女性の健康の相談窓口を企業に置くには|東京都指針・健康経営度調査・えるぼしプラスが求める相談体制の実務

2026年 9月 10日

https://reliable-friends-900b141288.media.strapiapp.com/josei_kenko_sodan_madoguchi_hero_266e6c8ba9.png

女性の健康課題について、従業員が相談できる窓口を企業に置くこと。この1年で、それを求める制度が3つそろいました。2026年4月に創設されたえるぼしプラスの認定基準、2026年7月施行の東京都女性活躍推進条例にもとづく指針、そして健康経営度調査の女性の健康に関する設問です。ただ、窓口は「設置しました」と書くのは簡単で、実際に相談が来る窓口にするのは難しい。この記事では、3つの制度が求めている内容を確認したうえで、窓口の4つの形、プライバシーの設計、利用される窓口にする工夫、個人を特定しない記録の残し方を解説します。

相談窓口を求める3つの制度

まず、何がどこまで求められているかを整理します。

制度求めている内容位置づけ
えるぼしプラス(厚生労働省、2026年4月創設)女性の健康上の特性への配慮に関する業務の担当者を選任し、労働者からの相談に応じさせ、その担当者を労働者に周知すること認定の4基準の1つ(相談体制の整備)。他に休暇制度等の整備、方針の周知、研修等の実施
東京都女性活躍推進条例の指針(2026年6月公表)従業員が健康上の課題を相談できる体制を整え、相談内容などのプライバシーに配慮すること事業者が講ずるよう努める措置の1つ。研修・普及啓発、休暇制度と並ぶ
健康経営度調査(経済産業省)女性の健康を支援する取り組みとして、相談窓口の設置が選択肢に含まれる大規模法人部門Q49の項目の1つ。制度の有無ではなく、利用実績と効果の把握が評価される

3つに共通して問われているのは、担当者が決まっていること、従業員がそれを知っていること、相談内容が守られることの3点です。窓口の有無そのものは問われていません。えるぼしプラスの4基準の全体は「えるぼしプラスとは?2026年創設の4基準・プラチナえるぼしプラスとの違いを解説」にまとめています。

もう1つ、制度より前にある事実があります。労働政策研究・研修機構が分析した2021年の調査では、更年期症状のある働く女性の約7割が医療機関を受診していませんでした。月経随伴症状やPMSでも受診率は低く、症状を抱えたまま働き、誰にも言わずに辞めていく人が相談窓口の本来の対象です。

女性の健康の相談窓口、企業が選べる4つの形

窓口には大きく4つの形があり、それぞれ得意なことが違います。1つに絞る必要はなく、多くの企業は2つ以上を組み合わせています。

担い手得意なこと弱点
社内担当者人事・D&I担当、衛生管理者制度の案内、休暇や勤務の調整につなぐ人事評価をする部門に体調を話しにくい。担当者の知識に依存
産業保健スタッフ産業医、保健師、看護職医学的な判断、受診勧奨、就業上の措置常駐でない事業場が多い。婦人科領域に詳しいとは限らない
外部窓口EAP、提携クリニック、外部相談サービス匿名性、専門性、時間外の対応社内制度との接続が弱い。利用率が上がりにくい
アプリ・オンラインヘルスケアアプリ、オンライン相談いつでも一人で使える。受診や検索への導線。利用データの集計対面の安心感がない。導入して終わりになりやすい

えるぼしプラスの基準で求められているのは、担当者の選任です。外部窓口やアプリを使う場合も、社内に担当者を置き、その人がどの窓口につなぐかを決めておく形にすると、認定の要件と実務の両方を満たせます。

産業保健スタッフの体制がまだ整っていない場合は、「産業医面談とは|義務となる基準・対象者・流れと拒否への対応を解説」と「産業医の探し方|4つの方法とメリット・選任手続きを徹底解説」から確認してください。ハラスメント相談窓口をすでに運用している企業は、その仕組みを流用できる部分が多くあります(「ハラスメント相談窓口を社内に設置する方法|効果的な運用のポイント」)。

プライバシーの設計が窓口の成否を決める

女性の健康に関する相談が他の相談と違うのは、内容が診断名や妊娠・不妊治療など、本人が職場に最も知られたくない情報を含むことです。設計で決めておくことは5つあります。

  1. 誰が相談内容を見られるか。 担当者と、本人が同意した範囲の人だけに限定し、文書にします。上司への共有は本人の同意を前提にします。
  2. 人事評価との分離。 相談したことや相談内容が評価・配置に使われないことを明記し、担当者を評価権限のある役職と分けます。
  3. 上司経由にしない。 上司を通さずに窓口へ直接アクセスできる経路を必ず用意します。上司に伝えるかどうかは本人が決めることです。PMSや不妊治療を上司にどう伝えるかは本人にとって大きな負担で、「PMSを上司・同僚にどう伝える?」や「不妊治療を会社にどう伝える?」で扱っているとおり、伝えなくても支援を受けられる経路が要ります。
  4. 休暇の申請と窓口を分ける。 生理休暇の申請で症状の説明を求めると、それ自体が相談の障壁になります。休暇は申請だけで取れるようにし、相談は別の場所で受けます(「生理休暇とは?」)。
  5. 担当者の性別と人数。 女性の担当者を必ず含め、1人に固定しない体制にします。担当者が1人だと、その人と面識がある従業員は相談できません。

相談されない窓口にしないために

窓口を置いたのに年間の相談件数が数件、という状態はよくあります。原因はたいてい、従業員が窓口の存在を知らないか、相談すると何が起きるか分からないか、相談するほどのことではないと本人が思っているかのいずれかです。

名称と案内文を見直す。 「女性の健康相談窓口」という名称は、使う側にとって自分が女性の健康問題を抱えていると宣言する行為になります。「健康相談窓口」「からだの相談」のように広い名称にして、案内文の中で月経・更年期・不妊治療・妊娠中の体調を具体的に挙げるほうが使われます。生理休暇の名称を変える動きと同じ考え方です(「ウェルネス休暇とは?生理休暇の言い換え・名称変更例を解説」)。

研修とセットで周知する。 窓口の案内だけを社内ポータルに載せても届きません。全社員向けの健康研修や管理職研修の中で、窓口の使い方と、相談した後に何が起きるかを説明します。研修の受講者が窓口の存在を知るだけでなく、周囲に伝える役割も担います。

管理職の役割を「つなぐ」に限定する。 管理職に求めるのは、様子の変化に気づいたら窓口を案内することだけです。部下の体調を聞き出したり、判断したりする必要はありません。役割を限定すると、管理職は動きやすくなり、本人のプライバシーも守られます。更年期のメンタル面の変化への気づき方は「更年期うつとは?職場での気づき方と企業の対応」にまとめています。

一人で使える入口を用意する。 Floraが導入企業で実施したアンケートでは、アプリのAI相談機能について、プライベートな悩みで同僚や上司には話せなかったことを相談している、という回答が目立ちました。人に会わずに使える入口があると、窓口に来る前の段階で受診や制度利用につながる人が増えます。対面の窓口は、その先で必要になったときに使われます。

記録は個人を特定しない形で残す

窓口の運用で軽視されがちなのが記録です。個人の相談記録は担当者の管理下に置き、報告に使うのは集計値だけにします。集計の単位は、月別の件数、相談テーマ(月経・更年期・不妊治療・妊娠・その他)、年代帯、対応の結果(情報提供のみ、受診勧奨、休暇や勤務の調整、産業医へ連携)の4つで足ります。

この集計値は、健康経営度調査で問われる利用実績や効果の把握、えるぼしプラスの申請時の実績、東京都の指針にもとづく取り組みの説明にそのまま使えます。年代帯は5歳刻みではなく10歳刻みにし、部署別の集計は人数の少ない部署で個人が特定されるため避けます。

相談内容から就業上の措置が必要だと判断した場合は、本人の同意を得たうえで産業医面談につなぎます。安全配慮義務の観点から、担当者が一人で抱え込まない手順を決めておくことが、担当者自身を守ることにもなります。

導入の手順と、よくある失敗

  1. 担当者を選任し、役割を文書にする。 誰が、何を、どこまでやるか。外部窓口やアプリを使う場合はその接続先も書きます。
  2. プライバシーのルールを決めて公開する。 前述の5項目を、従業員が読める形で示します。
  3. 窓口の名称・案内文・アクセス経路を決める。 上司を通さない経路、業務時間外に使える経路を含めます。
  4. 研修で周知する。 全社員向けと管理職向けを分け、管理職には「つなぐ」役割を伝えます。
  5. 集計の様式を決め、半年ごとに見直す。 件数が少なければ周知の問題、特定のテーマに偏っていれば制度の問題として、次の手を打ちます。

よくある失敗は3つです。窓口の設置を人事の1名に任せて、その人が異動した時点で機能しなくなること。相談件数の少なさを「問題がない証拠」と読んでしまうこと。そして、窓口を作ったことで研修や休暇制度の整備を後回しにすることです。えるぼしプラスの4基準も東京都の指針も、相談体制は研修・休暇制度・方針の周知と並ぶ1つであって、単独では機能しません。

Floraの支援:Wellflow

Flora株式会社の「Wellflow」は、従業員が一人で使えるヘルスケアアプリと、管理職・全社員向けの研修、導入前後を同じ指標で測る効果検証サーベイを組み合わせた健康経営支援サービスです。アプリは月経・PMS・更年期などの症状の記録とセルフケア、相談機能、受診への導線を備え、対面の窓口に来る前の入口として機能します。利用状況は個人を特定しない形で集計し、健康経営度調査やえるぼしプラスの申請に使える実績として提供します。研修では、管理職に「つなぐ」役割を具体的に伝えます。生理痛体験研修とあわせて、これまでに150社以上に導入されています。

まとめ

女性の健康課題の相談窓口は、えるぼしプラスの認定基準、東京都の指針、健康経営度調査の3つがそろって求めるようになりました。共通して問われているのは、担当者が決まっていること、従業員が知っていること、相談内容が守られることです。

社内担当者・産業保健スタッフ・外部窓口・アプリの4つの形を組み合わせ、プライバシーのルールを先に決め、研修とセットで周知し、記録は個人を特定しない集計値で残す。この順で進めれば、認定や調査の要件を満たすだけでなく、症状を抱えたまま辞めていく人を減らす窓口になります。

---

**Wellflowの資料請求・お問い合わせはこちら → Wellflow**

よくある質問