女性活躍推進法の改正で子会社が対応すること|101人以上への情報公表義務の実務

2026年 9月 14日

従業員180人の子会社の総務担当に、親会社から「4月から御社も女性活躍推進法の公表対象です」という連絡が届く。何を、いつまでに、どこに出すのか。親会社は毎年やっているが、自社では初めてで、担当は自分一人。この記事は、その担当者が最初の1年に実際に行うことを、順番にまとめたものです。

2026年4月1日施行の改正女性活躍推進法で、情報公表の義務は常時雇用する労働者101人以上の事業主に広がりました。改正の全体像は「女性活躍推進法改正2026|公表義務拡大(101人以上)と企業の実務対応」に、法の基本は「女性活躍推進法とは|2026年4月改正のポイントと対応を解説」にまとめています。ここでは公表の作業に絞ります。根拠は厚生労働省の解釈事項Q&A(2026年4月改訂)と改正法のリーフレットです。

女性活躍推進法の改正で対象が変わる:自社の労働者数で確かめる

最初に確かめるのは、自社が101人以上かどうかです。数えるのは「常時雇用する労働者」で、雇用形態を問わず、期間の定めなく雇用されている人と、過去1年以上引き続き雇用されている人、または雇入れの時から1年以上の雇用が見込まれる人です。パートや契約社員を含みます。国外の事業所で雇っている人は含めません。

判定は法人ごとです。親会社が対象でも、グループ全体で何千人いても、自社の労働者数で決まります。出向者は、原則として、その人の主たる賃金を負担している会社の労働者として数えます。親会社から出向で来ている人の賃金を親会社が払っているなら、その人は親会社の労働者です。

101人以上300人以下なら、公表するのは必須2項目に選択1項目以上。301人以上なら、必須2項目に加えて、機会の提供に関する項目から1項目以上と、両立に関する項目から1項目以上です。

女性活躍推進法の情報公表で出す項目:必須の2つと、選ぶ項目

必須の2項目は、男女間賃金差異と女性管理職比率です。301人以上の企業では男女間賃金差異はすでに2022年7月から義務でしたが、女性管理職比率は2026年4月から新たに必須になりました。

規模必須選択
101〜300人男女間賃金差異、女性管理職比率職業生活に関する機会の提供(採用した労働者に占める女性の割合、係長級に占める女性の割合など)と、両立に資する雇用環境の整備(男女別の育児休業取得率、平均残業時間など)の計14項目から1項目以上
301人以上同上機会の提供から1項目以上、両立から1項目以上

男女間賃金差異は、全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の3区分で、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割った割合を出します。派遣労働者は派遣元で数えます。計算の手順は「男女間賃金差異の計算方法|実務担当者向けガイド」と「男女間賃金差異 計算ツール」をご覧ください。

女性管理職比率は、課長級以上(役員を除く)の管理職に占める女性の割合です。課長代理や課長補佐は含みません。自社の等級のどこからが課長級かを決めて、記録に残します。算出方法と注記は「女性管理職比率の公表|算出方法・注記の書き方と、数字を上げる前に見るべき3つの指標」で解説しています。

選択項目は、自社の数字が良いものを選びたくなりますが、翌年以降も同じ項目を続けるのが基本です。項目を変えると、前年との比較ができなくなります。親会社が有価証券報告書に載せている項目や、グループの他社が選んでいる項目にそろえておくと、グループで並べたときに読みやすくなります。

初回の期限と、毎年の更新

初回の公表は、改正法の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に行います。3月末決算なら、2027年3月期の実績を2027年6月末をめどに公表します。12月決算なら、2026年12月期の実績を2027年3月末ごろです。

女性管理職比率は、公表する事業年度の数字でも、その前の事業年度の数字でも、最新のものを使えます。男女間賃金差異は直前の事業年度の実績です。公表した数字は、少なくとも年1回更新します。

対象になった年に必要なのは公表だけではありません。101人以上の事業主は、一般事業主行動計画の策定と届出も求められます。自社の状況把握と課題分析から始め、計画を作って労働局に届け出て、社内に周知し、外部にも公表します。手順は「一般事業主行動計画とは|女性活躍推進法の策定手順と届出方法」にまとめています。

どこに出すか:データベースと自社サイト

公表先は、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」への登録が最も一般的で、自社サイトでの公表もできます。データベースは、求職者や投資家が企業を横断して見る場所なので、親会社がデータベースに載せているなら、子会社も同じ場所に出すのが分かりやすい形です。

公表するときは、数字だけでなく、対象期間と算出の前提を添えます。男女間賃金差異なら対象期間と、パートの人員数を労働時間で換算した場合はその旨。女性管理職比率なら基準日。数字だけが並ぶと、翌年に前提が分からなくなり、親会社の有価証券報告書との突き合わせもできません。

子会社が親会社と一緒にやれること、やれないこと

雇用管理がグループで一体になっている場合、厚生労働省のQ&Aは、状況把握・課題分析、行動計画の策定・周知・公表、情報公表について、グループ全体での実施を各社の実施とみなすことを認めています。採用から配置、育成、登用までをグループ全体で行っているようなケースです。

ただし例外が3つあります。行動計画の届出は各社が行います。えるぼしなどの認定申請も各社です。そして男女間賃金差異は、雇用管理が一体的でも、個々の事業主が公表し、状況把握も各社で行います。親会社の人事が計算を代行することはできますが、公表の主体と数える範囲は子会社自身です。

グループの法人の境目と出向者の扱いは「有価証券報告書の人的資本を連結・グループで出す|子会社を含めた集計と2026年4月の公表義務拡大」で扱っています。親会社が有価証券報告書の提出会社なら、子会社が公表した数字は親会社の有価証券報告書の「従業員の状況」にも載ります。子会社の数字は、自社サイトやデータベースだけでなく、親会社の開示にも使われる前提で作ります。

初年度の作業を順番に

  1. 労働者数を確定する。 常時雇用する労働者の定義で数え、出向者の帰属を親会社と確認します。101人以上300人以下か、301人以上かで公表項目が変わります。
  2. 算出の前提を決めて書く。 管理職の範囲、賃金に含める手当、対象期間。親会社の定義書があれば雛形にし、自社の等級に合わせて書き換えます。
  3. 前年度の実績で試算する。 初回の公表は翌年6月ですが、前年度のデータで一度計算しておくと、データの欠けや定義の迷いが先に見つかります。
  4. 行動計画を作り、届け出る。 状況把握と課題分析から、計画期間2〜5年の計画を作り、労働局に届け出て、社内に周知します。
  5. 公表先を決め、期限を逆算する。 データベースへの登録なら、事業年度末から3か月以内に間に合うよう、実績確定から公表までの日程を決めます。
  6. 親会社に数字と前提を渡す。 有価証券報告書の記載のために、数字と算出の前提を同じ形式で渡します。

よくある失敗

  • 親会社が対象だから自社も対象、と思い込む。 判定は法人ごとの労働者数です。逆に、親会社が持株会社で対象外でも、自社が101人以上なら対象です。
  • 出向者を両方の会社で数える。 主たる賃金を負担する会社で数え、ダブルカウントしません。
  • 男女間賃金差異を親会社にまとめて公表してもらう。 賃金差異は各事業主が公表します。
  • 選択項目を毎年変える。 前年との比較ができなくなります。
  • 公表だけして行動計画を届け出ない。 101人以上は策定と届出も義務です。
  • 算出の前提を残さない。 翌年、担当者が代わると同じ数字が出せません。

Floraの支援:法人ごとの公表義務を漏れなく

Flora株式会社の「CapLead」は、グループ各社の人的資本の数字を一つの基盤で管理するデータ基盤です。法人ごとに公表義務の対象・非対象を自動で判定し、101人以上に広がった項目を各社に漏れなく表示し、指標ごとの定義を固定して、親会社の有価証券報告書と各社の公表で同じ根拠の数字が出るようにします。子会社の担当者が一人でも、何を・いつまでに・どの定義で出すかが画面で分かる状態を作ります。

新たに対象になった子会社が数社あるグループでは、まず30分、各社の対象判定と公表項目の整理からお手伝いします。

まとめ

2026年4月から、女性活躍推進法の情報公表は常時雇用101人以上の法人ごとに求められます。必須は男女間賃金差異と女性管理職比率で、101〜300人は選択1項目以上、301人以上は機会と両立から1項目ずつを加えます。初回は施行後に最初に終了する事業年度の実績を、翌事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表します。

子会社の担当者が行うのは、労働者数の確定、算出の前提の文書化、前年度データでの試算、行動計画の策定と届出、公表先と期限の決定、親会社への引き渡しの6つです。男女間賃金差異は必ず自社で公表し、出向者は主たる賃金を負担する会社で数えます。

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