健康経営の補助金・助成金|国の制度と認定取得との組み合わせ方
2026年 9月 25日

健康経営の補助金・助成金を探すとき、実は2種類が混ざっています。健康経営の取組そのものに出るお金と、健康経営優良法人の認定を持っていることで他の制度が有利になる仕組みです。後者のほうが対象になる場面は多く、見落とされやすいところでもあります。
もう一つ、探すときに知っておくべきことがあります。健康経営という名前がついた国の補助金は存在しません。使えるのは、産業保健、両立支援、働き方改革といった別の名前の制度です。
この記事では、健康経営に使える制度を国のものと認定に紐づくものに分けて整理し、自治体の制度をどこで探すかまでまとめます。金額は年度ごとに変わるため扱いません。各制度の最新の金額は、それぞれの公式サイトでご確認ください。
健康経営の取組そのものに使える国の補助金・助成金
団体経由産業保健活動推進助成金
産業保健活動に対する国の助成金です。独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)が、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として実施しています。
仕組みに特徴があります。企業が直接申請する助成金ではありません。中小企業や労働保険の特別加入者を支援する事業主団体等が、傘下の中小企業等に対して、産業医・保健師等の専門職や産業保健サービスを提供する事業者と契約してサービスを提供した際に、その費用の一部が助成されます。つまり自社が所属する団体が動く制度です。
ここが女性の健康と直接つながります。JOHASは、2026年1月に厚生労働省が公表した「女性特有の健康課題に関する問診を活用した女性の健康管理支援実施マニュアル」に示された管理職向け研修や全従業員向け研修の提供等も助成対象となると明記しています。健康診断の結果に基づく医師の面談や、ストレスチェック後の職場環境改善支援と並んで、女性の健康に関する研修が対象に含まれているということです。
なお、令和8年度の交付申請は予算上限に達したため、2026年7月10日をもって受付が終了しています(2026年7月10日公表)。次年度の受付開始を待つ形になります。申請の流れはストレスチェックの助成金は廃止|新たに利用できる助成金で詳しく扱っています。
(出典:独立行政法人労働者健康安全機構「助成金」)
両立支援等助成金
仕事と育児・介護等の両立支援に取り組む事業主への厚生労働省の助成金で、2026年度は6つのコースがあります。健康経営の文脈で関係が深いのは、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースです。
このコースは、不妊治療、月経(PMSを含む)、更年期という3つの健康課題それぞれについて、利用できる両立支援制度を整え、相談に対応し、実際に制度を使わせた場合が対象になります。健康経営優良法人の認定要件にある「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」と、整備する中身が重なります。
各コースの要件と、申請前に整える社内制度は両立支援等助成金とは|2026年度の6コースと申請前に整える社内制度にまとめました。女性活躍推進に関する助成金は女性活躍推進の助成金【2026年版】で、国と東京都の制度を扱っています。
認定を持っていると有利になる制度
こちらが見落とされやすい領域です。ACTION!健康経営のポータルサイトは、国や公共団体・公法人等によるインセンティブとして、健康経営優良法人の認定法人であることで補助金申請時に加点等の優遇措置が受けられたり、融資で優遇利率が適用されたりする仕組みがある、と説明しています。
日本政策金融公庫の働き方改革推進支援資金
もっとも分かりやすいのが融資の優遇です。働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)では、「働き方改革」に取り組むために必要な設備資金や長期運転資金について、次のように利率が分かれています。
| 区分 | 適用される利率 |
|---|---|
| 健康経営優良法人の認定を受けている | 一定額まで特別利率① |
| うちホワイト500・ブライト500・ネクストブライト1000の認定を受けている | 一定額まで特別利率② |
| 上記の額を超える部分 | 基準利率 |
注目すべきは2段構えになっていることです。健康経営優良法人の認定だけでなく、上位認定を取っているとさらに有利な利率が適用される設計になっています。上位認定を目指す理由として、採用広報や社内の士気と並んで、資金調達の条件が挙がるということです。ブライト500とネクストブライト1000の仕組みはブライト500とはで扱っています。
中小企業向け補助金の加点
同ポータルは、中小企業向けの補助金として、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、デジタル化・AI導入補助金、事業承継・M&A補助金、小規模事業者持続化補助金、省力化投資補助金などを、認定法人へのインセンティブがある制度として掲載しています。
ただし、加点の有無や扱いは公募回ごとに変わります。申請を検討する段階で、その回の公募要領を必ず確認してください。「去年は加点があったから今年もあるはず」で進めるのが、この領域でいちばん危ない進め方です。
(出典:ACTION!健康経営「国の取り組み」)
自治体と金融機関の制度は、一覧から探す
自治体や地域金融機関のインセンティブは数が多く、内容も入れ替わります。個別に列挙した記事は古くなるのが早いので、探し方を覚えるほうが確実です。
ACTION!健康経営のポータルサイトには「地域の取り組み」というページがあり、都道府県ごとに絞り込めるようになっています。分類は入札関係、融資優遇、補助金・助成金、顕彰制度、宣言/登録/認定制度、その他の6つです。自社の所在地と、必要としている種類の両方で絞り込めます。
実務としては次の順番が現実的です。
- 所在地の都道府県で、分類を「融資優遇」と「補助金・助成金」に絞って確認する。
- 取引のある金融機関に、健康経営優良法人向けの商品があるか直接聞く。ポータルに掲載されていない地域金融機関の制度もあります。
- 入札に参加している場合は「入札関係」を確認する。自治体の総合評価落札方式で加点が設定されていることがあります。
掲載は網羅的ではありません。ポータル自体が自治体や金融機関からの情報提供を受け付けている形なので、載っていない制度もあると考えたほうが安全です。
組み合わせるときの実務の順番
認定を先に取る。 加点も優遇利率も、認定を持っていることが条件です。補助金の公募が始まってから認定を申請しても間に合いません。認定申請の全工程は健康経営優良法人2027|認定基準と申請の全工程にまとめています。
整える社内制度は共通している。 両立支援等助成金の不妊治療及び女性の健康課題対応コースが求める規程整備・周知・相談担当者は、健康経営優良法人の認定要件の「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」と重なります。別々の作業として積み上げる必要はありません。
年度の頭に確認する。 産業保健の助成金のように、予算上限に達した時点で受付が終わる制度があります。令和8年度の団体経由産業保健活動推進助成金は、6月10日に受付が始まり7月10日に終了しました。1か月です。年度が変わったら早めに確認する習慣が要ります。
よくある失敗
「健康経営 補助金」で国の制度を探し続ける。 その名前の国の補助金はありません。産業保健、両立支援、働き方改革という制度名で探すほうが早く着きます。
団体経由の助成金を自社で申請しようとする。 団体経由産業保健活動推進助成金の申請主体は事業主団体等です。自社が加入している団体に制度の利用予定があるかを確認するところから始まります。
認定のメリットを採用広報だけで見ている。 融資の利率や補助金の加点は、金額の規模が大きくなりやすい領域です。認定取得の社内稟議では、こちらを添えたほうが通りやすくなります。
Floraの支援:助成の対象になる取組を、実施できる形にする
JOHASが助成対象として明記している「管理職向け研修や全従業員向け研修」、そして両立支援等助成金が求める相談対応の体制は、どちらも実施する中身が必要です。制度を調べるところまでは自社でできても、研修の実施と相談の受け皿づくりは人手の問題になります。
FloraのWellflowは、月経・更年期・不妊治療といった女性の健康課題について、全従業員向けと管理職向けの研修、および従業員の相談支援を提供しています。健康経営優良法人の評価項目、両立支援等助成金の要件、産業保健の助成対象で求められる取組は重なるため、一度設計すれば複数の制度で説明できる状態になります。
助成金や補助金の支給可否を判断するのは、各制度の実施機関です。Floraのサービスの導入が支給要件を満たすことを意味するものではありません。要件の確認と申請は、各機関の公表資料に沿って進めてください。
まとめ
健康経営に使えるお金は、取組そのものに出る助成金と、認定を持っていることで他の制度が有利になるインセンティブの2種類です。前者は産業保健の団体経由産業保健活動推進助成金と両立支援等助成金が中心で、後者は日本政策金融公庫の優遇利率と中小企業向け補助金の加点が代表例になります。
自治体と金融機関の制度はACTION!健康経営の「地域の取り組み」から都道府県と分類で絞り込めます。掲載は網羅的ではないため、取引金融機関への直接確認と併用してください。
よくある質問
「健康経営補助金」という国の制度はありますか。
団体経由産業保健活動推進助成金は自社で申請できますか。
健康経営優良法人の認定があると融資が有利になりますか。
女性の健康に関する研修は助成の対象になりますか。





