育休中の社会保険料免除|月末ルールと14日ルール、賞与の扱い

2026年 9月 28日

育児休業中の社会保険料免除とは、被保険者から育児休業または育児休業に準ずる休業を取得する申し出があった場合に、事業主からの届出により、育児休業の開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの社会保険料が免除される制度です。

健康保険料と厚生年金保険料が対象で、被保険者負担分と事業主負担分の両方が免除されます。会社側の負担も減るため、制度としては双方に効きます。

令和4年10月から免除の要件が改正され、月額保険料と賞与保険料で判定のしかたが分かれました。ここが実務で最も間違えやすいところです。この記事では、2つのルールと届出で詰まる箇所を整理します。

(出典:日本年金機構「令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます」)

育休の社会保険料免除は、月額と賞与でルールが分かれる

判定のしかたが2系統あります。まず月額保険料から見ます。

月額保険料は、2つのどちらかを満たせば免除

育児休業等の開始月について、次のいずれかを満たせば、その月の月額保険料が免除されます。

  1. その月の末日が育児休業等期間中であること(従来からのルール)
  2. その月中に14日以上、育児休業等を取得したこと(令和4年10月以降に開始した育児休業等が対象)

改正前は1つめだけでした。月末をまたがない短い育休は、何日取っても免除されなかったということです。改正後は、月末をまたがなくても同月内に14日以上取れば免除されます。

具体的に言うと、月の初めから14日間取得して月の半ばに復帰した場合、改正前は免除されず、改正後は免除されます。逆に、月末を含む3日間の育休は、改正前も改正後も免除されます。

2つは「または」の関係です。どちらかを満たせばよく、両方は要りません。

賞与保険料は、1か月を超える育休が要る

賞与にかかる保険料は、別のルールです。

育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与の保険料については、令和4年10月1日以降に開始した育児休業等の場合、その賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除されます。1か月は暦日で計算します。

つまり、月額保険料の14日ルールは賞与には適用されません。同月内に14日以上取得しても、1か月を超えていなければ賞与保険料は免除されないということです。

この改正は、賞与月にだけ短期の育休を取得して賞与保険料の免除を受ける、という運用への対応として行われたものです。改正前は、賞与月の月末を含む数日の育休でも賞与保険料が全額免除されていました。賞与は月額給与より標準報酬が大きくなることが多く、影響も大きかったためです。

月額と賞与で判定が違うことの実務上の意味

人事の説明で起きやすい混乱がここです。「14日取れば免除」とだけ伝えると、賞与保険料も免除されると受け取られます。

月額保険料賞与保険料
月末を含む免除1か月を超える場合のみ免除
月末を含まず、同月内14日以上免除免除されない
月末を含まず、14日未満免除されない免除されない

賞与の支給月に育休を予定している従業員から相談があった場合は、この違いを先に伝えてください。

産休中の保険料も免除される

育児休業の前段にある産前産後休業についても、保険料免除の制度があります。産前産後休業を取得した被保険者について、事業主が申出を行うことで、産前産後休業期間中の健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。

対象となる産前産後休業期間は、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは出産予定日)以前42日、多胎妊娠の場合は98日から、出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間です。届出は事業主が「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ提出して行います。

こちらは育休と別の届出になります。産休から育休へ連続して入る場合、届出は2回必要です。産休の届出だけ出して育休の届出を忘れる、というのが実務で起きる漏れのひとつです。

年金への影響について、本人から「免除されると将来の年金が減るのか」と聞かれることがあります。減りません。日本年金機構は、この免除期間は将来、被保険者の年金額を計算する際は保険料を納めた期間として扱われると明記しています。育児休業等期間中の免除についても同じです。この一文を説明に入れておくと、取得をためらう理由がひとつ減ります。

なお、育児休業等期間中の保険料免除の対象は、育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間です。

届出で詰まる箇所

届出は「健康保険厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」で、事業主が行います。

開始日と終了予定日の翌日が同じ月内にある場合は、共通記載欄の育児休業等取得日数欄と就労予定日数欄を必ず記入する必要があります。14日ルールの判定に使うためです。この2欄の記入漏れが、差し戻しの典型です。

同月内に複数回の育児休業を取得した場合は、開始年月日欄に初回の開始日を、終了予定年月日欄に最終回の終了予定日を記入したうえで、育休等取得内訳を記入します。産後パパ育休は2回まで分割できるため、この形になることがあります。

予定より早く終了した場合や延長した場合も、変更後の育児休業等取得日数欄の記入が必要になることがあります。いずれも、開始日と終了日の翌日が同月内かどうかで判定が変わるためです。

届出の提出時期にも注意が要ります。産前産後休業の申出は産前産後休業期間中に、育児休業等の申出は育児休業の期間中に行う必要があります。休業が終わってからまとめて出す、という進め方はできません。復帰後に気づいて慌てる前に、休業開始の連絡を受けた時点で届出まで完了させる運用にしておいてください。

給付とあわせて考える

社会保険料の免除は、育児休業給付とあわせて手取りに効いてきます。厚生労働省は、育児休業給付の給付率と出生後休業支援給付金を合わせた80%が手取り10割相当になる理由として、保険料免除と非課税を挙げています。

出生後休業支援給付金の要件は出生後休業支援給付金とはに、産後パパ育休の制度は男性の産休(産後パパ育休)とはにまとめました。男性育休の公表義務は男性育休の義務化とはで扱っています。

同じ2025年4月の改正で変わった子の看護等休暇は子の看護等休暇とはをご覧ください。

人事が説明するときの順番

  1. 免除は自動ではない。 事業主が届け出て初めて免除されます。本人が申し出たら、人事側の手続きが要ります。
  2. 免除される期間を正確に伝える。 開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月までです。終了月は免除されません。
  3. 月額と賞与を分けて説明する。 判定のルールが違います。
  4. 短い育休の取り方を一緒に考える。 14日ルールがあるため、取得のタイミングによって免除の有無が変わります。本人にとって不利にならない日程を、制度を知っている側から提示できます。

4つめは実務として効きます。「14日取れば開始月の保険料が免除される」ことを知らずに10日で設定してしまう、というのは本人の損です。

ただし、ここには線引きが要ります。免除を得るために取得日数を決める、という順番で話を進めると、制度の趣旨から外れます。人事の役割は、本人が希望する取り方を前提に、そこで何が免除され何が免除されないかを正確に伝えることです。日数を動かすかどうかは本人が決めます。

また、賞与月に合わせて短期の育休を設定するような助言は避けてください。令和4年10月の改正で賞与保険料の要件が1か月超に変更されたのは、まさにその運用への対応です。

免除されない期間を間違えない

免除の終わりは、終了日の翌日が属する月の前月までです。ここは説明で取り違えやすい箇所です。

たとえば育児休業が3月15日に終わる場合、終了日の翌日は3月16日で、その属する月は3月です。免除されるのは2月までで、3月分の保険料は免除されません。「3月まで育休だったのに3月分が引かれている」という問い合わせは、この仕組みを説明すれば解消します。

一方で、育児休業が3月31日に終わる場合は、終了日の翌日が4月1日となり、3月分まで免除されます。復帰日を1日ずらすだけで1か月分変わることがある、ということです。本人が復帰日を選べる場合は、この点も伝えておくと親切です。

Floraの支援:説明する側の負荷を減らす

育休の相談は、制度が多層になっているぶん、人事担当者が一人で全部を説明することになりがちです。給付、保険料、休暇、復帰後の働き方。それぞれ根拠法も窓口も違います。

FloraのWellflowは、従業員向けの相談支援と管理職向けの研修を提供しています。制度の手続きそのものは人事の仕事ですが、その手前にある相談と、復帰後の働き方の部分を分担できます。

なお、保険料免除の可否を判断するのは日本年金機構および加入している健康保険の保険者です。個別の判定は届出先にご確認ください。

まとめ

育児休業中の社会保険料免除は、事業主の届出により、開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までが対象になります。開始月については、月末を含むか、同月内に14日以上取得したかのいずれかを満たせば免除されます。

賞与保険料は別のルールで、賞与月の末日を含んだ連続1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除されます。14日ルールは賞与には使えません。この違いを先に伝えることが、社内説明のいちばんの要点です。

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