両立支援等助成金とは|2026年度の6コースと申請前に整える社内制度

2026年 9月 25日

両立支援等助成金とは、仕事と育児・介護等の両立支援に取り組む事業主を支援するための、厚生労働省の助成金制度です。窓口は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で、2026年度は6つのコースが設けられています。

この助成金には、他の制度と違う性格があります。制度をつくっただけでは支給されず、つくった制度を従業員が実際に使い、その事実を書類で示せて初めて対象になります。逆に言えば、支給要件の一覧は「両立支援の職場をつくるなら、最低限ここまでは整えてください」という行政側のチェックリストとして読めます。

この記事では、2026年度の6コースが何を対象にしているのかと、申請する前に社内で整えておく必要があるものを、コースごとに整理します。金額は毎年度見直されるため扱いません。最新の支給額は厚生労働省のページでご確認ください。

両立支援等助成金の6コースと、それぞれが見ているもの

コース支援の対象申請前に必要な中心的な準備
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)男性の育児休業取得、男性育休取得率の上昇雇用環境整備の措置、業務体制整備の規定
育児休業等支援コース育児休業の円滑な取得と職場復帰育休復帰支援プラン、面談シート
育休中等業務代替支援コース育休取得者・短時間勤務者の業務代替業務効率化、代替者への手当や新規雇用
柔軟な働き方選択制度等支援コース育児期の柔軟な働き方柔軟な働き方選択制度を3つ以上導入
介護離職防止支援コース介護休業・介護両立支援制度の利用仕事と介護の両立支援プラン
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース不妊治療、月経、更年期への対応3制度の規程化と両立支援担当者の選任

上の6つが2026年度のコースです。このほかに事業所内保育施設コースがありますが、2016年4月から新規計画の認定申請の受付が停止されています。

「子育てパパ支援助成金」は出生時両立支援コースの別称です。検索ではこちらの名前が使われることもありますが、指しているものは同じコースです。

(出典:厚生労働省「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」)

育児に関する3つのコース

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合と、男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合が対象です。取得率の上昇は、1事業年度で30ポイント以上上がって50%を達成した場合などが条件になります。

申請の前に必要なのは、育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置、育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに関する規定と、それに基づく業務体制の整備、就業規則等への育児休業制度の規定、そして次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と労働局への届出です。このうち雇用環境整備と規定の策定は、対象となる育児休業の開始日の前日までに済ませておく必要があります。

男性育休そのものの制度と公表義務は、男性育休とは|取得率50.9%時代の制度と給付金と男性育休の義務化とは|300人超の公表義務と、企業の対応手順で扱っています。

育児休業等支援コース

「育休復帰支援プラン」を作成し、それに沿って育児休業の取得と職場復帰を支援した場合が対象です。育休取得時と職場復帰時の2つの時点があります。

要件の中心は面談とプランです。育児休業の取得予定者と面談等を行い、その内容を面談シートに記録したうえで育休復帰支援プランを作成し、プランに基づいて業務の引き継ぎを実施します。対象の労働者が連続3か月以上の育児休業を取得したことも条件です。

育休中等業務代替支援コース

育児休業の取得者や育児のための短時間勤務制度の利用者について、周囲の労働者が業務を代替した場合と、代替要員を新規雇用した場合が対象です。

周囲でカバーする場合は、業務効率化の取組、業務代替者に対する賃金増額制度の整備、業務代替者への面談、原職等復帰の取扱いの就業規則への規定が必要になります。代替要員を雇う場合も、原職等復帰の取扱いを就業規則に規定したうえで新たな雇い入れや派遣受入を行います。

柔軟な働き方と介護の2つのコース

柔軟な働き方選択制度等支援コース

育児を行う労働者の柔軟な働き方を可能とする制度を3つ以上導入し、対象者が実際に利用した場合が対象です。

制度の内容と利用手続を労働協約または就業規則に規定し、「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」で支援の方針を全労働者へ周知したうえで、対象者と面談して面談シートに記録し、その結果を踏まえて個別のプランを作成します。対象者が制度のいずれかを利用開始から6か月間で一定の基準以上利用したことが条件です。子の看護等休暇制度を有給化した場合の支援も用意されています。

介護離職防止支援コース

「仕事と介護の両立支援プラン」を作成し、プランに基づいて介護休業を取得・復帰させた場合、介護のための短時間勤務や在宅勤務などの両立支援制度を利用させた場合、介護休業取得者や短時間勤務者の業務代替を行った場合、介護休暇制度を有給化した場合が対象です。このコースの支給対象は中小企業事業主に限られます。

介護側の実務は仕事と介護の両立支援|健康経営度調査の認定項目と2025年育介法改正で企業に求められることで扱っています。

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

6コースのうち、女性の健康を正面から扱うのがこのコースです。不妊治療、月経(PMSを含む)、更年期という3つの健康課題それぞれについて、利用できる両立支援制度を整え、労働者の相談に対応し、実際に制度を使わせた場合が対象になります。

支給要件は4つです。3つの制度それぞれについて、制度の内容と利用手続、賃金の取扱い等を労働協約または就業規則に規定し、規定の範囲内で運用したうえで労働者に周知していること。労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任していること。対象労働者が、いずれかの制度または複数の制度を組み合わせて、利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用したこと。そして対象労働者を雇用保険被保険者として雇用していることです。

制度を誰が使えるかにも条件があります。不妊治療のための両立支援制度は性別を問わず利用できること、月経に起因する症状への対応のための制度は女性が利用できること、更年期における心身の不調への対応のための制度は少なくとも女性が利用できることが必要で、全労働者が利用できる形が望ましいとされています。

休暇制度の設計そのものは不妊治療と仕事の両立支援制度のつくり方|休暇・就業規則の実例で具体例を挙げています。

申請前に整える社内制度と、つまずきやすい3か所

コースをまたいで共通して求められるものがあります。就業規則または労働協約への規定、制度の周知、対象者との面談とその記録、そして育児関係のコースでは次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と労働局への届出です。

実務でつまずくのは、おおむね次の3か所です。

  1. 順番。規程の整備や面談は、対象者が休業や制度利用を始める前日までに終わっている必要があります。後から遡って整えることはできません。
  2. 運用の実態。規定しただけでは足りず、規定した範囲内で運用していることが要件になっています。規程と実際の運用がずれている状態は、書類でそのまま表面化します。
  3. 申請期限。コースごとに起算日が定められ、そこから2か月以内といった期限が設けられています。たとえば介護休業の業務代替支援は、対象となる介護休業終了日の翌日から2か月以内です。制度を使わせた時点で終わりではありません。

助成金の一覧としては女性活躍推進の助成金【2026年版】|国・東京都の制度と申請要件、認定制度との組み合わせはくるみん認定とは|3種類の基準の違いと、2025年改正後の申請の進め方を参照してください。プラチナくるみん認定を受けている事業主への加算が設けられているコースもあります。

Floraの支援:制度をつくるところと、使われる状態にするところ

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースの要件を読むと、行政が求めているのは規程だけではないことが分かります。相談を受ける担当者がいて、対象者が実際に制度を使っている状態です。制度はあるのに使われない、という職場では要件を満たしません。

Floraは、月経・更年期・不妊治療といった健康課題について、従業員向けの相談支援と研修、制度設計の支援をWellflowで提供しています。就業規則に載せる制度の設計と、その制度が使われる状態をつくるところの両方を支援できます。

なお、助成金の支給可否を判断するのは都道府県労働局です。Floraのサービスを導入したことが支給要件を満たすことを意味するものではありません。要件の確認と申請は、労働局および手引きに沿って進めてください。

まとめ

両立支援等助成金は、2026年度に6つのコースが設けられています。育児、柔軟な働き方、介護、そして不妊治療と女性の健康課題という4つの領域をカバーし、どのコースも「制度を整える」「対象者と面談する」「実際に使われる」という3つが揃って初めて対象になります。

支給要件の一覧は、申請するかどうかにかかわらず、両立支援の職場をつくるうえでの実務のチェックリストとして使えます。まず自社の就業規則と一般事業主行動計画の状態を確認し、足りないところから整えるのが現実的な進め方です。

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