと思います。この3つは、準備の手間も、参加者の反応も、その後の行動の変わり方もかなり違います。この記事では形式ごとの向き不向きを比較表にまとめたうえで、健康経営度調査での扱い、効果測定の組み立て方、実施企業がつまずいた点を、参加者201名のアンケート結果を交えて紹介します。
なぜ「女性の健康」研修の対象を男性管理職にするのか
女性の健康課題に関する研修は、長いあいだ当事者である女性従業員向けに組まれてきました。ただ、本人が知識を持っていても、上司の側に理解がなければ、体調が悪いときの相談は上がってきませんし、業務の調整も起きません。施策が機能するかどうかは、相談を受ける側の理解で決まります。
もう一つの理由は、管理職層の構成です。厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」によれば、課長相当職に占める女性の割合は12.3%、部長相当職では8.7%です。部下から体調の相談を受ける立場の9割前後は男性だということになります。この層に届かない研修では、職場の運用はほとんど変わりません。
健康経営度調査も同じ見方をしています。大規模法人部門のQ48(女性特有の健康関連課題に関する知識を得るための取り組み)は、女性従業員・管理職・全従業員のどの層に何を実施したかをテーマ別に問う設問で、管理職への実施はそれだけで独立した評価項目になっています。
3つの形式を比較する:座学・eラーニング・体験型
| 観点 | 座学(講義型) | eラーニング | 体験型ワークショップ |
|---|---|---|---|
| 主な内容 | 専門家による講義、Q&A | 動画・スライド・確認テスト | 疑似体験デバイス+講義+対話ワーク |
| 一度に対象にできる人数 | 数十〜数百名 | 制限なし | 20〜40名程度が上限 |
| 参加者側の負担 | 60〜90分の拘束 | 各自のタイミングで30分前後 | 90〜120分、対面が基本 |
| 得られるもの | 体系的な知識 | 最低限の共通知識、受講履歴 | 体感にもとづく理解、行動意図 |
| 行動変容への距離 | 遠い | 遠い | 近い |
| 受講率の担保 | 日程調整次第 | 高い(管理しやすい) | 日程・会場の調整が必要 |
| 健康経営度調査での扱い | Q48「管理職向け」に該当 | Q48に該当(受講履歴が根拠になる) | Q48に該当、テーマ別実施として記載しやすい |
| 向いている目的 | 制度・法令の理解、全体方針の共有 | 全社への底上げ、法定研修との併用 | 管理職の意識と行動を変える、対話の起点をつくる |
3つのどれかを選ぶというより、役割が違うと考えたほうが実態に近いです。実施企業を見ていると、全社の共通知識を底上げしたいときはeラーニング、体系的に学んでもらいたいときは座学、管理職の行動を変えたいときは体験型、という使い分けに落ち着きます。順番としては、eラーニングで全員の前提をそろえてから管理職に体験型を入れる形が、運用上いちばん無理がありません。
eラーニング形式の設計については「eラーニングのハラスメント研修とは?企業の義務対応と戦略的価値を徹底解説」が、法定研修との組み合わせ方も含めて参考になります。
体験型が管理職向けに選ばれる理由:201名のアンケートから
生理痛がつらいものだと知っていることと、部下から相談されたその場で業務量を調整できることは、別の話です。前者は座学でも身につきます。後者を動かすには、頭で知るだけでは足りません。
Floraが2025年8月から2026年1月に実施した生理痛体験研修のうち、製造業・電機メーカー・商社系の4社で回収した参加者アンケート(計201名、管理職を中心とする参加者、Flora社調べ)では、次のような結果でした。
| 設問 | 結果 |
|---|---|
| 研修全体の満足度(「とても良かった」+「良かった」) | 98.5% |
| 疑似体験を「体験してよかった」 | 98.5% |
| 「今後の行動を変えようと思った」 | 98.0% |
| 普段を10としたときの、生理痛がある状態でのパフォーマンス(体感) | 平均 約4 |
この形式の価値は、4つ目の数値に表れています。生理痛のある状態では本来の4割程度しか力が出せない。それを参加者は、数字としてではなく身体で覚えて帰ります。プレゼンティーズムの講義を聞いて納得するのとは違う種類の理解で、自由記述には「こんな状態で働いていたのかと驚いた」「会話や配慮の質が明らかに変わった」という声が並びました。
一方で「体験ワークが慌ただしく終わった」「痛みの種類が実際とは少し違う」という指摘もありました。体験は入口にすぎず、そのあとの講義と対話ワークまで丁寧に運営して、ようやく研修として機能します。鉄道会社での実施例は「東急電鉄が取り組むDEI施策とは?」で紹介しています。
テーマは月経だけではない:更年期と男性の健康を含める
女性の健康研修というと月経やPMSが中心になりがちです。ただ、管理職が実際に向き合う場面としては更年期のほうが多い職場も珍しくありません。部下の年齢構成が40代・50代に寄っていれば、更年期症状による集中力の低下や体調の波が、評価や配置の判断にそのまま影響します。管理職向けの対応は「更年期世代への対応マニュアル|管理職が知っておくべきこと」に、全社向けの設計は「更年期研修を全社員向けに実施する意義と進め方」にまとめています。
もう一つ、男性管理職向けの研修で手応えがあるのは、男性自身の健康課題を同じ枠組みで扱う設計です。男性更年期(加齢男性性腺機能低下症)や睡眠、メンタルの不調なら、本人が自分の問題として聞けます。そこを入口にすると、性別にかかわらず体調は仕事に影響するのだという理解に、無理なくつながります。健康経営度調査のQ48も令和7年度からテーマごとの取り組み内容を問う形に変わっており、扱うテーマが広いほど記載できる内容も厚くなります。男性側の課題については「男性の更年期とは|症状・原因・治療法と企業の健康経営対策を解説」を参照してください。
効果測定の設計:受講率で終わらせない
受講した人数だけでは、研修の効果はわかりません。何をどう測るかは実施前に決めておきます。手順は次の4つです。
- 事前と事後のアンケートを同じ設問で取る。知識(例:PMSの症状を3つ以上挙げられる)、態度(例:部下から体調の相談を受けたときに対応できる自信があるか)、行動意図(例:チームで働き方を調整するつもりがあるか)の3層で、それぞれ1〜2問あれば足ります。
- 3か月後に行動を確認する。体調の相談を受けたか、業務量や勤務時間を調整したか、チームで話題にしたか。ここが動いていなければ、研修は知識のところで止まっています。
- 当事者側の変化も見る。女性従業員側のサーベイで、上司に体調のことを相談しやすいと答える人の割合がどう動いたか。最終的な成果指標はここです。管理職だけを測っていると、片側しか見えません。
- 健康経営度調査に書ける形で残す。実施日、対象層、人数、テーマ、満足度、事後の変化を、Q48の記載と効果検証の根拠になるよう同じ様式で保管しておきます。
当事者が上司にどう伝えるか、という反対側からの視点は「PMSを上司・同僚にどう伝える?職場での理解を得るためのポイント」で扱っています。研修の事後課題として管理職に読んでもらうと、理解が双方向になります。
費用の考え方と、よくある5つの失敗
費用は形式と規模で大きく変わります。eラーニングは受講者数に応じた課金が一般的です。座学は講師料と会場費、体験型はデバイスの手配と講師・ファシリテーターの人件費が主な内訳になります。金額は対象人数、回数、講師の専門性、事前アンケートや事後フォローの有無で決まるので、見積もりは個別に取るしかありません。比較するときは、1回あたりの金額よりも、行動が変わった管理職1人あたりでいくらかかったかで見ると、形式間の差がつかみやすくなります。
実施企業がつまずきやすいのは、次の5点です。
- 任意参加にして、来てほしい層が来ない。管理職向けは業務の一環として位置づけ、日程を先に押さえる。
- 女性の講師が女性の話を女性に向けてする場になる。男性管理職が対象なら、男性の講師やファシリテーターを入れる、男性の健康課題も同じ枠で扱うなど、聞き手が自分の話として受け取れる設計にする。
- 体験だけで終わる。疑似体験は入口にすぎない。講義と対話ワークが続かなければ、大変だったという感想で終わる。
- 一度きりで完了扱いにする。管理職は入れ替わる。年1回の定例にして、新任管理職研修にも組み込む。
- 効果を受講率だけで報告する。事前・事後・3か月後の変化を示せないと、翌年の予算の根拠が立てられない。
Floraの支援:生理痛体験研修・ワークショップ
Flora株式会社の「生理痛体験研修・ワークショップ」は、専用デバイスによる疑似体験、専門家による講義、対話型ワークを組み合わせた管理職・全社員向けのプログラムです。幹部会議の一コマとしての実施から、事業所ごとの複数回開催、全社展開まで、対象と目的に合わせて組み立てます。
事前アンケートで現場の声を集めて当日の内容に反映する、事後の行動変化を追う設問を用意する、結果を健康経営度調査Q48の記載に使える形に整理する。こうした前後の作業まで含めて支援しています。生理痛体験研修とWellflowをあわせて、これまでに150社以上に導入されています。
まとめ
男性管理職向けの女性の健康研修は、形式の選び方で結果が変わります。全社の底上げにはeラーニング、体系的な理解には座学、管理職の行動を変えるには体験型と役割を分け、できれば段階を踏んで組み合わせてください。
テーマは月経にとどめず、更年期と男性自身の健康まで広げる。効果は事前・事後・3か月後の変化と、当事者側のサーベイで測る。この2点を押さえておけば、研修は単発のイベントで終わらず、健康経営度調査に書ける継続施策になります。
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**生理痛体験研修・ワークショップの詳細・お問い合わせはこちら → 生理痛体験研修・ワークショップ**
よくある質問
男性管理職だけを対象にした研修は、逆に反発を招きませんか。
健康経営度調査では、どの形式でも同じように評価されますか。
少人数の会社でも体験型は実施できますか。





