育休の取得期間の公表とは|28日以上取得者の割合が検討項目に

2026年 10月 26日

育休の取得期間の公表とは、男性の育児休業について、取得した人の割合だけでなく、どれだけの期間休んだかを企業が外部に示すことです。2026年10月26日の労働政策審議会 雇用環境・均等分科会で、厚生労働省は常時雇用する労働者が1,000人を超える企業の公表項目に取得期間を加えることを検討項目として示し、公表内容の例に「1か月(28日)以上取得者の割合」を挙げました。まだ検討段階で、義務になるかどうかも時期も決まっていません。この記事では、資料に何が書かれているか、取得率とどう違うか、全国の男性がどれくらいの期間休んでいるかを確認し、人事がこの四半期から記録しておけることを整理します。

育休の取得期間の公表とは何か

いま法律で公表が求められているのは、男性の育児休業等の取得率です。育児・介護休業法により、常時雇用する労働者が1,000人を超える企業には2023年4月から、300人を超える企業には2025年4月から、年1回の公表が義務づけられています。

取得率は「休んだ人の割合」を示す指標です。1日だけの取得も、6か月の取得も、同じ1人として数えます。そのため、取得率が高くても、実際には数日の取得がほとんどという状態は数字に表れません。

取得期間の公表は、この見えない部分を出そうとするものです。資料が例として挙げた「1か月(28日)以上取得者の割合」であれば、育休を取った男性のうち、28日以上休んだ人がどれだけいたかを示すことになります。

公表義務の全体像と、2025年4月の改正内容は「男性育休の義務化はいつから|公表義務の範囲と、始まった5年後見直し」で扱っています。

2026年10月26日の分科会で示されたこと

この検討は、2021年に改正された育児・介護休業法の見直し規定にもとづいています。施行後5年(2027年)を目途に検討する規定があり、2026年10月2日の第92回分科会から議論が始まりました。10月26日の第93回では、厚生労働省が「仕事と育児の両立支援に関する検討項目と主な御意見」(資料2)を示しています。

取得期間に関係する論点は2つです。

論点資料2に書かれている内容
公表項目の追加男性の育児休業取得率に加え、取得期間も追加することについてどう考えるか。対象は常時雇用する労働者数1,000人超の企業。公表内容の例として1か月(28日)以上取得者の割合
くるみん等の認定基準男性の育児休業取得率の基準の引き上げ、取得期間に関する基準の導入、中小企業特例の見直し。基準の例として1か月(28日)以上取得者の割合○%以上

委員の意見は分かれています。可視化することで企業の改善を後押しし、求職者の企業選びにも役立つため公表項目に加えるべきだという意見がある一方、一律に公表義務を課すことは公表の効果を踏まえて慎重・丁寧に検討すべきだという意見も記録されています。育休の期間を公表するだけでなく、復帰後の柔軟な働き方とあわせて進めるべきだという指摘もあります。

どれも検討項目であり、決まった制度ではありません。数字の「28日」も、資料では例として書かれているだけです。くるみん認定の基準がどう変わりうるかは「くるみん認定とは|3種類の基準の違いと、2025年改正後の申請の進め方」で解説しています。

(出典:厚生労働省 労働政策審議会 雇用環境・均等分科会 第93回 資料2、2026年10月26日。同 第92回 資料1-1、2026年10月2日)

取得率と取得期間は、別の問いに答える指標

取得率と取得期間は、似ているようで答えている問いが違います。

取得率が答えるのは「休める職場か」です。対象者のうち何人が育休を取ったかを見るので、制度を使うこと自体への心理的な壁が下がったかどうかを測れます。

取得期間が答えるのは「育児に関われる長さか」です。数日の取得でも取得率には同じように数えられるため、取得率だけでは、休みが形式的なものにとどまっていないかは分かりません。28日という線は、少なくとも1か月近く、職場を離れて家庭の側に入っている人の割合を見るためのものと読めます。

数え方にも違いがあります。取得率は、公表の対象年度に子が生まれた人を分母にとります。取得期間の割合を出す場合、分母は育休を取った人になるのが自然です。同じ「男性育休の数字」でも分母が変わるため、社内で数字を渡すときは、どちらの指標かを必ず添える必要があります。取得率の分母と分子の決まり方は「男性育休取得率の算定範囲|届け先ごとに数字が変わる仕組みと注記の書き方」にまとめています。

全国の男性は、どれくらいの期間休んでいるか

全国の状況は、厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」(2026年7月31日公表、事業所調査の有効回答3,291事業所)で確認できます。2024年4月から2025年3月までに育児休業(産後パパ育休を含む)を終えて復職した男性の取得期間は、次のとおりでした。

取得期間男性の割合
5日未満6.8%
5日〜2週間未満14.1%
2週間〜1か月未満28.0%
1か月〜3か月未満30.3%
3か月〜6か月未満10.1%
6か月以上10.8%

最も多いのは1か月〜3か月未満の30.3%で、2週間未満は20.9%でした。表の区分を足し合わせると、1か月以上休んだ人はおよそ半分になります。同じ調査で、女性は12か月〜18か月未満が31.4%で最も多くなっています。

一方、同じ調査の男性の育休取得率は50.9%でした。取得率が5割を超えた年に、取得した人の半分近くは1か月に届いていない、というのが全国の姿です。取得率の読み方と自社の出し方は「男性育休取得率50.9%と300人超企業の公表義務|数字の読み方と自社の出し方」で扱っています。

なお、調査の区分は「1か月」で、資料2の例にある「28日」とは厳密には一致しません。全国の数字は目安として使い、自社の数字は日数で数えてください。

(出典:厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」事業所調査 結果概要 表12)

人事がこの四半期から記録しておけること

公表項目に加わるかどうかは決まっていません。それでも、記録だけは今から始めておく価値があります。後から遡って日数を集めるのは手間がかかり、退職者や異動者の分は戻れないこともあるためです。

  1. 取得者ごとに、開始日と終了日を記録する。 「何日取ったか」の集計値だけでなく、日付そのものを残します。数え方が決まった後で、どの方式にも合わせられます。
  2. 分割取得は、回ごとに記録する。 育休や産後パパ育休は分けて取れるため、1人が複数回取ることがあります。回ごとの日付があれば、合算するのか、1回あたりで見るのかに後から対応できます。
  3. 産後パパ育休と育休を区別しておく。 制度ごとの内訳を求められる可能性があるため、どちらの制度での取得かを記録します。
  4. 取得率の記録と同じ表に持つ。 取得率の分母(子が生まれた人)と分子(取得した人)と同じ一覧に日数の列を足しておけば、指標が増えても数え直しが要りません。
  5. 28日以上の割合を、試しに一度出してみる。 分母を取得者数、分子を28日以上取得した人数にすると、自社がおおよそどの位置にいるかが分かります。結果を社外に出す必要はありません。

自社の取得率は「男性育休取得率 計算ツール」で確かめられます。取得期間の集計も同じ記録から出せます。

取得期間を数えるときのつまずき

数え方を先に決めてしまう。 暦日で数えるか、分割した回を合算するかは、まだどこにも示されていません。社内で独自に決めて集計値だけを残すと、後で定義が違ったときに作り直しになります。日付を残しておくことが一番の備えです。

平均日数だけを出す。 1人が長く休むと、平均は大きく動きます。数人の長期取得で平均が上がっていても、大半は数日という状態は珍しくありません。割合と平均は別のことを示します。

取得率と同じ分母で割る。 取得期間の割合の分母は、子が生まれた人ではなく、育休を取った人です。分母を取り違えると、数字の意味が変わります。

会社単位の数字しか見ない。 部署や職種によって取りやすさは違います。会社全体で28日以上の割合が出ても、特定の部署ではほとんど取れていないことがあります。公表とは別に、社内では区分ごとに見てください。

Floraの支援:人事データで、取得の中身を見る

取得率が上がった後に残る問いは、誰が、どの部署で、どれだけ休めているかです。それに答えるには、育休の記録を、人事異動や評価、昇進の記録とあわせて見る必要があります。

Floraのダイバーシティデータプログラムは、在籍する社員全員の人事データを複数年にわたって横断的に分析し、育休の取得状況とその後の配置・評価・昇進との関係を明らかにします。取得期間のように、これから開示が求められうる指標についても、今ある記録からどこまで出せるか、何を記録に足せばよいかを一緒に整理します。ご相談はダイバーシティデータプログラムのページからお問い合わせください。

まとめ

育休の取得期間の公表は、2026年10月26日の労働政策審議会で、常時雇用1,000人超の企業を対象に検討項目として示されました。公表内容の例は「1か月(28日)以上取得者の割合」で、くるみん認定でも取得期間の基準の導入が検討されています。いずれも検討段階で、内容も時期も決まっていません。

全国では、男性の育休取得率が50.9%に達した一方、取得した人のおよそ半分は1か月未満です。取得率だけでは見えない部分を示すのが取得期間です。

人事が今からできるのは、取得者ごとの開始日と終了日を、取得率と同じ記録に残しておくことです。そうしておけば、数え方がどう決まっても、数え直さずに対応できます。

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