なでしこ銘柄とは|選定基準と、選ばれる企業が開示している数字
2026年 9月 25日

なでしこ銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する、女性活躍推進に優れた上場企業のことです。平成24年度から実施されており、中長期の企業価値向上を重視する投資家に向けて紹介することで、投資を促し、各社の取組を加速させることを狙いとしています。
直近の令和7年度は2026年3月19日に発表され、なでしこ銘柄として26社、「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として23社が選ばれました。令和8年度の募集はすでに始まっており、締切は2026年10月22日です。
この記事では、なでしこ銘柄がどういう仕組みで選ばれるのか、応募に必要な女性活躍度調査が何を聞いているのか、そして選ばれる企業が用意している数字は何かを整理します。
なでしこ銘柄の選定はどう決まるか
選定は表彰ではなく調査への回答に基づきます。応募するには、経済産業省が実施する女性活躍度調査に回答する必要があり、その回答をもとに評価が行われます。
経済産業省は選定の考え方を、「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」を両輪で進めることが企業価値向上につながる、と説明しています。この2つを両輪で進める企業がなでしこ銘柄、うち両立支援の取組が特に優れた企業がNextなでしこです。
| 区分 | 令和7年度の選定 | 令和8年度の選定予定 |
|---|---|---|
| なでしこ銘柄 | 26社 | 最大30社程度 |
| Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業 | 23社 | 最大20社程度 |
令和8年度は業種ごとの上限も設けられています。募集開始時点(2026年7月末時点)で上場企業数が300社未満の業種は最大2社、300社以上の業種は最大3社までです。同じ業種の中で相対的に評価される、と読めます。
なお、なでしこ銘柄に選定された企業はNextなでしこには選定されません。どちらか一方だけの応募も、両方への応募も可能です。
(出典:経済産業省「令和7年度『なでしこ銘柄』『Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業』を選定しました」2026年3月19日、同「女性活躍に優れた上場企業を選定『なでしこ銘柄』」)
「準なでしこ」ではなくNextなでしこ
過去の呼称を覚えている方のために補足すると、現在のなでしこ銘柄に併設されている区分は「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」です。性別を問わない両立支援、つまり共働き・共育てを可能にする取組が特に優れた企業が対象で、女性活躍そのものとは評価の軸が少し違います。
男性育休の取得状況や、育児期の柔軟な働き方の整備が効いてくる区分だと考えると、実務のイメージがつかみやすいはずです。
ここで注意が必要なのが男性育休取得率です。育児・介護休業法に基づく公表、女性活躍推進法に基づく公表、そして各種調査票では、分母に誰を入れるかが揃っていないことがあります。同じ社内から複数の数字が出てくる状態のまま応募すると、定量項目と自社の公表値が食い違います。算定範囲の考え方は男性育休の義務化とは|300人超の公表義務と、企業の対応手順で整理しています。
令和8年度から「殿堂入り制度」が始まった
令和8年度の変更点として、経済産業省は殿堂入り制度の創設を公表しています。今年度を含めてなでしこ銘柄に複数回以上選定されているなど、業界内で傑出した取組を継続的に推進している企業を、審査のうえ「殿堂入り企業」として認定するものです。
一度選ばれて終わりではなく、継続して選定されることに意味を持たせる設計になりました。単年度のスコアを取りにいくより、数字を継続して積み上げているかどうかが問われる方向です。
女性活躍度調査は何を聞いているか
応募には令和8年度女性活躍度調査への回答が必要です。調査票は2種類に分かれています。
a. 共通調査票(Excel)
- キャリア形成支援の推進状況に関する項目(定量情報)
- 共働き・共育て(両立支援)の推進状況に関する項目(定量情報)
- 経営戦略と紐付いた共働き・共育てに向けた取組(定性情報・選択式)
b. なでしこ銘柄調査票(Word)
- 経営戦略と紐付いた女性活躍に向けた取組(定性情報・記述式)
なでしこ銘柄に応募する場合はaとbの両方が必須、Nextなでしこのみの応募ならaだけで足ります。募集期間は2026年8月31日から2026年10月22日12時までです。
ここで効いてくるのが、定量情報の比重です。キャリア形成支援も両立支援も、まず定量情報で状況を答える構成になっています。定性の記述で補う前に、数字が揃っているかどうかが先に問われます。
経済産業省は、選定にあわせて公表する資料として、レポート、選定企業の事例集、特徴的な取組を行う企業のベストプラクティス集、そして選定企業および回答企業の定量データ一覧を挙げています。ベストプラクティス集で取り上げられる観点には、重視している指標とその設定理由、男女間賃金格差の是正のために行っている取組と成果、女性従業員の健康課題解決への取組と定量的な成果が含まれます。何が評価の対象として見られているかが、公表物の構成からも読み取れます。
選ばれる企業が用意している数字は、比率だけではない
「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」という言い方が、この制度の性格をよく表しています。見られているのは、ある時点の女性管理職比率という一つの数字ではなく、採用から登用までの各段階がどうなっているかです。
実務に落とすと、少なくとも次の3種類が必要になります。
- 等級ごとの母集団。次の登用の候補が各等級に何人いるのか。比率だけでは、分母が痩せていることが見えません。
- 昇進率の男女差。同じ等級から次の等級へ上がった人の割合を男女別に出すと、どの段差で差がつくのかが分かります。
- 滞留年数。同じ等級にとどまっている年数が男女で違えば、比率が動かない理由はそこにあります。
この3つの出し方は女性管理職パイプラインの可視化|等級別の母集団と昇進率の出し方で扱っています。KPIとしてどう設計するかは女性活躍推進のKPI設計を参照してください。現在の比率から何年で目標に届くかは女性管理職比率シミュレーターで試算できます。
同じ数字は、コーポレートガバナンス・コードの2026年改訂が原則2-2で求める「自主的かつ測定可能な目標」とも重なります。詳しくはコーポレートガバナンスコード2026年改訂と人的資本で扱いました。なでしこ銘柄への応募とCG報告書の作成は、別の作業ではなく同じデータの使い回しになります。役員層の目標については女性役員比率30%目標とはをご覧ください。
業種内での自社の位置を知りたい場合は、地方銀行の女性活躍データブックのように同業の分布を並べた資料が参考になります。
応募を考えるときの実務の順番
締切から逆算すると、やることの順番は決まってきます。
- 共通調査票をダウンロードし、定量項目に答えられるかどうかを先に確認する。答えられない項目が、そのまま社内で整備が必要なデータです。
- 等級別・男女別の人数が人事システムから出るかを確認する。集計の定義(管理職の範囲、算定基準日)を先に決めておきます。
- 定性項目は、経営戦略と紐付けて書くことが求められています。数字と施策の対応が取れていないと書きにくいので、定量の整理が先です。
- 経済産業省は回答企業全社にセルフチェックシートを送っており、応募企業全体やなでしこ銘柄選定企業と自社の数値を比較できます。選ばれなかった場合でも、この比較は手元に残ります。
選定されるかどうかにかかわらず、調査票に答えるプロセス自体が、自社の女性活躍の状態を棚卸しする機会になります。経済産業省も応募のメリットとして「自社の女性活躍推進の取組や成果の整理・見える化への活用」を挙げています。
Floraの支援:応募の前に、数字が出る状態をつくる
なでしこ銘柄で詰まるのは、多くの場合、調査票の書き方ではなく、聞かれた数字が社内から出てこないことです。等級別の人数、男女別の昇進率、滞留年数は、人事システムにデータがあっても、そのままの形では出てこないことがほとんどです。
Floraのダイバーシティデータプログラムは、人事データを整理して、どの段階で差がついているのかを可視化するところから支援します。なでしこ銘柄の応募、女性活躍推進法の公表、コーポレートガバナンス・コードの開示は、必要になる数字が大きく重なります。一度整えれば、それぞれの提出物に使い回せます。
まとめ
なでしこ銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する上場企業の区分で、令和7年度は26社が選ばれました。令和8年度は最大30社程度の選定が予定され、業種ごとの上限と殿堂入り制度が新たに設けられています。
応募の入口は女性活躍度調査で、キャリア形成支援と両立支援の両方について、まず定量情報が問われます。比率という一つの数字ではなく、等級ごとの母集団、昇進率の男女差、滞留年数という段階ごとのデータが必要です。募集の締切は2026年10月22日12時です。
よくある質問
なでしこ銘柄は誰が選定していますか。
「準なでしこ」はまだありますか。
応募には何が必要ですか。
選定されなくても応募する意味はありますか。





