女性活躍推進企業データベースの使い方|同業他社と自社の数字を比べる手順
2026年 11月 5日

女性活躍推進企業データベース(正式名称は「女性の活躍推進企業データベース」)とは、厚生労働省が運営する、女性活躍推進法にもとづく行動計画と、各社の女性活躍に関する情報を公表するためのサイトです。2026年11月5日時点で、トップページにはデータを公表している企業が45,143社と表示されています。2026年4月の改正で、常時雇用する労働者が101人以上の企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務づけられ、このデータベースは同業・同規模の他社と自社を比べるときの基本のデータになります。この記事では、データベースに何が載っているか、同業他社と比べる手順、オープンデータで見た規模・業種ごとの中央値、そして比べるときに気をつけることを順に説明します。
女性活躍推進企業データベースとは
データベースは厚生労働省の委託事業として運営されています。企業はここに行動計画と、採用、継続就業、管理職、賃金などの数字を自ら入力して公表します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営 | 厚生労働省(委託事業) |
| 根拠 | 女性活躍推進法 第20条(情報公表)、同法の省令 第19条第4項(公表の方法) |
| 登録企業数 | データ公表企業 45,143社、行動計画公表企業 60,684社(2026年11月5日、トップページ表示) |
| 主な公表状況 | 情報公表企業 40,219社のうち、男女の賃金の差異を公表 20,115社(50.0%)、女性管理職比率を公表 22,771社(56.6%)(2026年1月末時点、厚生労働省の利用状況資料) |
省令は情報の公表方法を「厚生労働省のウェブサイトへの掲載その他の適切な方法」と定めており、施行通達はこの「厚生労働省のウェブサイト」がデータベースを指すとしています。厚生労働省のリーフレットは、公表の場としてデータベースが「最も適切」としつつ、自社のホームページでの公表でも差し支えないとしています。一方、有価証券報告書だけで公表しても、女性活躍推進法の義務を果たしたことにはなりません。
2026年4月の改正で何が載るようになったか
2026年4月1日の改正で、情報公表の必須項目が次のように広がりました。
| 企業規模(常時雇用する労働者) | 必須の公表項目 |
|---|---|
| 301人以上 | 男女間賃金差異、女性管理職比率に加えて、「職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活との両立」の項目から1つ以上ずつ |
| 101〜300人 | 男女間賃金差異、女性管理職比率に加えて、1項目以上 |
| 100人以下 | 努力義務 |
301人以上の企業は2022年7月から賃金差異の公表が義務でしたが、101〜300人の企業と、女性管理職比率は今回からです。初回は、改正後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表します。3月決算の企業なら、2027年6月末ごろが最初の期限です。改正の全体は「女性活躍推進法改正2026|公表義務拡大(101人以上)と企業の実務対応」をご覧ください。
このため、2026年11月時点では、101〜300人の企業の多くはまだ初回の期限前です。データベースは、事業年度が終わっていない企業に、賃金差異は「算出不可」、管理職比率は「0」を入力し、注釈欄に公表予定の時期を書く運用を案内しています。女性管理職比率が0%の企業の中には、この仮の入力が含まれていることがあります。
データベースに載っている項目
公表できる項目は、採用した労働者に占める女性の割合、男女の平均継続勤務年数の差異、男女別の育児休業取得率、平均残業時間、年次有給休暇の取得率、係長級・管理職・役員に占める女性の割合、男女の賃金の差異など14項目です。比較でよく使う2つは、次のように定義されています。
- 女性管理職比率:課長級と、それより上位の役職(役員を除く)にある労働者に占める女性の割合です。課長代理や課長補佐は、一般に課長級に含みません。
- 男女の賃金の差異:女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割った値(%)です。全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の3区分に加え、雇用管理区分ごとの差異を最大5区分まで表示でき、注釈・説明欄と対象期間の欄があります。算出方法は「男女間賃金差異の計算方法|実務担当者向けガイド」で解説しています。
各社のデータには、単体の数字かグループ(連結等)の数字かを示す欄と、データの集計時点の欄もあります。
同業他社と比べる手順
自社と近い企業の数字を見るときは、次の順で進めます。
- 詳細検索で条件を絞る。 業種、企業規模(10人未満から5001人以上までの7区分)、都道府県で絞り込みます。業種には大分類のほか、銀行、証券、保険、医薬品、自動車など一部の細目もあります。
- 公表している項目で絞る。 「データ項目」で「男女の賃金の差異」や「管理職に占める女性労働者の割合」を指定すると、その項目を公表している企業だけが残ります。
- ランキングで位置を見る。 女性管理職比率、平均残業時間、年次有給休暇の取得率、平均継続勤務年数は、業種・規模・都道府県で絞ったランキングで見られます。男女の賃金の差異のランキングはありません。
- 説明欄と対象期間を読む。 数字だけでなく、注釈・説明欄と対象期間を必ず確認します。
- まとめて比べるならオープンデータを使う。 全企業のデータがCSV形式で公開されており、全体版のほか規模別・業種別のファイルもあります。出典を記載すれば商用でも利用できます。
オープンデータで見る、規模別・業種別の中央値
オープンデータ(2026年11月5日時点、66,545行)から、常時雇用101人以上の企業についてFloraが中央値を計算しました。厚生労働省の統計ではなく、各社が自ら公表した数字の集計です。
| 企業規模 | 賃金差異(全労働者)の中央値 | 公表企業数 | 女性管理職比率の中央値 | 公表企業数 |
|---|---|---|---|---|
| 101〜300人 | 74.3% | 9,962社 | 11.1% | 13,351社 |
| 301〜500人 | 72.4% | 6,340社 | 10.5% | 5,367社 |
| 501〜1000人 | 71.6% | 4,809社 | 10.0% | 4,188社 |
| 1001〜5000人 | 70.4% | 3,568社 | 9.2% | 3,237社 |
| 5001人以上 | 69.4% | 587社 | 9.8% | 563社 |
| 101人以上計 | 72.7% | 25,266社 | 10.5% | 26,706社 |
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」オープンデータ(2026年11月5日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成
規模による差より大きいのが、業種による差です。101人以上の企業で見ると、医療・福祉は賃金差異の中央値80.2%、女性管理職比率50.0%、情報通信業は78.6%と11.5%、金融業・保険業は65.0%と15.8%、卸売業・小売業は66.9%と8.0%、建設業は67.8%と3.4%でした。全業種をまとめた数字と比べると、自社の業種がもともと持つ傾向まで差に含めてしまいます。比べる相手は、同じ業種、近い規模に絞ってください。
厚生労働省自身の集計では、301人以上の義務対象企業のうち同省が把握した14,577社の賃金差異の平均は、全労働者で69.5%でした(2024年1月19日時点)。上場企業の有価証券報告書をもとにした比較は「上場企業の女性管理職比率は平均10.7%|2026年3月期の有報で自社の位置を読む」にまとめています。
比べるときに気をつけること
データベースの数字は、企業が自ら公表したものです。厚生労働省も、データを見るときの注意として、次のような点を示しています。
- 数字だけを切り取らない。 賃金差異は、各社が記載した説明欄の内容を含めて見ることが求められています。女性の採用を増やすと、若手の女性が増えて一時的に差異が広がることもあり得ます。
- 算出の範囲が会社ごとに違う。 退職手当や通勤手当などは、各社の判断で賃金から除外できます。対象期間や集計時点もそろっていません。
- 注記の「※」に気をつける。 注記の欄に「※」がある項目は、定義と異なる内容が掲載されています。
- 0%や空欄の意味を確かめる。 初回の期限前の仮の入力や、単体とグループの違いが混ざっています。
- 男性育休は別のデータベースで見る。 育児・介護休業法による男性の育児休業取得状況の公表は「両立支援のひろば」という別のサイトが受け皿で、定義も女性活躍推進法の項目とは違い得ます。2つを並べて比べないようにします。届け先ごとの違いは「男性育休取得率の算定範囲|届け先ごとに数字が変わる仕組みと注記の書き方」で扱っています。
なお、データベース内の解説ページやQ&Aの一部には、改正前の「301人以上に公表義務」という記述が残っています。2026年4月以降は101人以上が対象です。
自社の数字を説明できるようにする:Floraの支援
同業他社と比べて自社の数字が低かったとき、次に問われるのは理由です。賃金差異や女性管理職比率は、等級の構成、職種、勤続年数、育休からの復帰後の働き方など、多くの要因が重なった結果です。公表欄の注釈に何を書くかを考えるときも、その要因を自社のデータで確かめておく必要があります。注記の書き方は「女性管理職比率の公表|算出方法・注記の書き方と、数字を上げる前に見るべき3つの指標」をご覧ください。
Floraのダイバーシティデータプログラムは、在籍する社員全員の人事データを複数年にわたって横断的に分析し、男女の差がどの段階で、どの要因から生まれているかを明らかにします。データベースで見た同業との差を、社内のどこで生まれた差なのかまで分解して説明したいときにご相談ください。
まとめ
女性活躍推進企業データベースは、厚生労働省が運営する女性活躍の情報公表の場で、2026年11月5日時点でデータ公表企業は45,143社です。2026年4月の改正で101人以上の企業に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務づけられ、3月決算の企業は2027年6月末ごろが初回の期限です。
同業他社と比べるときは、業種と規模で絞り込み、説明欄と対象期間を確かめ、まとめて見るならオープンデータを使います。オープンデータで見ると、101人以上の企業の中央値は賃金差異72.7%、女性管理職比率10.5%ですが、業種による差がそれ以上に大きく、比べる相手は同じ業種に絞る必要があります。
よくある質問
女性活躍推進企業データベースへの掲載は義務ですか。
同業他社の数字をまとめて入手する方法はありますか。
女性管理職比率が0%と表示されている企業は、女性管理職がいないのですか。





