介護休暇とは|介護休業との違い・日数と、2025年4月改正で変わった要件

2026年 9月 28日

介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うために取得できる休暇で、対象家族が1人の場合は1年間に5日まで、2人以上の場合は10日まで取得できます。育児・介護休業法に定められた制度です。

よく混同されるのが介護休業です。こちらは対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できるまとまった休業です。通院の付き添いや役所の手続きに使うのが介護休暇、介護の体制を整えるためにいったん仕事を離れるのが介護休業、と役割が分かれています。

2025年4月1日から、育児・介護休業法の改正により、介護についても企業の義務がいくつか追加されました。この記事では、両制度の違いと、企業側で必要になった対応を整理します。

介護休暇とは何か、介護休業とどう違うか

介護休暇介護休業
日数対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日対象家族1人につき通算93日
分割1日単位または時間単位3回を上限に分割可能
主な使いみち通院の付き添い、手続き、ケアマネジャーとの面談介護の体制づくり、施設探し、看取りの期間
給付なし(有給か無給かは会社が決める)雇用保険の介護休業給付金の対象

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。範囲は法律で決まっており、同居や扶養の有無は問いません。

「要介護状態」とは、2週間以上にわたり、次のいずれかの状態にある場合を指します。介護保険制度の要介護2以上であること。または、要介護1以下であっても一定の介助が必要な場合で、これは厚生労働省の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」によって判断します。

つまり要介護2以上の認定がなくても該当し得ます。就業規則で「要介護認定を受けた家族」と限定して書いてしまうと、法定より狭い制度になります。自社の規程がこの書き方になっていないか確認してください。

介護休暇は時間単位で取得できます。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者について、労使協定で時間単位取得を除外している場合は、対象の労働者は1日単位でのみ取得できます。

介護休業給付金の額や支給要件は雇用保険の制度です。金額は改定されるため、最新の条件はハローワークの案内でご確認ください。

休暇・休業以外の「介護両立支援制度等」

実務で見落とされやすいのが、休む制度以外の選択肢です。育児・介護休業法は、要介護状態の対象家族を介護する労働者について、次の制度も定めています。義務化された雇用環境整備や個別周知は、これらをまとめて「介護両立支援制度等」として扱います。

  • 所定外労働の制限:請求があれば、所定労働時間を超える労働をさせられません。
  • 時間外労働の制限:請求があれば、法律の定める上限を超える時間外労働をさせられません。
  • 深夜業の制限:請求があれば、深夜の時間帯に労働させられません。
  • 所定労働時間の短縮等の措置:次のいずれかを講じます。短時間勤務制度(1日の所定労働時間の短縮、週または月の所定労働時間の短縮、週または月の所定労働日数の短縮、労働者が個々に勤務しない日または時間を請求できるもの)、フレックスタイム、時差出勤、介護サービスの費用の助成。

実際の介護は、93日休めば終わるものではありません。続くのは通所介護や訪問介護と勤務を組み合わせる日々のほうです。介護休業を使い切らせるより、短時間勤務やフレックスと組み合わせるほうが、離職を止める効果が大きい場面が多くあります。個別周知で伝えるべきは、休業の日数だけではないということです。

2025年4月1日から変わったこと

介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和された

労使協定で除外できる労働者から、継続雇用期間6か月未満の労働者が外れました。改正前は「週の所定労働日数が2日以下」と「継続雇用期間6か月未満」の2つを除外できましたが、改正後に除外できるのは前者だけです。

入社半年未満の従業員も介護休暇を取得できるようになった、ということです。就業規則に旧来の除外規定が残っていないか確認してください。

介護離職防止のための雇用環境整備が義務になった

介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるよう、事業主は次の①〜④のいずれかの措置を講じなければなりません。複数を講じることが望ましいとされています。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

ここでいう介護両立支援制度等とは、介護休暇に関する制度、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、そして介護のための所定労働時間の短縮等の措置を指します。

介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認が義務になった

介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は制度の周知と、介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向確認を個別に行わなければなりません。

周知する事項は、①介護休業に関する制度・介護両立支援制度等の内容、②申出先(人事部など)、③介護休業給付金に関することの3つです。方法は面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかで、FAXと電子メールは労働者が希望した場合に限られます。面談はオンラインでも構いません。

指針は釘を刺しています。取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。「制度はありますが、前例がなくて」と添えるような運用は、義務を果たしたことになりません。

40歳等での情報提供が義務になった

介護に直面する前の早い段階で理解と関心を深めてもらうため、事業主は次のいずれかの期間に、上記と同じ3つの事項を情報提供しなければなりません。

  • 労働者が40歳に達する日(誕生日の前日)の属する年度の1年間
  • 労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間

40歳は介護保険の第2号被保険者になる年齢です。まだ介護が始まっていない人に届けるところまでが義務になった点が、この改正のわかりにくいところであり、同時に要点でもあります。

介護のためのテレワークが努力義務になった

要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主の努力義務になりました。義務ではありませんが、措置を検討した記録は残しておくのが安全です。

(出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」令和7年4月1日から段階的に施行)

介護離職を防ぐには、制度より手前が要る

働きながら家族の介護をしている人は365万人、介護を理由に離職した人は1年間で10.6万人です(総務省「令和4年就業構造基本調査」)。

この数字と、いま企業に課された義務の並びを見比べると、改正の狙いが読めます。義務の中心は休暇や休業の日数ではなく、情報が本人に届いているかです。40歳での情報提供、直面時の個別周知、相談窓口の設置。いずれも「制度を知らないまま辞める」を止めにいく設計になっています。

実務で効くのは次の3つです。

  1. 40歳の情報提供を、誕生月の定型処理に組み込む。 年度でまとめて配るか、誕生日起算で個別に配るかを先に決めます。後から遡れません。
  2. 相談の入口を、介護だけの窓口にしない。 介護に直面していることを職場に知らせたくない人は多くいます。健康や両立全般の相談窓口として設けたほうが、実際に使われます。
  3. 管理職が制度の存在を言えるようにする。 個別周知の義務は会社にありますが、最初に打ち明けられるのは直属の上司です。

介護と健康経営の関係、および他社がどこまで実施しているかは仕事と介護の両立支援で扱っています。介護全般の基礎は家族介護とはをご覧ください。

制度整備に使える助成金としては、両立支援等助成金の介護離職防止支援コースがあります。仕事と介護の両立支援プランを作成し、プランに基づいて介護休業を取得・復帰させた場合などが対象で、支給対象は中小企業事業主に限られます。詳しくは両立支援等助成金とはにまとめました。

Floraの支援:言い出せる状態をつくる

介護の制度は、知られていないより「言い出せない」ほうが先に効きます。自分の親の状態を職場に説明することに抵抗がある人は多く、限界まで一人で抱えてから辞める、という順番が起きます。

FloraのWellflowは、従業員が健康や両立の相談を直接できる窓口と、管理職向けの研修を提供しています。介護専用の窓口として掲げないことで、介護に直面していると職場に知らせる前の段階で相談できる場所になります。雇用環境整備の①研修と②相談体制の整備にも対応する形で設計できます。

なお、義務を果たしているかどうかを判断するのは都道府県労働局です。Floraのサービスの導入がそれを満たすことを意味するものではありません。

まとめ

介護休暇は年5日(対象家族2人以上は10日)までの単発の休暇、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで3回に分割できるまとまった休業です。給付があるのは介護休業のほうです。

2025年4月1日からは、介護休暇の6か月未満除外規定の廃止、雇用環境整備、介護に直面した労働者への個別周知・意向確認、40歳等での情報提供が企業の義務になりました。就業規則の除外規定と、40歳の情報提供の運用は、まず確認すべき2か所です。

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