育児・介護休業法改正|2025年4月・10月施行の全項目と、次の見直し

2026年 11月 5日

最終更新日:2026年11月5日

育児・介護休業法の改正(令和6年法律第42号)は、2025年4月1日と2025年10月1日の2段階で施行され、いまはすべての項目が適用されています。子の看護等休暇の対象拡大、残業免除の範囲拡大、介護に直面した人への個別周知、3歳から小学校入学前の子を育てる人のための「柔軟な働き方を実現するための措置」が主な内容で、育児休業の取得状況の公表を除き、企業規模を問わず全企業が対象です。この記事では、改正の全項目と、就業規則や労使協定で直す箇所、2026年秋に労働政策審議会で始まった次の見直しの論点を整理します。

育児・介護休業法改正とは|2025年に2段階で施行

育児・介護休業法は、育児休業や介護休業、子の看護等休暇、短時間勤務などを定め、仕事と育児・介護の両立を支える法律です。2024年5月31日に公布された改正法は、共働きで子育てをする世帯が増えたことと、介護を理由とする離職を防ぐことを目的に、事業主の義務を広げました。

同じ改正法で、次世代育成支援対策推進法も改正されています。法律の有効期限は2035年3月31日まで10年延長され、常時雇用する労働者が100人を超える企業は、2025年4月1日以降に策定・変更する一般事業主行動計画で、男性の育児休業等の取得状況と労働時間の状況を把握し、数値目標を定めることになりました(100人以下は努力義務)。

改正の全項目一覧(2025年4月・10月施行)

施行日と対象を一覧にすると、次のとおりです。個別の制度の詳しい要件は、表の下にある各記事で解説しています。

施行日内容対象義務の程度
2025年4月子の看護等休暇:対象を小学校3年生修了までに拡大、学級閉鎖等と入園・卒園・入学の式典を事由に追加全企業義務
2025年4月子の看護等休暇・介護休暇:労使協定で「勤続6か月未満」を除外する仕組みを廃止全企業義務
2025年4月所定外労働の制限(残業免除):対象を小学校就学前の子まで拡大全企業義務
2025年4月3歳未満の短時間勤務の代替措置にテレワークを追加全企業選択肢の追加
2025年4月3歳未満の子を育てる人、家族を介護する人がテレワークを選べるようにする全企業努力義務
2025年4月育児休業の取得状況の公表を、1,000人超から300人超に拡大常時雇用300人超義務
2025年4月介護:申出をした人への個別周知・意向確認、40歳等での情報提供、雇用環境の整備全企業義務
2025年10月柔軟な働き方を実現するための措置:5つから2つ以上を講じる全企業義務
2025年10月上記の措置の個別周知・意向確認、妊娠・出産の申出時と子が3歳になる前の意向聴取と配慮全企業義務

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」、e-Gov 育児・介護休業法の2025年4月1日版・10月1日版)

公表義務は、施行日以後に開始する事業年度から適用されます。3月決算の企業なら、初回は2025年6月末までの公表でした。公表の範囲と数字の出し方は「男性育休の義務化はいつから|公表義務の範囲と、始まった5年後見直し」で扱っています。

2025年4月施行:子の看護等休暇・残業免除・介護の両立支援

子の看護休暇は「子の看護等休暇」に名前が変わり、対象が小学校3年生修了まで広がりました。日数は1年に5日(子が2人以上なら10日)で変わりません。新たに取得事由になったのは、学級閉鎖などに伴う世話と、入園・卒園・入学の式典です。授業参観や運動会は法定の事由には含まれないため、認めるなら法を上回る自社の制度として定めます。詳しくは「子の看護等休暇とは|2025年4月に子の看護休暇から変わった4つの点」をご覧ください。

所定外労働の制限は、これまで3歳未満の子を育てる人が対象でしたが、小学校就学前の子を育てる人まで請求できるようになりました。

介護では、介護に直面した旨を申し出た人に、介護休業や両立支援の制度、申出先、介護休業給付金を個別に知らせ、意向を確認することが義務になりました。あわせて、40歳に達した年度などに、介護に直面する前の段階で同じ情報を提供すること、研修や相談窓口の設置などで制度を申し出やすい環境を整えることも義務です。介護休暇の要件の変化は「介護休暇とは|介護休業との違い・日数と、2025年4月改正で変わった要件」で、介護の両立支援を健康経営の取り組みとして進める手順は「仕事と介護の両立支援|健康経営度調査の認定項目と2025年育児・介護休業法改正で企業に求められること」で解説しています。

2025年10月施行:柔軟な働き方を実現するための措置と意向聴取

3歳から小学校就学前の子を育てる人のために、事業主は次の5つから2つ以上を選んで講じなければなりません。

  • 始業時刻等の変更(フレックスタイム制、時差出勤)
  • テレワーク等(月10日以上)
  • 保育施設の設置運営等
  • 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
  • 短時間勤務制度

労働者は、講じられた措置の中から1つを選んで使います。措置を選ぶときは、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴く必要があります。同意や労使協定までは求められていません。事業所や職種ごとに組み合わせを変えることもできます。

措置の内容は、子が3歳になる前の1年間(1歳11か月から2歳11か月まで)に個別に知らせ、利用の意向を確認します。同じ時期と、妊娠・出産の申出があったときには、勤務時間帯や勤務地、制度の利用期間などについて本人の意向を聴き、配慮することも義務になりました。選び方の考え方は「柔軟な働き方を実現するための措置とは|5つの選択肢と2025年10月の義務」にまとめています。

就業規則・労使協定で直す箇所

子の看護等休暇、介護休暇、養育両立支援休暇は労働基準法第89条の「休暇」に当たるため、付与の要件や手続きを就業規則に書く必要があります。常時10人以上の事業所では、変更した就業規則を労働基準監督署長に届け出ます。厚生労働省は、改正に対応した規定例と労使協定の例を公開しています(「育児・介護休業等に関する規則の規定例」)。

見直す箇所確認すること
子の看護等休暇対象年齢、取得事由、名称
労使協定子の看護等休暇・介護休暇の「勤続6か月未満」の除外条項を削除する
所定外労働の制限対象を小学校就学前まで広げる
柔軟な働き方の措置選んだ2つ以上の措置と、利用の手続き
個別周知・意向聴取面談や書面の様式、記録の残し方
300人超の企業育児休業の取得状況の公表ページ

労使協定は届出が不要なため、古い協定がそのまま残っていることがあります。「勤続6か月未満」を除外する条項は、2025年4月以降、看護等休暇や介護休暇の申出を拒む根拠になりません。協定と就業規則の該当箇所を削除しておくのが確実です。

違反した場合の扱い

厚生労働大臣(実務上は都道府県労働局長)は、事業主に報告を求めたり、助言・指導・勧告をしたりできます。勧告に従わない場合は、企業名が公表されることがあります。報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりすると、20万円以下の過料の対象です(育児・介護休業法第56条、第56条の2、第66条)。テレワークの努力義務のように努力義務にとどまる規定は、企業名公表の対象に入っていません。

次の改正に向けた見直し|分科会で示された論点

2026年秋から、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で次の見直しの議論が始まっています。根拠は令和3年の改正法にある、施行後5年(令和9年)をめどとした検討規定です。2026年10月2日の第92回で検討項目(案)が示され、10月26日の第93回で主な意見とあわせて整理されました。いずれも「どのように考えるか」という問いの形で示された論点で、改正が決まったものではありません。

  • 育児休業の取得状況の公表項目に、取得率に加えて取得期間を加える(常時雇用1,000人超の企業。例として「1か月(28日)以上取得者の割合」)
  • くるみん認定の基準に、男性の育児休業の取得期間を取り入れる
  • 子の看護等休暇・介護休暇で、勤務時間の途中で抜ける「中抜け」を原則可能にする
  • 産後パパ育休、雇用環境整備、個別周知・意向確認、育児休業の分割取得の施行状況を踏まえた見直し

取得期間の公表をめぐる議論は「育休の取得期間の公表とは|28日以上取得者の割合が検討項目に」で詳しく扱っています。2026年11月時点で、取りまとめや法案提出の時期は示されていません。

まとめ

2025年の育児・介護休業法改正は、すでにすべての項目が施行されています。いま確かめたいのは、就業規則と労使協定が改正後の内容になっているか、個別周知と意向聴取が面談や書面で記録されているか、300人超の企業なら公表が毎年続いているかの3点です。次の見直しでは、取得期間の公表や「くるみん認定」の基準の見直しなど、育児休業の取得の「長さ」に関わる論点が並んでいます。両立支援に使える助成金は「両立支援等助成金とは|2026年度の6コースと支給額、申請前に整える社内制度」にまとめています。

制度を整えても、使われなければ両立は進みません。Wellflowは、従業員向けアプリ、健康課題のサーベイ、研修を組み合わせ、両立支援の制度が実際に使われる状態づくりを支援しています。

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