健康経営度調査をグループ12社で回す|合算回答と各社回答の選び方、分担・締切・差し戻しの設計

2026年 9月 14日

持株会社の健康経営推進担当が、グループ12社分の健康経営度調査を見ている。ある子会社は昨年、健診受診率の分母を間違えて差し戻しになった。別の子会社は締切前日に「証憑がどこにあるか分からない」と連絡してきた。10月9日の締切は動かせず、確認の往復だけが増えていく。

健康経営度調査は法人ごとの回答が基本ですが、グループ会社を合算して回答する道もあり、どちらを選ぶかで作業の形が変わります。この記事では、2026年度(令和8年度)の調査票の記載にもとづいて、回答範囲の選び方、合算申請の条件、持株会社と各社の分担、締切から逆算した日程、差し戻しを減らす雛形と証憑の保存ルールをまとめます。制度の全体像は「健康経営優良法人2027|認定基準と申請の全工程」をご覧ください。

健康経営度調査をグループで回す最初の決め事:回答範囲は3つ

調査票のQ2で、回答範囲を1つ選びます。法人全体で回答するか、自社とグループ会社の合算で回答するか、国内の全連結グループ会社で回答するかです。調査票は、回答のベースを全設問でそろえることを求めており、一部の設問だけをグループで答えることはできません。

合算で回答する場合は、Q2のSQ1に含める法人の名称、従業員数、業種、住所、法人番号を書き、その全法人が健康経営銘柄と健康経営優良法人(大規模法人部門)の対象になります。ただし、健康管理や労務管理が別になっている法人は合算に含められず、その法人は別途自社で回答します。海外の支社や海外の連結会社は、どの回答範囲でも対象に含めません。

合算申請には、押さえておくべき条件が4つあります。

条件内容
認定証合算で申請・認定されても、認定証は申請法人名義で1通のみ
申請料申請主体の80,000円(税込88,000円)に、合算する法人1社あたり15,000円(税込16,500円)を加算
証憑提出資料で、全ての法人で取り組みが行われていることを確認される。確認できない場合は虚偽申請とみなされることがある
誓約合算した法人に誓約違反があれば、申請法人の誓約違反と同じ扱い

子会社それぞれに認定証が要るなら、各社が自社で回答します。グループとして1つの認定でよく、健康管理と労務管理が一体なら、合算が選べます。両方を混ぜることはできないので、最初に決めます。

判断の目安は、認定証を誰が使うかです。子会社が採用サイトや取引先への説明で自社名義の認定を使うなら各社回答、グループ全体のブランドとして1つあればよいなら合算です。合算にしても、認定の審査では全法人の取り組みを確認されるので、各社の証憑を集める作業は減りません。減るのは調査票の入力と提出の回数だけです。

各社回答なら、持株会社は「12回答の編集者」になる

各社回答を選んだグループでは、持株会社の担当者は自社の回答に加えて、子会社の回答を確認する役割を持ちます。設問は69問あり、そのうち全社方針、推進体制、経営層の関与といった設問は各社で答えが似ますが、健診受診率、ストレスチェック、女性の健康に関する教育の参加率のように、各社の実績で答えが変わる設問が大半です。

分担は、設問を2種類に分けると決めやすくなります。

種類誰が作るか
グループ共通の設問健康経営の方針の明文化、推進体制、経営層の会議体、グループ会社への普及・支援持株会社が雛形を作り、各社が自社の固有名詞に置き換える
各社の実績で答える設問従業員数、健診受診率、精密検査の受診率、ストレスチェック、女性の健康に関する教育の参加率、効果検証各社が自社データで作り、持株会社が分母と証憑を確認する

グループ会社への普及・支援を問うQ21は、合算で回答する場合、回答範囲に含めた法人を「グループ会社」に数えません。各社回答なら、持株会社が子会社への支援を、子会社が取引先への支援をそれぞれ答えます。持株会社が各社の推進担当者を教育・支援している事実は、持株会社の回答で点になります。子会社の回答にも同じ内容を書くと二重になるので、どちらで答えるかを先に決めておきます。

10月9日から逆算する

2026年度の大規模法人部門の回答期間は、8月17日から10月9日の17時までです。中小規模法人部門は10月16日の17時までで、締切の延長はありません。子会社に中小規模法人部門で申請する法人があれば、締切が1週間違う点に注意します。

12社を回すなら、次の逆算が現実的です。認定の内定は2027年2月下旬、発表は3月中旬の予定で、大規模法人部門のフィードバックシートは12月下旬に届きます。この日程を法人数に合わせて書き換えられる形にしたものを「健康経営度調査 グループ回答 進行表テンプレート」として配布しています。

時期持株会社各社
7月前年度のフィードバックシートを読み合わせ、各社の弱い設問を特定。今年度の変更点を共有前年度の回答と証憑を棚卸し
8月17日〜末共通設問の雛形を配布。各社の担当者と提出日を確定従業員数(Q3)と分母を確定
9月上旬各社の一次提出を受け、分母と証憑を確認実績設問を入力。証憑を所定のフォルダに置く
9月中旬〜下旬差し戻しと再確認。共通設問の整合を最終確認差し戻し対応
10月上旬各社の最終提出を確認。締切の3営業日前までに全社提出提出

今年度の変更点は「令和8年度 健康経営度調査の変更点|女性の健康がテーマ別ベストプラクティスの対象に」にまとめています。前年度のフィードバックシートは、どの設問で点を落としたかを法人ごとに示すので、12社分を並べると、グループ全体で弱い設問と、特定の子会社だけ弱い設問が分かれます。

差し戻しを減らす3つのルール

差し戻しの原因は、分母の取り違え、証憑の不足、共通設問の不整合の3つに集中します。

  1. 分母を先に固定する。 従業員数は、正社員、健康診断の実施義務がある出向正社員、常時使用する非正社員、自社が派遣元の派遣社員の4区分で申告し、以降の設問はこの定義に合わせます。各社がQ3を確定してから実績設問に入る順番にすると、受診率や参加率の分母の取り違えが減ります。人的資本開示の法人の境目と出向者の扱いは「有価証券報告書の人的資本を連結・グループで出す|子会社を含めた集計と2026年4月の公表義務拡大」で整理しています。
  2. 証憑の置き場所と命名を決める。 調査票は、回答した取り組みを説明できる資料を申請期間の最終日から2年間保存し、求められた場合は1週間以内に提出することを求めています。法人ごと・設問ごとのフォルダに「法人_設問番号_資料名_年度」で置くと、翌年の棚卸しと追加確認の両方に使えます。女性の健康に関する設問の証憑一覧は「健康経営度調査「女性の健康」提出前チェックリスト|Q48・Q49の確認手順」と、健康経営優良法人2027「女性の健康」チャプターにまとめています。
  3. 共通設問は雛形から変えた点だけ確認する。 全社方針や推進体制の設問は、持株会社の雛形を各社が置き換える形にし、差分だけを見ます。各社が一から書くと、同じグループなのに方針の記述が食い違い、審査で説明を求められます。

健康投資の金額を問う設問は、各社の費用を持株会社が集約する形になります。範囲の考え方は「企業の健康投資額とは?|令和8年度健康経営度調査で把握される費用の範囲と、自社での出し方」をご覧ください。

よくある失敗

  • 合算と各社回答を混ぜる。 一部の設問だけグループで答えることはできません。回答範囲はQ2で1つに決めます。
  • 健康管理が別の法人を合算に入れる。 健康管理・労務管理が異なる法人は合算できず、別途自社で回答します。
  • 子会社ごとに認定証が要るのに合算で申請する。 合算では認定証は申請法人名義で1通です。
  • 証憑を担当者の個人フォルダに置く。 2年間の保存と1週間以内の提出に応えられません。
  • 前年度のフィードバックシートを読まずに始める。 どの設問で点を落としたかを見ずに回答すると、同じ設問で同じ失点を繰り返します。
  • 中小規模法人部門の子会社の締切を大規模と同じと思い込む。 中小は10月16日、大規模は10月9日です。

Floraの支援:グループ各社の状況を一つの画面で

Flora株式会社の「CapLead」は、グループ各社に散在する人的資本の数字を一つの基盤で管理するデータ基盤で、健康経営度調査もその出力先の一つです。各社の提出状況をデータ待ち・確認中・承認済で一覧にし、法人ごとに対象になる項目を表示し、前年比や外れ値のチェックで説明できない差だけを担当者に示します。持株会社の担当者が12社分の数字を確認する往復を、基盤側で減らします。

健康経営度調査の回答は、有価証券報告書や女性活躍推進法の公表と同じ人事データから出ています。届け先ごとに数字を作り直す代わりに、同じ根拠から出力する。まず30分、貴社グループの回答フローをお聞かせください。

まとめ

健康経営度調査をグループで回すときは、まず回答範囲を決めます。法人ごとの認定が要るなら各社回答、グループで1つの認定でよく健康管理が一体なら合算です。合算には認定証1通、法人ごとの加算料、全法人の証憑確認、誓約の連帯という条件があります。

各社回答なら、持株会社は共通設問の雛形と分母・証憑の確認を担い、各社は実績設問を作ります。10月9日の締切から逆算し、Q3の分母を先に固定し、証憑の置き場所と命名を決め、前年度のフィードバックシートから弱い設問を特定する。この4つで、差し戻しの往復は減ります。

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